Photography Petra Collins

タヴィ・ゲヴィンソンが語る『Rookie on Love』:愛と、それについて書くことの難しさを超えて

文筆家で女優のタヴィ・ゲヴィンソンが、ミツキ(Mitski)やジェニー・チャン(Jenny Zhang)、ヒルトン・アルスらのエッセイを収めたRookieからの最新刊『Rookie on Love』についてi-Dに語ってくれた。

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18 January 2018, 9:57am

Photography Petra Collins

This article was originally published by i-D US.

「愛はそこらじゅうにある」とタヴィ・ゲヴィンソンは書く。文筆家で女優、そしてウェブサイト「Rookie Magazine」の創設者でもある21歳の彼女が手がけた最新刊『Rookie on Love』(ペンギン・ランダムハウス)の序章に記された言葉だ。「でも、その対象が誰か別の人間とは限らない。自分の最高の仲間が、自分自身ということもある。ティーン・アイドルに夢中で憧れる楽しさや、いろんな愛の形を知ろうとする挑戦そのものの中に、あなたは愛を見つけるかもしれない」

『Rookie on Love』はRookie発の5番目の本。2012年から2015年までタヴィと彼女のチームが毎年刊行していた『ルーキー・イヤーブック』に続く出版物だ。イヤーブックが、若者が生きる上で経験する特有の瞬間をとらえるようにまとめられていたのに対して、『Rookie on Love』は「愛」というひとつのテーマをあらゆる角度から追求している。その形や、とらえ方もさまざま。『Rookie on Love』は、45人もの寄稿者の作品を通して、エモーショナルな旅へと読者を誘う。参加した顔ぶれは、フローレンス・ウェルチ、アレッシア・カーラ、ヒルトン・アルス、ガボレイ・シディベ、そしてデュルガ・チュボース(Durga Chew-Bose)に加え、Rookieではおなじみの執筆陣もたくさん参加している。その誰もが、友情やロマンスや自尊心、何かや誰かに夢中になることについて胸の奥深くにある思いを、エッセイや詩、コミックやインタビューの形で明らかにしている。

この本で扱われるテーマは、「ホールマーク社のグリーティング・カード」に書かれているような意味での「愛」の域をはるかに超えている。ここで語られるのは、リアルなつながりのこと--友だち同士の、家族間の、自分自身との。そしてそれらのつながりが変化し、進化していくあらゆる可能性までをも読むことができる。ときに愛は一方的なもの、文筆家のキアナ・キンバリー・フロレス(Kiana Kimberly Flores)が「Unrequited(報われない思い)」と題したエッセイで語っているように。愛は情熱に身を捧げることでもある、ミュージシャンのミツキが「Centripetal Force(求心力)」というテキストで説明するように。そしてときにもっとも大事なのは、自分自身を愛すること。ダニエル・ヘンダーソン(Danielle Henderson)がセルフケアについてのエッセイ「You First(まず、あなたが)」でそう書いている。

『Rookie on Love』について、そして「恋愛以外の」愛を育むことがなぜそれほど大切なのか、タヴィがi-Dに語ってくれた。

--『Rookie on Love』のアイデアはどのように生まれたんですか?
ボリュームたっぷりの『Rookie Year Book』(ウェブサイトで発表された1年分の作品を1冊にまとめた本)を4冊作ってきて、ひとまず締めくくりにしたかったんです。これで高校生活の1年に1冊ずつある、ということになるし。次のシリーズはすべて新作でいくべきだと、私たちみんなが考えていました。それに立派な研究書みたいなものより、手元に置けるガイドのような本がいい、とも。
私たちのサイトの相談コーナーに寄せられるのは、まずほとんどが愛についての質問。次に自分を好きになること/自分を信じること/自尊心などについて。そして家族や友達との関係のこと。『Rookie on Love』はこの全部のトピックを網羅できると気づいたんです。そうやってまとめれば、『Rookie on Your Parents(ルーキーと考える:親について)』みたいな変な感じのタイトルの本を、これから先も出さなくて済む。それに、「愛」にはファンになることや熱中することも含まれるから、本の中にポップ・カルチャーを扱う場所も作れるし。

