何にも囚われないイット的存在へ:GROWING PAINS 18AW

「幼少期を振り返り自分の中に無意識に“刷り込まれていた宇宙感”」。完全に解明されることのない、よく分からない宇宙の秘密と煌めく星に想いを馳せたGROWING PAINS。今季、デザイナーのYuliaが描いた“ミューズ”は、未だ見ぬエイリアンかもしれない。

by Tatsuya Yamaguchi; photos by Houmi Sakata
|
20 March 2018, 4:14pm

Yulia(マドモアゼル・ユリア)が手がけるGROWING PAINSのショー会場は、渋谷・桜丘町にあるCOSMO PLANETARIUM SHIBUYA。プラネタリウムの投影機を囲むようにして、天井に描かれた星を見るのとちょうど同じ角度で見上げた位置に、少し無骨な足場が組まれている。のちにモデルが歩くランウェイだ。

「想いを馳せるのは煌めく星たち」。今シーズンのテーマ「METEOR(流星)」を考えれば、これ以上にないロケーションだ——暗転して、ショーが始まった。MARS89の音楽によって、ゲストたち全員が「星」をめぐる旅に誘われる——モデルの足元の位置から2つの光が放たれ、本来ならば宇宙の星が投影されるところに、モデルの二重の影が巨大に映し出される(エイリアン?)。影が重なる部分はトーンが濃くなり、モデルの動きに応じて大きさが変化する。「年齢、人種を超えたファッションと世界観」。「中性的で、時代にとらわれないイット的存在」。彼女が語った一種の“ミューズ”は、ステレオタイプ的に分類することのできない“エイリアン”か、「宇宙の星」のような存在だ。

メタリックシルバーやブルー、ホワイトを中心としたカラーパレットに加え、随所にある蛍光色のラテックス素材やラメのファブリック、おおぶりの「宇宙服的」ダウンジャケット、RMKとコラボレートしたメイクアップでラメが光るリップもまた宇宙のイメージだ。エイリアンがお下げ髪でセーラー服を着ていたり、DARK MATTER(宇宙の暗黒物質)のタイポグラフィ——BANZAI DESIGNによるグラフィックに託したユーモアも忘れない。

ショーが進む。例えば前半でメンズモデルが着ていた変形MA1のコートが、後半のウィメンズモデルのルックはスタイリングによって「女性性」をおびはじめる。「今回はとくにサイズ展開を多くして、男性も女性も着られるユニセックスに」。服が内包する性別からの解放もまた、宇宙思想のひとつなのだろう。

「私が幼い頃、宇宙をテーマにしたアニメが数え切れないほどありました。セーラームーンも、マクロスもそう」と、ショーを終えた彼女が語った。「子どもの時に抱いた宇宙への憧れが今もあって、その“未知なるもの”の魅力をファッションに落とし込みたかったんです」。宇宙の謎が解明されつつある現代だからこそ、(たとえば彼女が子どものころの)少し前時代的で、まだ解像度の低かった“フューチャリスティック”には、無限の物語を描く余白があるのだ。

——3月14日に逝去した理論物理学者にして宇宙論の第一人者、スティーヴン・ホーキング博士が、こんなことを語っていたという。「『私たちはどこからやってきたのか?』。若い人たちにもこの疑問の答えを追求してほしいものです。“誰も知らなかったものを発見するスリル”に勝るものはありませんからね」

Tagged:
growing pains
yulia
amazon fashion week tokyo
AW18
BANZAI DESIGN