Photography Stanislaw Boniecki

NYのシニアゲイカップルが語る、愛、プライド、道を拓くということ

Hannah Ongley

スタニスラフ・ボニエキが、クィーンズ・センターで長年連れ添ったカップルや、新たに仲良くなったゲイシニアたちを撮影した。

Photography Stanislaw Boniecki

大規模なプライド・パレードを週末に控えたマンハッタンには、レインボーのフラッグがあふれている。さらに今年は、ストーンウォールの反乱から49周年なのだ。しかし、NYCでクィア住民の歴史を色濃く持つ場所は、グリニッチ・ヴィレッジだけではない。ジャクソン・ハイツやクィーンズ、ルーズヴェルト・アヴェニュー沿いにひしめくレストランやダンスクラブ、それにラテン系民が多い近隣の住民に支持されているクリストファー・ストリートも(この地域は、今月、ゲイの男性とトランスのラテン系女性に対するホモフォビア攻撃を非難するLGBTQ活動家のデモがあったことで街中から注目された)。そして、この界隈最高のLGBTQスポットは、クラブでもディスコでもなく、ゲイシニアのためのクィーンズ・センターが入っているレンガ造りの低層ビルだ。ラディカルなクィア愛といつまでも若々しさを忘れない心を胸に、i-Dはある昼下がりにこの建物を訪れた。そのコミュニティの最高にスウィートなカップル(長年の恋人もいればプラトニックな大親友もいる)たちに、道を拓くことについて尋ねるために。

サム・カーロ(70歳)とハリー・キム(60歳)

——出会いのきっかけは?
サム:6年前にフロリダで出会ったんだ。ハリーはブルックリンに、私はウッドサイドに住んでいる。

——クィーンズ・センターがあなたにとって大切な理由は?
サム:ここに来るのが大好きなんだ。昼を食べて、話して、たくさんの新しい友だちに出会う。

——若いころは、どのような青年だったのですか?
サム:若いころは結婚していたんだ。20年以上もね。子どもがいて、孫もいる。子どもは45歳と42歳で、孫は21歳と13歳だよ。

——現在のゲイの権利を前向きにとらえていますか?
サム:ああ、もちろん。
ハリー:そうだね、とても前向きにとらえているよ。

——アイデンティティに悩む現代の若者に、何を伝えますか?
サム:何でもしてみたらいい。カムアウトは早いほうがいいから。孫もカムアウトしたところだ。彼は21歳。彼のことを誇りに思うよ。こう言ったんだ。「君が君らしくあること、君らしくあったこと、これからも君らしくあるだろうことを誇りに思う」って。自分らしくあればいい。

ヴァージル・メディーナ(55歳)とローレンス・クレッパー(80歳)

——出会いのきっかけは?
ローレンス:ヴァージルはニューオーリンズで学校を卒業したばかりだった。私は南ルイジアナ育ちだけど、1972年に(ニューヨークに)引っ越したんだ。ヴァージルは私の友人の友人になって、私がニューオーリンズの友人宅を訪ねたとき、ヴァージルに会ったんだよ。1978年くらいだったと思う。82年か83年に彼がこちらに移ってきて、それからずっと一緒に住んでいる。

——ともに過ごす最高の1日はどんなふう?
ローレンス:何もかもすべてさ! 出かけて、食事をするか、すてきなカフェに行く。ジャクソン・ハイツには、いろいろな国籍の人たちが経営するすてきな店がたくさんあるからね。

——若いころの自分にアドバイスするなら?
ローレンス:自分がいつもしてきたことをするのみ。

エレノア・バチェルダー(78歳)とフミコ・オオノ(69歳)

——出会いのきっかけは?
エレノア:1986年、私はニューヨークシティに住んでいたの。フミコはメキシコに住んでいたのだけど、日本食レストランで働くために6カ月だけニューヨークに来ていた。女性のための書店を通して、私たちは出会った。当時その書店を経営していた女性はスペイン語と英語のバイリンガルだった。彼女は私が日本語を勉強していることを知っていたから、フミコとその友だちが会話をする相手を求めて書店にやってきたとき、私のことが頭に浮かんだみたい。その友だちは「うーん」って感じだったけど、フミコは素晴らしかった。

——二人でどうやって過ごすのが好き?
エレノア:TVを観たり、映画に行ったり。美術館に行くのも好き。お祭りや郡の共進会に行くこともある。

——若いころの自分にちょっとしたアドバイスをするとしたら、どんなこと?
フミコ:自分の人生を後悔していないから、そういうことは考えない。
エレノア:私もそういう感じ。とても大胆に生きてきたから。私にとって、それですごくうまくいったしね。でも世の中のみんなが同じことをしたら、それはいい社会とは言えない——誰かは静かに、ただ自分の仕事だけする必要があるのね。

——現在のゲイの権利を前向きにとらえていますか?
エレノア:もちろん、以前よりはずっと、ずっと、ずっとマシになった。今問題を抱えているのは、トランスの人たち。私たちが解決しなくてはならなかった問題に今取り組んでいるわけだし、彼らにとっても難しい問題ね。私たちはDOMA[訳注:Defense of Marriage Actの略。結婚防衛法。ゲイの結婚を禁じる法律]がなくなったあとの2014年に結婚したから、フミコは私の社会保障給付金の恩恵を受けることができたし、グリーンカードを得ることもできた。30年ものあいだ一緒にいたけど、それまでは、彼女はグリーンカードを申請する基盤が何もなかったから。

