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      fashion Lynette Nylander 16 March, 2017

      英国に上陸したdoubletの井野将之

      Dover Street Marketが商品を取り扱うことになり、イギリス上陸を果たしたdoublet。ブランド創始者であるデザイナー・井野将之に話を訊いた。

      2012年に創立された日本のブランドdoubletは、まったく新しいストリートウェアの形を打ち出して、着実にファン層を増やしている。何が新しく、何が多くの人々の心を掴んでいるのか——それは、さまざまな異種のアイデアを融合している点にある。2枚のヴィンテージTシャツをつなぎ合わせ、胸に「Integrated(一体化)」の文字を配して飾っているアイテムや、手染めのフーディ、80年代調シェル・トラックスーツ、そしてスカジャン素材で作った上下などがあり、そのブランド名にも示唆されているように「世界観のまったく違うアイデアをひとつの作品に落とし込む」というブランドのアイデンティティが視覚的に体現されている。『Too Much』と題された2017年春夏コレクションでは、現代の若者をまっすぐに見つめた世界観のキャンペーンを展開し、スケート文化を通してストリートを捉えた。Doublet創始者でデザイナーの井野将之に、ブランドの軌跡、doubletというブランド名に込めた思い、そして彼が影響を受けているデザイナーたちについて訊いた。

      doubletを立ち上げ前には他ブランドで働いた経験があったのでしょうか?
      若い頃からファッションに興味があり、ずっと自分自身のブランドを持ちたいと考えてはいたんです。高校生になってもファッションについてはまったく専門知識がなかったので、卒業してから東京モード学園でファッションを学びました。その後は、大手ファッション企業で働き始めましたが、自分がデザインしたいもの、自分が作りたいものがはっきりしすぎていて、長くは続きませんでしたね。自分が良いと思うようなものをデザインできない環境だったんです。退職した途端、それまで取引していた工場さんたちから繋がりを断たれ、支援の姿勢さえも見せてくれなくなって——誰も進んで助けようとはしてくれませんでしたね。唯一、地元のベルト生産工場が、営業を終えて余った革の切れ端を提供してくれました。それを使って作ったベルトやバッグを三原康裕さんに見せたところ、MIHARAYASUHIROで働かせてもらえることになりました。MIHARAYASUHIROでは7年間働かせてもらいましたが、ミハラさんにはたくさんのことを学びました。あの経験がなければ、自分のコレクションを作り上げるなんてできなかったと思います。

      ブランド立ち上げの経緯について教えてください。
      三原さんとのものづくりを経験したら、シューズやバッグだけでなく既製服もデザインしたくなったんです。MIHARAYASUHIROでの7年間で、デザインのプロセスだけでなく、工場や業者の後ろ盾がいかに大切かということも学びました。自分のブランドを立ち上げようと決めたとき、MIHARAYASUHIROを通して知り合った工場や業者の方々が支援の姿勢を見せてくれたのがとても嬉しかったですね。だから、「やってみよう」と思ったんです。その結果が今です!

      ブランドの趣旨を教えてください。
      「ダブレット」っていうのは、『不思議の国のアリス』の著者ルイス・キャロルが世に広めた言葉遊びのゲーム「ことばの梯子(Word Ladders)」の別名なんです。自分が作る服は、言葉遊びみたいだなと思うんです。服に、なにかひとつコンセプトを付け加える——doubletはユーモアとロジックに満ちたコレクションだと自分では思っています。ものづくりには、意味と理由がなければならない。ものをデザインして作り出すときは、まず、アイデアを話し合います。それから自分のメッセージとアイデアをいかに服へと織りこんで、お客さんに伝えるかを考えます。

      尊敬するデザイナーは?
      憧れのデザイナーはたくさんいますね。UNDERCOVERの高橋盾さん。SHINICHIRO ARAKAWAの荒川眞一郎さん。三原さんはもちろん、マルタン・マルジェラ、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク、ジェレミー・スコットといったデザイナーも尊敬しています。ファッションを学んでいた頃は、インターネットも今ほど発達していなかったんですけど、いま名前を挙げたデザイナーたちは、かぎられた情報をもとに大胆で素晴らしい商品を作っていたんですよ。

      doubletを体現する人物像とは?
      特定のひとを思い浮かべることはないですね。大切なのは、そして自分のものづくりとは「自分が着たい服かどうか」。デザイナーこそが自分の作品の1番のファンでなければならないと思っています。

      今後、doubletはどう成長していくと考えていますか?
      ルックブックを作るごとにブランドが成長しているのを感じています。まだランウェイのショーをやったことがなく、これまではルックブックでのみコレクションを見せてきたんです。
      うちの写真家とスタイリストのチームは、どうすればdoubletというブランドのイメージを改善していけるかについて率直な意見を聞かせてくれます。みんなものすごくクリエイティブ!新しい技術やアイデアを考え出したりしていきたいですし、もちろん売り上げも伸ばして、ブランドを成長させていきたいですね。でも、自分にとっての成功は「自分が満足できて、まわりのひとたちを幸せにできる状況」。だから、毎シーズン、ただものづくりを楽しんでいけたらと思っています。

      Credits

      Text Lynette Nylander
      Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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      Topics:fashion, fashion interviews, doublet, streetwear, japan, japanese fashion, masayuki ino, dover street market

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