90s X-girlを蘇らせる

90年代に「by-girls-for-girls」のブランドとしてカルト的人気を誇ったX-girl。そのルーツを探り、その力を現代に蘇らせたMadeMeの創始者エリン・マギーと、X-girl創始者キム・ゴードンの娘ココ・ゴードン・ムーアにインタビューを行った。さらに、MadeMe x X-girlのコラボレーション映像を独占公開!

by Emily Manning
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02 November 2016, 10:45am

Photography Ricky Saiz

ココ・ゴードン・ムーア(Coco Gordon Moore)は、X-girlのTシャツをたくさん持っている。「多すぎるぐらい。でもやっぱりX-girlが好きなの」とココはメールで打ち明ける。彼女がX-girlのアイテムをそこまで大量に所有しているのは、もちろん彼女がX-Girl創始者キム・ゴードン(Kim Gordon)の娘だからである。キムは、Sonic Youthのベーシストとしてシーンに登場し、90年代にはカルト的人気となったファッションレーベルX-girlを立ち上げた。その母から、ココは多くのアイテムを受け継いだ。ときには勝ち取らねばならなかったこともあったそうだ。「いとこ数人と、1着のジャケットを巡って口論になったこともある。"X-girl prep"とプリントされたウィンタージャケットで、赤いフェイクファーのライニングが施されてた」と彼女は当時を回想する。X-girlの精神を継承したエリン・マギーが立ち上げた女性用ストリートウェア・ラインMadeMeの声がけで今回、X-girlとのコラボレーションを果たしたココだが、ルックブックやVHSスタイルのビデオの撮影では赤いパファジャケットや虹色のセーター、キャンバスのオーバーオールドレスを選んでいる。

X-girlは、キム・ゴードンと、スタイリストのデイジー・ヴァン・ファースが1993年に立ち上げたファッションレーベルだ。1998年にB's International社に売却されて以来、日本で事業を拡大し、現在では日本国内に32店舗を構えている。キムとデイジーが運営に携わっていたのは5年間と短かったが、ゴダール調の女の子像とスケータースタイルをブレンドして、X-girlロゴで飾ったTシャツやミニドレス、フェイクファー・ジャケットなどは、発表して間もなくソフィア・コッポラやクロエ・セヴィニー、そして若きマギーなど多くの女性アイコンを惹きつけた。「私が知るかぎりX-girlこそは、女の子が女の子のためだけに、性別を超えた世界観の服を作った最初のファッションレーベルだった」とマギーは語っている。「X-girlが売っていたのは"セクシーキュート"な服じゃなくて、興味の対象やアイデア、カルチャー、そして何といっても急進的な女の子の考え方だったの」

X-girlが放っていた女の子エンパワーメントの姿勢と、それが残した唯一無二の世界観にインスパイアされ、2007年、マギーはMadeMeを立ち上げた。Supremeの商品開発部でディレクターを務めながら、自身のブランドを立ち上げた形となった。X-girlとMadeMe、そしてココのコラボレーションをi-Dが知ったのは昨年11月のこと。チャイナタウンでのお泊まり会をドリーミーに表現したペトラ・コリンズによる写真満載の2016年春夏コレクション用ZINEを、MadeMeが発行したと報じたときだった。それから1年が過ぎた今、ようやくマギーがフルコレクションをオンラインで発表した。「ライオットガール・ムーブメントの流れ」というX-girlのルーツを、改めて、そして巧みに表現したルックブックも掲載されている。ルックブックに用いられている写真は映像作家リッキー・サイズ(Ricky Saiz)によるもの。彼はスケーター/ミュージシャン/モデルとしてマルチな活躍を見せるジュリアン・クリンスウィッツ(Julian Klincewicz)を起用した、X-girl×MadeMeのビデオも手がけている。「リッキーは、ブランドの歴史的背景を本当によく理解しているアーティスト。ジュリアンは荒削りな才能に溢れた人。ふたりと組むことで、実際に1994年に撮影されたと勘違いしてしまうような作品にしたかったの」とマギーは説明する。

リッキーはその使命を果たしたようだ。ルックブック同様、ビデオもまた1990年代初頭のX-girl黄金期にインスピレーションを得て作られており、若き日のセヴィニーを起用してフィル・モリソンが1995年に作ったゴダール調のビデオを彷彿とさせる。荒い映像が特徴的だったSonic Youthのビデオも連想させる作りだが、そこに当てこまれている声はゴードンのものではないそう——その声も言葉も、娘のココによるものだ。マギーとココが、ココのクローゼットについて、そして今回のコラボレーションが世代を超えた"クールガール"の祝福であることについて、語ってくれた。

マギーに質問です。このコレクションを制作するうえで、影響を受けたのは何でしたか? X-girlのアーカイブを研究したりしたのでしょうか?
マギー:MadeMeでX-girl黄金期のルックスを表現したかったの。「女の子のための服」という起源にオマージュを捧げるということが重要でした。そのために、ブランド立ち上げ当初のルックブックや、90年代初頭に撮影された写真をX-girlから見せてもらって。私自身も当時のX-girlのアイテムをいくつか持っていたし、ネットで買ったり、昔の『DUNE』を見たりして、頭の中を完全に90年代に戻してコレクション制作に没頭したの!

