旧車會「gimatai」の爆音パフォーマンス:BlackEyePatch 18SS

渋谷区・松濤の閑静な住宅街を抜けると、Amazon Fashionの文字が投影された観世能楽堂跡地が現れる。デザイナー名は非公開。街中のそこかしこに貼られたステッカー。謎のベールに包まれているブランドBlackEyePatchのショーが、ここで開かれるのだ。そんな彼らに、i-D Japanはインタビューを敢行することができた。

by Tatsuya Yamaguchi; photos by Shun Komiyama
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20 October 2017, 7:01am

1900年に「観世会」が創立されてから能の聖地として知られる観世能楽堂が、渋谷区・松濤の地を離れたのは2015年の春。新宿から移転後43年の歴史を紡ぎ、訪れる人々に"日本"の古典のエッセンスを授けてきた場所だ——「謎のステッカー集団」と呼ばれてきたBlackEyePatchは、この「居抜き」となった観世能楽堂跡地をショー会場に選んだ。かつて檜舞台(現在はGINZA SIXに移築)があった場所は、むき出しの鉄筋コンクリート状態。そこには、グラフィティーライターのKANEによって描かれた能舞台の永遠の背景、BlackEyePatch流の「老松」が描かれ、本舞台にはレッドカーペットが敷かれていた。この場に根ざしたものへの敬意が、ぼんやりと滲んでみえた。

暗転の後、バイクが吹き鳴らす爆音のコールが会場に鳴り響いてショーが始まった。大きくブランド名があしらわれたフーディーとジャージーパンツを見にまとった彼らは、沖縄を活動拠点にする旧車會「GIMATAI」(2016年、BlackEyePatchから写真家・小浪次郎が撮り下ろした彼らの写真集がリリースされている)。彼らのアクロバティックなパフォーマンスの次に現れたのは、悠々と遊ぶスケーター。彼らはショーの中盤の転換でも登場する。続くモデルの面々には、KANDYTOWNのIOや俳優の上杉柊平の姿もある。ブランドを象徴するグラフィティー、今季でいえば段ボールでできたインビテーションにも"貼られていた"「取扱注意」や、様々なブランドネームロゴは、スウェットパーカーにプリントしたり、ナイロンコートを埋め尽くしていたり、アイコニックなベルトやソックスへ。リラックスした重ね着に、足元はバイカー以外の皆、ナイキのエアフォースワン——つまり、根幹はストリートカルチャーに根付いたベーシックなスタイルの数々だ。

東京の街角にボムされた「THE BLACK EYE PATCH」のステッカーが、じわりじわりと街を侵食し、2014年秋冬コレクションを機にアパレルブランドとしてBlackEyePatchはスタートした。デザイナーの素性を明らかにしないアノニマスな姿勢で、謎多き彼らのAmazon Fashion Week Tokyo参加に驚いた人も多いことだろう。i-D JAPANは、ショー終了後すぐさまバックステージに向かい、デザイナー、彼らに話を訊くことができた。

初めてのショーを終えて。
感想は、客席側から見たかったな、と。裏にはモニターがないので何も見えないんですよね。ただ、手ごたえという点については、自分達が表現したいと思って取り組んできた事はきっと表現出来ていたと思います。

能楽堂を選んだ理由とは?
実際は、候補地を何箇所か、運営チームの方からご提案いただいたんです。その中でも観世能楽堂というこの場所には、すごく惹かれました。能に関しての知識があったわけでは無いですが、松濤という場所、その場所にあるこの空間、観世能楽堂跡地という響きが面白くて。もともと服を観せたいという感覚はあまり無く、ブランドのイメージを観てもらいたいという気持ちの方が強かったので、この場所だったら面白い事が出来そうだなと思いました。

「東京」に強いこだわりがあるのですか?
こだわりはないです。東京にしか住んだことがないので、この地で見聞きして、自分で感じたものがデザインに反映されていると思います。自分の中から浮き上がってくるものがそれしかないです。なので東京を掲げている、東京の代表という気持ちはありません。ただ、生まれ育った場所で、色々なものに触れて影響を受けてきただけかなと。日々の生活のなかで「面白い」と思ったことを自分達のフィルターを通して表現しているだけです。

いわゆるモデルでない方々が多く出演された、キャスティングについて教えてください。
基本的には友人や知人、あとはその方々の知り合いにお願いさせて頂きました。服の見え方というよりも、この人に着てもらいたい、この人と何か一緒にやりたい、と思う方を基準に、ショーとしてのバランスをスタイリストの林道雄さんに取って頂きました。

旧車會やスケートがテーマのひとつになっているのでしょうか?
演出では旧車會やスケーターが目立ちますが、他にも車やグラフィティー、モデルで出て頂いている方々の活動など、様々なところから影響を受けています。それらの全てがテーマになり、ブランドのイメージを構築していると思います。ユースカルチャーと呼ばれるような事を強く意識しているわけでも無く、自分達に入ってきたものを、BlackEyePatchというフィルターを通して表現した、というようなイメージでしょうか。

http://blackeyepatch.com/

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