marc jacobs spring/summer 17 at new york fashion week

ニューヨーク・ファッションウィークの最後を飾ったのは、過去のサブカルチャーを讃えながら、現代の精神を捉えたMarc Jacobsだった。

by Anders Christian Madsen
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26 September 2016, 1:30am

ほとんど熱狂といっても良いであろう雰囲気に包まれてショーが終わったとき、マーク・ジェイコブスはインタビューに応えることも、挨拶をしに観客の前に出ることもしたがらなかったという。ショーというものは、ときに、余韻なしには伝えきれないものがある。そして今回のマークのショーは、喝采がすべてを物語っていた。アンダーワールドの「Born Slippy」が奏でる壮大なファンファーレをバックに、70年代のヒッピー、80年代のセックスポット、90年代のグランジやテクノといったサブカルチャーに見られたクラブウェアをマッシュアップしてこのうえなく"今"を体現したコレクションを発表したマーク。「今、ニューヨークのストリートを歩いていると、肌を極限まで露出して、靴だけでスタイルを成立させようとしている女の子をたくさん見かける」と、マークのデザインパートナーであるケイティ・グランド(Katie Grand)はショーの後に語ってくれた。「あまりに大雑把な見解かもしれないけど、現代の女の子たちってみんなそんな服装の傾向にあるの——それと、全体的に奇抜な色使いね」。マークとケイティは、プラットフォームシューズ(会場となったハマースタイン・ボールルームのランウェイでは、観客の目の高さにシューズを見ることとなった)と、レインボーカラーのドレッドヘアをデザインの主軸としてクリエーションのプロセスを進めた。「コレクションを作り上げる工程では、中だるみが生まれてしまいがちなの。でも、マークは『力強くなきゃダメなんだ。だからといって服をたくさん着せることは避けなきゃならない。それでも、なんとかして力強く訴えかけるものにしなきゃならないんだよ』と繰り返し言っていたわ」。そうして生まれたスタイルの数々は、実に強く体の線と肌の露出を打ち出したものとなった。それは、黒づくめの陰鬱なゴスを表現した先シーズンのコレクションからの反動として、必要な流れと世界観だったのだとケイティは説明する。「『たくさんのカラーを使って、クラクラするほどクラブカルチャー的なものを作ってみようよ』と、ふたりとも直感的に思ってたのよね。そこから色んなシルエットを見ていくうちに『とんでもなくショートなシルエットを作るべき』だと思ったの」。カーダシアン家の女性が揃って持つ曲線美がもてはやされ、ポップスターたちが軒並みブラだけを身につけたスタイルでステージに上がる現代に、Marc Jacobsが発表したコレクションはファッションの何たるかを見せつけた。現代と違い、女の子たちがシューズやハンドバッグ、髪型など、アクセサリーを中心にスタイルを構築していった過去のファッション流儀を、このコレクションは体現していた。それは、予想外だったからこそ諸手を挙げて受け入れられ、熱狂を生んだ。そういった意味で、Marc Jacobs 2017年春夏コレクションは、美しく圧倒的だったうえに、新しくもあった。

Credits


Text Anders Christian Madsen
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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