独占プレビュー:『Polyester』最新号が素晴らしい

前号からの期待を上回る、完璧な出来栄えをみせたロンドン発の『Polyester』第5号。EU離脱を決めたイギリスの憂鬱な雰囲気をきれいに晴らしてくれる。

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aug 2 2016, 6:48am

Anna Dobos for Polyester Zine

雑誌『Polyester』の前号4号はセルフプロデュースの伝説タヴィ・ゲヴィンソン(Tavi Gevinson)を表紙に起用し、リアーナのビデオで一躍有名になったサナム・シンディ(Sanam Sindhi)やロンドンのドラァグアーティスト、ヴィクトリア・シン(Victoria Sin)とのインタビュー掲載などで大きな話題を呼んだ。否が応でも次号への期待が高まる中、スタッフを増やして挑むエディターのアイオン・ギャンブル(Ione Gamble)はフェミニズムをテーマに最新号制作に挑み、またもや素晴らしい号を生み出した。

先日、イーストロンドンのMoth Clubで開かれたローンチパーティではDIANAやエドワード・ミーダム(Edward Meadham)、ムーンチャイルド、ルー・ウィリアムズ(Lu Williams)、そしてリール・グッド・フィルム・クラブ(Reel Good Film Club)がパフォーマンスやDJを披露するという。アイオンに話を聞きながら、雑誌業界を席巻している『Polyester』の最新号から選りすぐりのページを紹介しよう。

Edward Meadham for Polyester 

4号の発行以来、『Polyester』のチームはどんな日々を送ってきたのでしょうか?
5号を制作してたわよ!この最新号は『Polyester』の歴史上最大のボリュームで、私たちはこれをこうして発売できることをとても嬉しく思ってるわ。それと、新しいスタッフが加入したの。エイリー・ダフィー(Eilidh Duffy)がジュニアエディターとして参加したのと、フォトグラファーのクロエ・シェパード(Chloe Sheppard)が新たにアートディレクターとしてチームに加わって、私と一緒に誌面のレイアウトを担当してくれてるの。新たな意見を得て最新号を作るのは楽しかったわ。

最新号はどんな内容になっているのでしょうか?
セックスや自己啓発のコラムあり、メイジー・カズンズ(Meisie Cousins)やパーカー・デイ(Parker Day)、アシュリー・アーミテージ(Ashely Armitage)、クロエ・シャパード、レイチェル・ホッグソン(Rachel Hodgson)、テイラー・スミス(Taylor Smith)が撮りおろした写真ありで、面白い出来栄えになってるわ。映画プロデューサーでアクティビストのクロエ・フェラー(Chloe Feller)やパフォーマンスアーティストのリヴ・フォンテーン(Liv Fontaine)、それとダンスミュージック集団SIRENとディスクウーマン(Discwoman)の対談も掲載されていて、Le TigreのJDサムソン(JD Samson)のほかたくさんの人物もフィーチャーされているの。エドワード・ミーダムも14ページもののエディトリアルを担当してくれていて、それが素晴らしい。そして、ホッブズ・ギンズバーグ(Hobbes Ginsberg)が撮りおろしたミュージシャンのHANAの写真はダブルカバーのひとつに使われていて、これも素晴らしい出来栄えよ。もう片面のカバーはエドワード・ミーダムが撮ったものになってるの。

JD Samson by Rachel Hodgson for Polyester

「エディターズ・レター」のなかで「世界には大きな変化が起こった」と書いていますね。変化は、この号にどんな影響を与えたのでしょうか?
イギリスがEUに残留するか離脱するかの国民投票があったとき、この号のコンテンツはほとんどすべてが制作完了していたの。でも、いま考えるとあの出来事が私のこの号に対する見方を大きく変えたのがよくわかる。離脱するということそのものよりも(離脱という決定が最悪だということには変わりないんだけれど)、その後に起こった混乱が——すべてがダークで絶望的に思えたの。なにより、私の周りの誰もが感じていたその絶望感と悲しさ、そして怒りに、何かしらの対抗手段を講じたいと私に思わせるには十分な出来事だった。「『Polyester』の制作にたずさわるアーティストたちやコミュニティを祝福したい」「私たちの社会政治的アジェンダと主張を発信していきたい」と強く思ったわ。

Edward Meadham for Polyester 

いくつかの言葉を引用して、最新号を言い表すとしたら?
「自分と同じ市民へのバイオレンスは、いま大きな流れとして現実に起こっている。それはとても危険なこと。他に起こっていることに目を向けることが大切——なぜなら私たちは小さな泡のなかに生きているようなもので、その泡のなかで完璧な存在として生きているわけだから。そして私たちは、自分たちがとても先進的で急進的な存在なんだということを忘れがち。お互いではなく、もっと他に戦うべき、倒すべき対象がある」。JDサムソンが言ったことよ。
それと「⑴本来の自分じゃ不十分だと思い、信じてしまったのはいつのこと? ⑵もしもフェミニニティ(女性であること)があなたにとって居心地の悪い女性像を与えるものではなく、あなた自身の感情や振る舞いで具現化できるものだったら——そう考えてみて ⑶可愛くありたいと思うけど、可愛くありたいと思わされたくはない」——私たちのミューズが語った、アシュリー・アーミテージのビューティ・マニフェストの一文。
「メインストリームのメディアは、私たち自身が望むようには自分たちのことを語らせてくれない。だから、そこに多くの問題が起こる。"どんな風に描いていこうか?どんな風に描かれたい?"と問うことすらしない。パワフルで影響力を持った作品を作るアーティストについて、なぜ語ろうとしないの?どうしてそれをニッチなものとして描かなくてはならないの? そんな見せ方をするから一般市民はそれをそういうものとしてしか見なくなるし、アーティストたちは永遠にそんな風に消費され続けるのよ」。これはクロエ・フェラーがマイノリティの描かれ方について語った言葉。
「敬意というものは、教えるのが難しい。ならば、敬意は強要していかなきゃならない」。これはHANAの言葉。
「"芝居がかってる"だなんて男が言われてるのを、これまえ見たことが一度でもある?感情の起伏が激しくて、誰とでも寝て、父親との関係がトラウマになってて、アル中気味の、私たちみたいな女は、そろって"芝居がかってる"なんて言われるのにね」。リヴ・フォーンテーンが言った言葉よ。

Hana by Hobbes Ginsberg for Polyester

Ashley Armitage for Polyester

Chloe Sheppard for Polyester

Zhala by Märta Thisner for Polyester

 Polyester Zine Issue Five launch 

www.polyesterzine.com/buy

Credits


Text Charlotte Gush
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.