Amazonが東京ファッションウィークにもたらしたもの

Amazon Fashionが冠スポンサーになって初となる東京ファッションウィークが開催している。Amazonのファッション業界参入はファッションウィークにどのような変化がもたらしたのか? 日本のファッションシーンの傾向とその行末を探る。

by Sogo Hiraiwa
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20 October 2016, 1:40pm

10月17日に幕を開けた「東京ファッションウィーク」も早くも終盤に差しかかっている。ファッション業界の関係者たちが最も注目していたのは、もちろんファッションウィークに参加したブランドのコレクションだったにしても、ショー会場に出向くたび、または各ブランドから送られてくるショーの案内を開けるたびに目にする「Amazon Fashion Week TOKYO」の文字を気にせずにはいられなかったのではないだろうか。
今シーズンで12年目(23回目)を迎えた東京ファッションウィークは、前回までメルセデス・ベンツ日本が冠スポンサーを務めていたが、契約が終了したのを機に、Amazon Fashionが新たに冠スポンサーへ名乗りを上げた。今季が、Amazonがスポンサーになって初めて開催されるファッションウィークだったこともあり、前回までとの変化も気になるのだった。今年、話題を集めたトピックをひとつ挙げるとすれば、海外ブランドKOCHÉとUmit Benanの参加がその筆頭にくるだろう。KOCHÉは、ChloéやDRIES VAN NOTENなどのビッグメゾンでキャリアを積んだデザイナーのクリステル・コシェールが立ち上げたブランドで、"着られるクチュール"をコンセプトに作り上げたコレクションを発信している。コシェールは2016年LVMHプライズでファイナリストにも選出されている。Umit Benanは、Trussardiのデザイナーも務めるウミット・ベナンが自身の名を冠して始めたブランドで、デビュー当時から注目を集めてきた。

このふたつのブランドに共通するのは、どちらもモードな要素を随所に取り入れながらもウェアラブルな服に落とし込んでいるという点だ。これはシンプルなリアルクローズでは飽き足らない今の東京の気分とも呼応している。Amazonがファッション界に進出したのは東京ファッションウィークが初めてではなかった。これまでにもAmazonは、2012年、メトロポリタン美術館で開催されるファッションの祭典「Met Gala」に協賛した他、ニューヨークを拠点にするECサイト、MODA OPERANDI(モーダ・オぺランディ)と提携し、ラグジュアリー・ファッション・ビジネスに参入した。この提携により、アマゾンアカウントを使用してモーダ・オぺランディ上で買い物が可能になった。Amazon Japan副社長でファッション事業部長も務めるジェームズ・ピータースは、AmazonがTFWの冠スポンサーになった際のインタビューのなかで、ECプラットフォームの活用により「消費者とブランドが直接つながる場を提供できる」と、その展望を語っている。海外のコレクションでは、受注会を開くのではなく、商品を消費者がショー会場で即座に購入できる「see-now-buy-now」形式を採用するブランドも多く現れている。

KOCHÉがUNITED ARROWSによって招へいされているように、日本のファッション業界においてセレクトショップやそのバイヤーのもつ影響力は大きい。それはつまり、憧れの対象や未来を提示するものとして機能するオートクチュールなどの、アンフェアラブルで手の届かない服ではなく、買う(消費し、着る)ことのできる対象としての服を求める日本の消費者意識を反映した現象なのかもしれない。Amazonがこうした「消費」を中心にして回るファッション界に参入することは、その速度をより一層速めることにもなるだろう。参加ブランドと消費者そして、運営が同じ方向を向いたときにどんな展開をみせるのか、今から楽しみでならない。

Credits


Text Sogo Hiraiwa
Photography Takao Iwasawa

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