お腹が減ってしょうがない“美味しい映画”10選

映画に登場する食べものに気を取られて、話の筋そっちのけで悶々とした経験はない? 今回は長い映画の歴史を縦横無尽に行き来して、映画のなかに登場する美味しいシーンを紹介。ボナペティ!

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apr 13 2016, 2:25pm

『マリー・アントワネット』(2006)の宝石のようなスウィーツ
キルスティン・ダンストとローズ・バーンが極甘のプリンセス・パーティを繰り広げるこのシーンは、ソフィア・コッポラ作の『マリー・アントワネット』からのもの。真珠でできたチップを使ってポーカー遊びをしたり、次から次へと服を着替えてみたりと贅沢三昧の日々を送るふたり。合間にはシャンパンを飲んだり、子犬を抱いたり、一生分ほどのマカロンを食べたりして、マリー・アントワネットの甘美な生活はとどまるところをしらない。積み上げられたパステルカラーのマカロンやケーキビュッフェ、生クリームでデコレーションされたガトーショコラ—これほど甘美に革命時代のフランスを描いた映画がほかにあるだろうか? 民衆にケーキを!

『パルプ・フィクション』(1994)のブルーベリーパンケーキ
白いTシャツのみを着たフランス人のファビエンヌが恋人ブッチに翌朝の朝食の話をするシーンには、あなたのお腹おもわず鳴ってしまうはず。「大きなブルーベリーパンケーキのプレートを頼むの。メープルシロップに両面焼きの目玉焼き、それにソーセージも5本つけてね。飲み物は、大きなグラスにオレンジジュースとコーヒー。それからパイを食べるの」。パイ? 朝食にしては食べすぎでは? 「パイはいつ食べてもいいでしょ。パンケーキにブルーベリーパイ。上に溶けたチーズがのっかっていれば最高」。最後の部分は同感できないけれど、でもファビエンヌが言うなら試してみたい気もする。映画では実際にこの朝食を目にすることはないが、食べ物について話しているシーンは食事をしているシーンさながら、観る者の食欲を刺激してくれる。

『マチルダ』(1996)のブルース・ボグトロッターのチョコレートケーキ
みんなが大好きなファンタジー映画『マチルダ』に、トランチブル校長のおやつを盗んだ生徒が全校生徒の前でお仕置きを受けるシーンがある。盗みをはたらいたブルースは、どのケーキをくすねたのかはっきりとは思い出せないようだが、目の前に出されたチョコレートケーキには見覚えがあるようだ。忘れられるはずがない。チョコレートケーキは世界一美味しく、この世にチョコレートケーキが嫌いなひとなんているはずがないのだから!子供の頃にこの映画を初めて観た際、トランチブル校長の「このケーキにはクーキーの血と汗が注がれている」という言葉に不快感と混乱をおぼえた記憶がある(文字通り受けとっていいのかどうか)。リアーナの曲「Birthday Cake」をこの映像に合わせたひとには、「よくやった!」と喝采を送りたい。ブルーシー! あなたなら全部食べられるわよ!

『ツイン・ピークス』のコーヒーとチェリーパイ
テレビ版『ツイン・ピークス』をテーマにした期間限定カフェがロンドンにオープンした際、i-Dはショーで出されたチェリーパイとコーヒーのセットについての記事を書いた。チェリーパイはこのドラマの象徴的食べ物で、またストーリーはパイやケーキ、コーヒーを軸に進んでいくと言っても過言ではない。わたしは今、バニラアイスを添えたチェリーパイに思いを馳せながらこの記事を書いている。あのパイを頬張りながら、プレートの横に置いたまっさらな紙を前に、チェリーパイを謳うポエムが溢れ出すところを想像しながら。

『アメリ』(2001)のクレームブリュレ
アメリは、穀物が入った袋に豪快に手を突っ込むことと、クレームブリュレの表面の金色に固められたカラメルを破ることが大好きだ。たった4秒のシーンだが、『アメリ』のなかでもわたしはこのシーンが特に好き。彼女は自分のクレームブリュレだけじゃ飽きたらず、他のお客さんのクリームブリュレも割って回るだろう。クスクスと笑いながらそこらじゅうのレストランを走り回るアメリが目に浮かぶでしょう? 余談だけれど、最近の『グレート・ブリティッシュ・ベイク・オフ』で審判ふたりがクリームを食べる1幕があった。ココットに入れられ、ほどよく焦がした表面をスプーンで割るところを、どうしてカメラで写さなかったのかしら?

『イングロリアス・バスターズ』(2009)のぎこちなく食べるシュトゥルーデル
農場を営む家族をナチスに惨殺されたショシャナと、ショシャナの家族を惨殺したハンス・ランダ軍曹が食事の席をともにする。ホイップクリームいっぱいのシュトゥルーデルを食べ、ショシャナはミルクを、軍曹はエスプレッソをすする。農場一家を惨殺した際、軍曹は女の子がひとり逃げるのを見ているが、それがショシャナだとは知らない……はず、というシーンだ。心の深いところに巣食う恐怖を感じながら、奇妙なフォークとナイフで食べるデザートほど美味しいものはない……。

『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)のメンドル製コーティザン・オ・ショコラ
「娼婦風ショコラ」と名付けられたこのお菓子のレシピは、今ならネット上にたくさん見つけることができるけど、作り方を見るなら本作のこのシーンを見るのが一番。メンドルはウェス・アンダーソン版ラデュレといった存在で、そのお菓子はどれも、冷酷な看守たちが血眼になって探しまわるほどの美味しさなのだ。あなたの誕生日に、わたしたちがこれを作ってあなたの家まで届けてあげる……かも。

『チャーリーとチョコレート工場』(2005)のすべて
「喜びすぎちゃいけないよ」。ウィリー・ウォンカは、彼の世界への招待状となるゴールデンチケットの受賞者たちにそう言う。チョコレートの川やキャンディの木、マシュマロのキノコが並んでいたら、わたしならきっと我を忘れてしまう……あなたもきっとそうでしょう?

『ジュラシック・パーク』(1993)のグリーンゼリー
ティムとレックスは多くの困難(そのほとんどは恐竜と感電)を乗り越えてジュラシック・パークのインジェン社本部へ逃げ戻ってくる。ひとびとはすでに逃げ出していて、がらんどうになった食堂にはビュッフェ・ランチが食べ残されている。そこにはさまざまなパンと、色とりどりのスウィーツが並んでいる。甘いものがいつもそうであるように、このシーンでも「すべてうまくいくよ」と微笑んでいるかのようにスウィーツは平和なたたずまいを見せている。モグモグモグ……ふたりが無我夢中で食べていると……ん? レックスのゼリーがゆらゆら揺れている。ずいぶん弾力があるみたい。特別なレシピでも……。違う、君のうしろにラプトルがいるんだ!

『ブライズメイズ』(2011)のカップケーキ

友達も失い、自分の人生が下降線をたどるのを止められないように感じているときには、スウィーツを作ってはいけない(よくやってしまうけど)。結局はすべて自分で食べてしまわなくてはならなくなるのだから。だからなのかもしれない。この映画でクリスティン・ウィグ演じるアンは、このシーンでカップケーキを1個だけ作る。彼女が作るカップケーキはただただ美しい。ケーキに込める想い、そしてデコレーションの技術には舌を巻かずにはいられない。お菓子の職人、ここに誕生!

Credits


Text Francesca Dunn
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.