doublet 17AW シュルレアルを着たリアル

UK版i-Dも注目のユニセックス・ブランドdoublet。最新コレクションでは、 非プロフェッショナルのモデルを多数起用することで、日常的でリアルなショー空間を演出し、超現実的なコレクションピースを際立たせた。

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mar 30 2017, 6:50am

doubletの17AWコレクションが3月25日(土)に東京・渋谷ヒカリエで発表された。意外にもショー形式での発表は今回が初となる。青、緑、黄色のレーザービームが飛び交う会場に、アップテンポの曲がガンガンと鳴りはじめると同時に、モデルたちが登場。レイヴで踊り明かした後のような姿で歩く彼らはレーザービームの色にも増してカラフルだ。

人種のバランス(日本人、黒人、白人)やジェンダー・イクオリティはもちろん、体型(猫背、筋肉隆々、ぷっくらと出たお腹)においても今季の東京ファッションウィークでは群を抜いて多様性に富んでいる。これはキャスティングによるところが大きい。井野とdoubletのチームはストリートでキャスティングを行い、27ルックのうち15人はモデル経験のない素人を器用したという。また、スタイリングやウォーキングに関しても「かっこよくみせるのではなく、その人に似合う」ことを優先してショーを組み立てていったようだ。「例えば、お腹が出ている人だったら、(スタイリングで)お腹を出したり。ドラァグクイーンの方には、歩き方が素晴らしいから、そのまま歩いてほしいと伝えました。その人らしいのが一番かっこいい。それを集合体でみせたときに強さが生まれるんじゃないかと思ってキャスティングしていきました」

モデルが日常的でリアルだった一方で、コレクションピースはシュルレアルな様相を呈していた。ワッペンのアルファベットを散りばめたコート、ワッペンから垂れるUSAの文字、「knit」と書かれたニットセーターにニット帽。スカジャンから飛び出したような刺繍の虎と龍は、ライダースジャケットやジャージの上でコラージュされている。90年代のカンパニーロゴにはPARISやMILAN、NYCの文字が加えられ、時代性が剥奪されたような不思議な印象を見る者に与える。

そうした奇抜な服をより一層引き立てていたのは、非プロフェッショナルのモデルであり、バックステージにあふれた和気あいあいとした雰囲気であり、ジェンダーや人種のバランスにおける徹底した"リアリティ"だろう。美は、リアルや日常性を徹底した果てに——または、身の回りにあるものにワンダー(不可思議)を幻視することから——立ち上がるものなのかもしれない。シュルレアリストたちの精神的支柱であった詩人アンドレ・ブルトンはこう言っている。「不可思議なものはつねに美しい、いかなるかたちにせよ、不可思議なものは美しい、美しいものは不可思議なものをおいて他にないとすら言えるだろう」

Credits


Photography Shun Komiyama
Text Sogo Hiraiwa