次世代のアウトフィットを描くJULIUS

デザイナーがミュージシャンからインスピレーションを得ることは、もはや珍しくない時代、東京ブランドJULIUSはそれをさらに新しいレベルへと引き上げた。クラブカルチャーがどのようにJULIUSに影響を与え、ベルリンでのナイトライフがどれほど重要であったかを、デザイナー堀川達郎に語ってもらった。

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14 July 2016, 3:20am

数年前、カール・ラガーフェルドがパリ在住のミシェル・ゴベール(Michel Gaubert) に"サウンドスタイリスト"の称呼を与えて以来、ファッションと音楽の密接な関係は世界中で見受けられる。

DJとしてのミシェル・ゴベールは、最近ではChanelやDior、Célineといったハイブランドのファッションショーでサウンドを担当する。そんなファッションショーのための音楽は、両者のクリエイティビティにおける最善のコンビネーションといえるだろう。デザイナーたちは、ランウェイから離れ音楽の世界に没頭し、様々なバンドの多種多様なサウンドにインスピレーションを受ける。ミューズとしてのミュージシャンやバンドを発掘して、彼らと共にコレクションを創造する。これについての良い例はエディ・スリマンだ。彼は、SAINT LAURENTのアイコニックなロックとレザーによってだけではなく、マリリン・マンソンやコートニー・ラブ、スカイ・フェレイラのようなスターたちと新しいモードを作り上げた。そして、多くのミュージシャンたちに新しいスタイルを与えたのだ。

一方で、リック・オーウェンスは、テクノアーティストBlack Asteroidと共にMVを制作。リックのダークでスポーツテクノな世界観は、スタイルを失ったベルリンのテクノクラブ、ベルグハインの若者だけでなく、世界へ向けてトレンドを発信し、テクノは再びスタイルを取り戻した。テクノ、スポーツウェア、そして黒によるミックスはHealth Goth(ヘルス・ゴス)スタイルの火付け役となった。音楽とバンドに影響を受けたのは、日本人デザイナーの高橋盾も同様である。彼はテレヴィジョンやトーキング・ヘッズのようなアバンギャルド・パンクバンドからインスピレーションを得て、その音楽的な美意識を直接ブランドのスタイルに注ぎ込んだのだ。

日本において、ファッションとその他のクリエイティブとのコラボは、今日まで必然的なものだろう。こうして東京を拠点とするファッションブランドJULIUSとデザイナー堀川達郎もまた、音楽とモードによるコレクションを成功させるため、世界中のアーティストやプロデューサーと共同プロジェクトを行っている。それは、音楽とファッション、そしてグラフィックデザインと視覚芸術の融合だ。

もともと、堀川はグラフィックデザイナーとしてキャリアをスタートし、東京のアンダーグランドクラブのフライヤーなどのアートワークを手掛けていた。さらに彼はイベントをオーガナイズもしていた、これらの活動により後にコラボすることとなる様々な音楽レーベルと出会うことになる。ある時はCDジャケットを制作し作り手側に、ある時は音楽を聴いて受け手側にまわり音楽と交わる。のちにTシャツなどのデザインを始めたとき、そこに日本のノイズミュージック、テクノ、あるいはアンビエントサウンドを通して、音楽的影響があったのは当然だろう。2001年に立ち上げられ、JULIUSはブランド設立から10年以上を経て、パリでコレクションを発表し続け、ベルリンやロンドンといったヨーロッパの主要都市で、多くの取引アカウントを持つブランドとなった。それから彼はドイツやイタリアから音楽家を連れ出し、レーベルを作って彼らとコラボし支援している。堀川は何度もベルグハインのようなクラブへ通っていたので、エレクトロやエクスペリメンタル音楽がJULIUSにとって重要な要素となったことは、ごく自然な流れだった。JULIUSは、ダークでアバンギャルドだ。一見、ジャパニーズモードブランドを彷彿させるが、実は堀川達郎はとてもテクニカルである。彼は自身について、「自分の中に様々な要素を溜め込んでいて、それらは理解のプロセスやアイデアの中へ流れ込む」と語る。芸術、建築、グラフィックデザイン、もちろん音楽も。彼の生み出す服は、作り込まれたスタイルだけでなくシンプルな服のデザインもまた、あらゆる要素から影響を受けているのだ。

音楽とファッションのコラボレーションについて考えてみると、日本よりむしろヨーロッパの方が顕著であり、トップクラスのアーティストとプロデューサー達がランウェイやイメージビデオに従事していることに気がつく。アルカ(Arca)はPRADAのイメージフィルムのサウンドを作曲したし、Burberryのショーではベンジャミン・クレメンタインやジェームス・ベイのようなアーティストたちが生演奏を披露した。

堀川達郎の考えでは、日本では常に他ジャンルが重なり合う環境が存在した。それは日本独自の典型的な現象でありうる。なぜなら日本の多くのデザイナーが"オタク"でありえるからだ。彼もまた自らをアートマニアと呼ぶ。とりわけ音楽フィールドのアーティストを愛している。それを原動力に、近年の素晴らしいコレクションが誕生したのだ。そして2015年、メインコレクションであるJULIUSと並行し、ノンセクシャルアイテムを展開するNILøSをスタートさせた。2つの異なる視点を示すために--つまりJULIUSはテクノイメージを持ち、NILøSはダークヒップホップイメージ。NILøSについて特筆すべきは、記念すべきファーストコレクションで、堀川は日本のエクスペリメンタル・テクノ・アンビエント・ミュージシャンのEnaとコラボし、Enaはこのコレクションのために40分間のトラック"Soil"を作曲した。この廃坑的でひどくドラマチックなアンビエント・エレクトロニカサウンドは、NILøSの世界観を特殊な聴覚アートに変貌させたのだ。

堀川や彼のチームは、多くのインスパイアされたアーティストたちが、今後世界でさらに活躍することを願っている。「何となく、そう、全てが繋がっている」と堀川は言う。ファッションの中には、多くの音楽的影響がある。そしてその音楽が再びファッションに影響される。最新の2017年春夏コレクションで、JULIUSはイギリスのダークウェイブ・テクノアーティストRegisとコラボし、来たる2016年秋冬コレクションは、ベルリンのテクノレーベルStroboscopic Artefactsと手を取った。Stroboscopic Artefactsが監修する6アートワークを、様々な手法のプリント・素材で表現する。

音楽、ファッション、グラフィック。JULIUSとNILøSは異なるフィールドを横断しつつも、それらを融合する。我々は堀川達郎が三次元にとどまらず、四次元のなにかを生み出すことになると信じてやまない。彼は、四次元として存在する一場面やコミュニティの創造を最終目標としている。それは「想像も出来ない、ムーブメントの誕生」。このプロジェクトは、世界中のアーティストたちと彼らのクリエイションとのコラボレーションによって息づいている。それによって生まれた作品は、おそらく終わりには、ファッションにとってだけでなくファッションの枠からはみ出すより良い"何か"となる。テクノシーンの重なる音のように--そして、仲間同士で新しいリミックスサウンドを生み出すように--その"何か"は産声をあげるのだ。

Stroboscopic Artefacts POP UP EVENT
Stroboscopic Artefactsのアートワーク展示・ミュージック視聴コーナー設置
Date:7月16日(土) ~
Time:12:00~20:00
JULIUS TOKYO STORE
150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-17-8 2F
tel. 03-5728-4900

Credits


Text Moritz Gaudlitz
Photography Tsutomu Ono
Styling Riku Oshima
Hair and Make-up Rimi Ura
Model Shuntaro Yanagi at ANORE
Translation Yoshiko Wada