リッチ・ミロ(69歳)とカール・エデン(78歳)

——出会いのきっかけは?
リッチ:ふたりともボランティア活動をしていたレズビアンとゲイのためのカウンセリングセンターで出会ったんだ。1978年ごろかな。私はカウンセラーで、彼はセラピストだった。イースターに、スタッフのためのパーティがあったんだよ。

——ともに過ごす理想の1日は?
リッチ:ビーチに行ったり、今と同じこともする——クィーンズ・センターにはよく来るんだ。とても大事なことだからね。

——クィーンズ・センターがあなたにとって大切な理由は?
リッチ:この界隈は、LGBTコミュニティがその足跡を歴史的に残してきた場所だからね。30年代、40年代、50年代にはたくさんの映画関係の人たちがいた。そんな特化した環境が、共同参加型の環境をつくり上げたんだよ。この国に暮らすために、人びとはここにやってきた——それが当時の国の姿だからね——そして小さなアパートを買い、自分の子どもや友だちに残した。そうやってコミュニティが発展していったんだよ。

——若いころの自分にちょっとしたアドバイスをするとしたら、どんなこと?
カール:もう少しお金を貯めて、運動をすること。
リッチ:自分自身を教育し、クリエイティブであることも忘れないが、同時に経済的にも社会的にも独立していること。自分が受けうるなかで最高の教育を受けること。だって最後には自分自身を、そしてもしかしたらほかの誰かも、サポートしなければいけなくなるからね。

——ゲイとして成長するのは、あなたにとってどんなものでしたか?
リッチ:私たちがカムアウトした当時、それは違法なことだった。私たちは犯罪者だったんだ。アメリカ精神医学会とイギリス精神医学会は、(ゲイであることを)精神疾患だとしていた。だから「お前は精神を病んでいて、しかも犯罪者だ」ってわけさ。ティーンのころに高校でそんなことを耳にするのはすごく辛かった。でも、周りにはたくさんのゲイの人たちがいるというのも知っていたんだ。アカペラ合唱団に入って、小さな劇場に出入りした。たくましいってわけじゃなかったけど、ジムに行くのは好きだったな(笑)!
カール:すぐそこの校庭で殺人事件が起こってからそれほど経たないころ、私たちはここに移ってきたんだ。殺された男はジュリオ・リヴェラという名だった。
リッチ:地域の市会議員は、街を訴えるために弁護士を雇わなけりゃならなかった。ちゃんと捜査したのかを確かめたのさ。1992年にここでパレードを企画したんだよ。カールをそこに連れて行って、それ以降、毎年パレードを見に行っている。市会議員によると、脅迫があるから、そこらへんの建物の屋上には狙撃手が配されているらしい。ルーズヴェルト・アヴェニュー沿いには、ゲイのレストランやディスコがいつだってたくさんあるんだ。都市部の至るところから、人が集まってくるんだよ。

——現在もまだカムアウトすることを恐れているかもしれない若者に、何かを伝えるとしたら?
カール:すでに君を愛している人たちにカムアウトするんだ。友だちとか家族とか。そのあと、年齢や趣味嗜好によって、どんなゲイ団体が自分に合うか考えてみるといい。それを見つけたら、そこを訪れなきゃな。ゲイ団体を訪ねるんだ。

——この週末は街のパレードに行きますか?
リッチ:大きなパレードに参加する予定だよ。バスに乗るんだ。

コンスタンス・ヴィエン(75歳)とグラディス・ベロエアル(74歳)

——出会いのきっかけは?
コンスタンス:41年も一緒なの。マンハッタンのバーで出会ってね。でもグラディスはコロンビア出身で、私はカナダ生まれだった。

——二人でどうやって過ごすのが好き?
コンスタンス:一緒に暮らすこと。24時間365日一緒なの! 何をするにも一緒。好きな時間は日曜の朝。くつろいでいるから。私はパズルをしたり、ふたりで日曜版の新聞を読んだり、それから教会に行く。それが私たちの1日。

——若いころの自分にアドバイスするとしたら、どんなこと?
コンスタンス:私はそれほど早い時期にカムアウトしなかったの。カムアウトは30代。もっと早くに始めることができたかもしれなかった。

——現在のLGBTQの権利を前向きに考えていますか?
コンスタンス:そうね、私たちが経験してきたもろもろのあと、よくなったと思う。ドアの前に生ゴミが置かれていたことがあったけど、それが何に対するものかはわかっていた。パレードに行くなら、大きな帽子とサングラスが必須。仕事を失うのが怖かったから。

——現在もまだカムアウトすることを恐れているかもしれない若者に、何かを伝えるとしたら?
コンスタンス:表に出て「ねえ、私ゲイなの」って言ったことは一度もないけど、否定することもなかった。ただこう言うの。「冷静にね。屋根の上から叫ぶ必要はない。ただそれをある日あるときに受け止める。それだけ」。

This article originally appeared on i-D US.