Enter the void. View of James Turrell,  Akhob, 2013, Louis Vuitton Maison City Center, Las Vegas. Courtesy of Louis Vuitton North America

ベガスで公開中のジェームズ・タレルによるインスタレーション『Akhob』

このラスベガスで公開中のプロジェクトで、唯一無二のピュアな光と色の体験を実現したジェームズ・タレル。一度に入場できるのは6人まで。Supported by Louis Vuitton

by Sarah Valdez; translated by Aya Takatsu
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07 februari 2018, 10:08am

Enter the void. View of James Turrell,  Akhob, 2013, Louis Vuitton Maison City Center, Las Vegas. Courtesy of Louis Vuitton North America

エルヴィスをテーマにしたウェディングチャペルがあり、超大規模なショーが開かれるなど、五感をフルに刺激するラスベガス大通りの目と鼻の先に、『Akhob』と題されたジェームズ・タレルによる予約制のインスタレーションが隠れている。Louis Vuitton Maison City Centerの最上階すべてを使用したこの常設作品は、一回25分のサイクルで運営され、しかも一度に6人以上入ることができない。Instagramフレームのようにも見えるが、写真撮影も禁止だ。この作品のコンセプトは、実際にその場所に身を置き、直接的で超現実的なヴィジュアル体験をすることなのだから。

『Akhob』は無料で一般公開されており、臨死体験時の誘うような白い光にも似た(と誰かが想像した)、だが少しも危険ではない、夢中になれる視覚体験を提供している。タレルがフォーマットとするのは、それ自身が持つ高いワット数のオアシスであり、その奥深くにあるはかなさへのエレガントな賛成論だ。この体験は、その目を環境に慣れさせるために来訪者がほの暗い控室で過ごす1分ほどの時間から始まる。続いて、来館者は半円のドアへと続く半円の階段を上がり、次なる半円のドアをその視界にとらえる。これは無限を示唆するものだ。そして深い紺碧の光でいっぱいの空間へと足を踏み入れると、水に浸かったような感覚を覚えるのである(『Akhob』というタイトルは、「ピュアな水」を意味する古代エジプトの言葉からとったもの)

Turrell's Akhob. Courtesy of Louis Vuitton North America
Turrell's Akhob. Courtesy of Louis Vuitton North America

さらに『Akhob』には、暖色であるにもかかわらずなぜかクールに見える、明るいピンクのライトも登場する。シームレスにパープルに変化するが、バービーのお家のような感じには陥らない色合いだ。ブラッドレッドとマゼンタ、あるいはタンジェリンとヴァイオレットのような色彩が優美に並べられ、日の出や日没を演出するように組み合わせられるのだが、影や雲、背景幕や前景などはまったくない。だが床や壁、扉などできっちりと引かれた線が、厳格な新ジョージアン様式にも似た構図をつくり出している。色の変化はとてもゆっくりと起こるため、まったく変わっていないかのようにさえ感じられるが、このインスタレーションはひとつの正確に測定された虹なのだ。外的な要素をすべて避けることで、『Akhob』はスピリチュアルな様相を呈する。そうした作風のうち、よく知られているのが、天井に開いた穴が空を切り取る額のようになるタレルの代表作Skyspacesだ。それが変化を続け、ベガスのインスタレーションでもだいたい同じペースで展開される。

『Akhob』は、ガンツフェルト効果のサラウンド音響を光に変えてタレルが行った、最大規模の実験のようなものだ。これは体系化されていない均一な色彩を注視することでもっともよく知られている視覚の現象だが、ここではその色がパステルでも蛍光色でもなく、その両者の境界をフラフラと揺れ動く。目を見はるようなものであり、かつ、天体観測をする場所をつくるために、アリゾナの砂漠にある火山のスコリア丘で1977年から建設が続くタレルの代表作Roden Craterの前菜ともいえる存在なのだ。このクレーターの南側の土地が年末に完成する予定なので、それまでのあいだ、宇宙に対して自分がこんなに小さいのだと感じ、一般的な時間の経過のなかでむしろすっきりするぐらいの端役を演じるための機会を、『Akhob』が無料提供しているというわけである。

Louis Vuitton Maison City Centerでジェームズ・タレルによる『Akhob』を鑑賞希望の方は、702-730-3150までお電話を。