森山大道『SCANDALOUS』

衰えることなく今なお加速し続ける世界的巨匠の最新作。 圧倒的なインパクトのヴィジュアル・スキャンダルを体感せよ

by i-D Staff
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18 April 2016, 6:15am

私たちの世の中に写真技術が生まれてからしばらくの間、それは記録装置の域を出ることはありませんでした。なおかつ、カメラ自体が極めて高級品だったことで、限られた人たちだけが手にすることができるツールだったのは、第二次世界大戦以後もしばらく続いた当時の常識です。そんな写真も今や種類にも価格にも幅ができて、携帯電話には必ずついてくる当たり前の機能の一つにまでになりました。こうして誰でもどこでも気軽に写真を撮れるようになったのは、技術の発展もそうだけれど、「写真ってこういうもの」ということをみんながそれぞれ考えられるようになったからだと思います。では、はたしていつから写真はそんなに自由になったのか。それはきっと、世界中の写真家が、自分たちの純粋な表現としての写真を獲得するために闘ってきたおかげです。そしてここ日本に限って言えば、森山大道のほかに、今日の皆さんの写真に強く影響を与えている人は見当たらないでしょう。

4月15日より、東銀座のビルに場所を構えるAkio Nagasawa Galleryでは森山大道の最新個展『SCANDALOUS』が開催されています。そこでは、シルクスクリーンによってキャンバスに施された"ヴィジュアル・スキャンダル"と相対することになります。作品の内容は、1969年に写真雑誌『アサヒカメラ』で1年間にわたって連載された『アクシデント』という、事件や事故の現場で瞬間を捉えたものから、テレビ画面に映る当時のニュースなど、時代の世相や匂いを存分に感じることが出来るシリーズが中心です。それが通常の粒子のドットではなく、彼が長い間注目し続けるシルクスクリーンのマス目によって表現されることで、現実と虚妄の間に入り込んでしまったような、何とも不思議な印象を観る者に与えています。さらに会場には最小限の照明とインパクトのあるネオンが配置され、一般的に思い浮かぶ写真の概念を優に超えた彼のクリエーションが反映された、独特な世界観が繰り広げられています。

本展覧会に併せて、会場ではすべてのページがシルクスクリーンで刷られた大型写真集『SCANDALOUS』が限定350部、作家によるサインとナンバリングを添えて発売されます。展覧会場に張り詰める緊張感を閉じ込めた本作品集は、コンセプトさながらタブロイド紙のような雰囲気に仕上がっており、手に取ることで本展覧会の醍醐味をより一層味わうことができます。この貴重な機会に是非、今なお加速し続ける森山大道の世界に触れることを心よりオススメします。

SCANDALOUS
森山大道
2016年4月15日(金)〜6月19日(日)
営業時間 11:00〜19:00
休廊日 月、火
http://www.akionagasawa.com

Credits


Photography Chikashi Suzuki

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Daidō Moriyama