寄稿してくれた人たちにとっても、「愛」は書きたい気持ちを掻き立てられるテーマだったみたいです。普遍的で、同時にすごく具体的な記憶や想いを呼び起こすものだから。私は「愛」というのが言葉では表現しきれない感情である、というところにすごくひかれていて。だからこそ、この本に参加したたくさんの人たち、私の好きなたくさんの書き手たちが、そんな私の考え方が必ずしも正しくないことを作品で示してくれて、とても衝撃を受けました。

--多くの場合、私たちは「愛」というと恋愛関係を連想します。暮らしの中にある「恋愛以外の」愛も育むよう促すことが大切だと、あなたが考えるのはなぜでしょうか?
現代の世俗的な社会では、ソウルメイトという概念--「ただひとつの真実の愛」とか「理想の王子さま」とか--が神さまのように信仰されていて、そのために生き、自分を変えてでも身を捧げる価値のあるもののようになっています。そしてその考え方を媒体として、資本主義的でヘテロノーマティブで家父長主義的な勢力が商品を売りつけ、女性を抑圧し、クィアの人たちを疎外している。愛という「商品」を愛するのをやめることで、存在もしない概念で相手を喜ばせようとすることから解放されて、自分自身の声や、自分の本当の欲望や必要性に耳を傾けることができるようになります。もっと深くてリアルな愛を受け入れることもできるようになるはず。例えば素晴らしい友情、面倒だけど報われる家族関係、自分のすべきことやあらゆる表現活動に見出されるべき喜び……そういうすべてのことを「愛」と捉えることで、恋愛に対してもそれらに似たつながりの感覚とか、自分を知ってもらうこと、お互いを本当の意味で理解することなどを求めることができるようになると思います。映画の中から出てきたような、見た目にはいいけど感情としてはどこか違うな、という恋を探すんじゃなくてね。

--この本に収録された「Centripetal Force」というエッセイで、ミツキは音楽への深い愛について書いていますね。それがいかに彼女に深く悲しみを感じさせ、さらにそこからの出口を示してくれるか、ということを語っています。あなたも書くことや演技を通して、同じことを経験してきましたか?
もちろん。書くことと演じることは、私に無敵感を味わわせてくれます。この人生で何が起きてもそれをエネルギーに変える方法が、状況を打破する突破口がある、という気持ちになるんです。「私は何者か」という問いの答えはこれから見出されていくのであって、「これまで私が何者だったか」に縛られるものじゃないんだ、と感じられるというか。だからみんなの創造力を源として生み出されるのものが、愛であってほしいんです。恐怖や不安や失敗を恐れる気持ちではなく。愛することで、もっとたくさんの可能性や、自分が存在する方法の選択肢を作り出すことができるから。例えば初めて自分の気持ちをはっきりと表現した文章を書いたとき。初めて一体何が起こったのかわからなくなるほど夢中だったことに気づきながら、舞台袖に戻ったとき。そしていまのボーイフレンドに出会って、彼と話しているとこの世界が恐ろしいものではなくなり、私の人生が重荷から解放されていくことがわかったとき。そういう瞬間に、私にはどんなことも可能になるんです。

--ダニエル・ヘンダーソンのエッセイ「You First」はセルフケアの大切さに焦点を当てていますね。あなたが生きる上で指針にしているセルフケアのアドバイスは?
アン・ラモットの「徹底したセルフケアは飛躍的なもの、まるで新鮮な空気みたいに、あなたの中から周りの空気に広がり出ていく」という言葉。

--この本の出版を記念して行われるイベントについて、少し教えてください。
これまでRookieでは、本を出すごとにイベントツアーを開催してきました。寄稿者による朗読があったり、私が本にサインをしたり。それにだいたいは何らかのディスカッションみたいなものが始まります。集まった人たちが、自分も見せたり話したりしたいことを持って集まるから。オンラインで活動していると、何もない空間に向かって叫んでいるような気がすることもあるので、自分たちのコミュニティと言える人たちに直接会えることで、私たちもポジティブになれます。特に来てくれた人たち同士が友達になったり、ひとりで参加した人が他の誰かの連絡先を手にして会場を後にするのを見たときにはね。それからRookieが始まったときにはまだサイトを読むには早すぎたけれど、最近になってアクセスしてくれた年の若いファンのみんなに会ったりとか、最初から私たちを応援してくれていて、Rookieと一緒に中学、高校、大学と成長してきたファンの人たちに会えたときもそう。本当に最高の気持ちで、胸がいっぱいになってしまうんです。

『Rookie on Love』はペンギン・ランダムハウスから既刊。