ココへの質問です。あなたが持っているX-girlアイテムについてもう少し聞かせてください。それらのアイテムを着て育ったのでしょうか?それとも後になってX-girlに興味を持ったのですか?
ココ:15歳とか16歳になるまでは着なかったかな。もっと小さい頃には、たぶんママが私に着させてたと思うけど。私のお気に入りは『x-girl tennis』とか『x-girl prep』のシリーズだった。ジーンズも好きだったけど、1本しか持っていなくて、今じゃキツすぎるの。クラシック・ラインが好き。X-girlの服を着たママやデイジー、ソフィア・コッポラ、クロエ・セヴィニーを撮った90年代の写真が、私のファッションスタイルに大きな影響を与えてるの。ああいう着こなしがしたい。

マギー、あなたは一貫して素晴らしいコラボレーションを作り出し続けていますが、今回、X-girlとのコラボレーションはどのように実現させたのでしょうか?
マギー:友人のザカリー・チン(Zachary Ching)が日本のX-girlのチームに引き合わせてくれて、彼らに話を持ちかけたのがきっかけよ!

ココはどのようにしてこのコラボレーションに関わることになったのでしょう?
ココ:たしか、エリンが「コラボレーションしましょう」ってメールを送ってくれたのよね。「やる」って即決だったわ。X-girlのルックもモデルも大好きだったから、この話には舞い上がった。それも90年代のあの世界観を蘇らせるっていう話だったから大興奮だったわ。

マギー、ビジュアルについて教えてください。リッキーとジュリアンとのコラボレーションはどのような経緯で実現したのでしょう?モデルとして、そしてコラボレーターとしてのココはいかがでしたか?
マギー:1年ぐらい前にリッキーと話したとき、「X-girlとラインを作ることになった」って言ったら、リッキーが「写真を撮らせてほしい!」って言ってくれて。それが叶ったわけだけど、リッキーは本当に適任だった。彼は90年代のオリジナルX-girlの世界観を実体験として理解してるしね。ココに関しては、もう手放しで賞賛を送るわ。ココと同世代の女の子たちとこれまでもたくさん仕事をしてきたけど、ココほどプロフェッショナルな子はいなかったわ。仕事に熱心だし、実年齢よりもずっと賢いし、なにより、当たり前だけど、X-girlそのものだもの!

ココ、リッキーとの撮影について教えてください。
ココ:楽しい撮影だったわ。ゆるくて、昔のX-girlの広告キャンペーンの世界観が再現されてて、70年代感もあって——あの"元気のない"感じね。マギーとリッキーに「セクシーに見せないからこそセクシー」っていう世界観について話してもらったのを鮮明に覚えてるわ。

音声で使われていた言葉は、どんなアイデアから?
ココ:8月に、Rox Tox Art Galleryでショーをやったんだけど、そのカタログの言葉だったの。元々は、美術の授業中にノートに書いた言葉や、私のペインティングやプロジェクト・アイデアを書き留めた言葉だったりしたものなんだけど、それを寄せ集めてみたら詩みたいになって。映像にその朗読を当ててみたら、ビデオに抽象的な物語性が——ビデオに出演している女の子の物語がそこに生まれたように感じたわ。

あの朗読は、あなたのお母さんがSonic Youthの「Tunic」や「Teen Age Riot」で打ち立てたスポークンワードの世界観を彷彿とさせます。それを意識したのでしょうか?
ココ:特にそれらの曲のことを考えたわけではなかったけど、ママの音楽性は私の体に組み込まれたものだと思うから、それが滲み出たのかも。フィル・モリソンが作ったX-girlのビデオに当てられたクロエやママの声のことは考えたわ。でも、正直にいうと、私は本当に自分の声が嫌いで、映像を見るのも少し心地悪いの(笑)。

キムはX-girlとは久しく関わっていませんが、今回のプロジェクトには関係しているようですね。キムはこのコラボレーションにどう関わっていたのでしょうか?
マギー:応援よ。それだけで十分だった。あらゆる意味でキムは私のアイドルで、キムの承認が得られるなんて、それだけでクールだから。

MadeMeは、70年代パンクのチェック柄や、バンドHoleでコートニー・ラブが着ていたベビードールドレスなど、過去のモチーフを多く取り入れ、それを現代に再解釈してきました。現代の若い女性に、今回のコラボレーションから何を感じ取ってほしいと願っていますか?
マギー:今は、時代が一回りしてより大きくなったガールパワーの時代。90年代初頭というのは、いま改めて思い出し、語られるべき時代なの。そこから学べるように、X-girlを現代のクールガールたちに紹介したかった。もう20数年も前に、キムとデイジーがとんでもなくクールなものを作り出した——真に特別なものだからこそ廃れることなく、現代まで息づいている、そんな素晴らしくクールなものをね。そして、90年代初頭にX-girlが思い描いた完璧な女の子像を、ココが見事に体現してくれているの。

Check out Saiz's full MadeMe® / X-girl™ lookbook here, and score a piece of the collaboration while you still can. 

@mademe_nyc

Credits


Text Emily Manning
Photography Ricky Saiz, courtesy of MadeMe
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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