静かにそして着実に:BODYSONG. 18AW

ヒカリエAホールが超満員になる程、注目度の高さを見せつけた今回初参加のBODYSONG. 。今回の初ランウェイショーは、デザイナーだけではなく今までブランドとともに成長してきたBODYSONG. ファミリー全員による自己紹介から始まった。

by YOSHIKO KURATA; photos by Jus Vun
|
25 March 2018, 12:41pm

2003年にサイモン・パンメル監督が制作した自主映画「Bodysong」のサウンドトラックを聞きながら、会場に向かった。レディオヘッドのギターリストのジョニー・グリーンウッドが制作したそのゆるやかなサウンドとは反対に、映画は1時間以上の上映時間に約20秒間の「生と死」をテーマとした無数の映像が細切れにリミックスされている。まさにその「インプロビゼーション(即興性)」を表現しているのが、今回東京ファッションアワードに受賞し初ランウェイショーをむかえたBODYSONG. だ。

これだけ近年ファッションブランドとファッションデザイナーの顔と名前がリンクする時代に、顔と名前を非公開している匿名性の高いブランドだがここ数年に設立されたブランドではない(ショーで登場した十分な型数が証明している)。とはいえ、公に出るのは今回が初ということもあってかショーは、ブランドの特徴をふんだんに用いた自己紹介だった。では、自ら自分のことをあまり言葉で語らない彼の代わりにBODYSONG. の自己紹介文を記しておこう。

いまやここのがっこう卒業生が積み上げてきた功績のおかげで、東京ファッションウィークではランウェイショー以外にも自由な表現方法も受け入れられるようになった。その前進とも言えるかたちでBODYSONG. はブランド立ち上げ初期の頃から、彼の友人であるBALMUNG, runurunu, obsessなどと共に合同インスタレーション兼展示会などを積極的に行ってきた(むしろ周りの友人からの誘いがブランド立ち上げのきっかけとなったという)。「ファッションブランドとして、服のデザインだけではなく総合的にデザイン(表現活動)をしたい」と話す通り、周りのクルーと一緒にブランドをあらゆる方法で表現している(VETEMENTSがデムナだけではなくスタイリストのロッタ、CEOに弟・グラムで構成されているように)。今回のショーでもその「BODYSONG. ファミリー」であるフォトグラファー・三宅英正、スタイリスト・小山田孝司、スタイリスト・市野沢祐大、アートディレクター・CATTLEYA TOKYO、少数のアシスタントに支えられ、ファーストルックでは過去にルックモデルとして起用されたモトーラ世理奈が登場した。

ブランド名の通り「音楽」もデザインにおいては必要不可欠な存在だ。ノイズミュージックに強く影響を受けているというデザイナーのルーツを今回披露されたバンドの熱気溢れた生演奏にあらわした。その演奏とともに登場するBODYSONG. が創り出す服は、ブランドコンセプト「インプロビゼーション(即興性)」の通り、どれも一点ものかのように様々な素材やモチーフがハイブリッドされている。またオリジナルのジャガードや異素材––今回は資材や防弾チョッキに使われる特殊素材を用いる––ブランド名の頭文字「B」をはじめとしたタイポグラフィーなどが毎シーズンブランドの遊び心として用いられる。昨シーズンにコラボレーションを行ったアーティスト・中里周子とのアクセサリーアイテムが今季も登場した。

シャイな彼らしく静かにそして確実に新境地を開拓し始めている。これはまだ序章であることを忘れてはいけない。