フェラーリによるファッションレーベル「Ferrari Concept」誕生!

Ferrari Conceptのクリエイティブディレクターが、スポーツカー、ストリップクラブ、そして薄れゆくジェンダーの境界線について語る。

by Lisa Riehl
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01 May 2016, 3:55pm

パリ・ファッションウィークで、自動車メーカーFerrariのファッション部門、Ferrari Conceptがコレクションを発表した。薄暗いアメリカのストリップクラブをイメージした会場に、ミニスカートやスーツ、レザージャケット、ニット、レパードプリント、カモフラージュのシャツやファーなど、幅広いFerrariファッションアイテムを身につけたモデルたちが闊歩した。

派手なスポーツカーから想像する"ありがち"な世界観は、Ferrariのショーには見られなかった。このコレクションがフェラーリの車オーナーに向けて作られたものでないことは明らかだ。その世界観は、車のデザインのように未来的なものではなく、言うなればノスタルジックなのだ。そしてその要素は次のコレクションでより強くなるのだという。デザイナーのPaige Horinek(ペイジ・ホリネック)に、起用したモデル、ジェンダー、そしてフェラーリについて話を聞いた。

車のシルエット、フォルム、スピードをどうファッションに落とし込み、表現しているのでしょう? 服をデザインするときに、フェラーリの車は念頭に置いていますか?
私たちがデザインに取り組むアプローチは、とてもアイロニックなものです。フェラーリは、確固たる美学をもっている。それを理解はしてはいますが、それに縛られたくはないのです。車ブランドの名前は注意を引くためのもので、そこから、馬鹿げているけれどセクシーで、予想を裏切るかと思えば馴染みがある、そんな世界観を見せていこうと思っているわけです。

フェラーリと、それにつきまとうイメージとして、赤という色はFerrari Conceptにとってどんな意味を持っていますか?
赤は、大胆で面白くてセクシー、そしてパワフルです。今後も我々にとって重要な役割を果たす色であることは間違いありません。私はこれまでずっと、赤と黒は同じだと考えてきたんですよ。常人にとっての黒が、勇敢なひとにとって赤だと。

そのような勇敢な人々が、Ferrari Conceptのターゲット層なのでしょうか?
ターゲットとしているのは、私たちの世界観を気に入ってくれるひと全員です。イメージしているのは、自己表現のために自身のスタイルを主張するのではなく、服を通して世界を批評することができ、その服で周囲や環境をより良いものにすることができるひとです。男性でも、女性でも、トランスジェンダーでも構いません。

初となるルックブックに起用したモデルたちはどのように決めていったのでしょうか?
直感を信じるタイプなんです。でも同時に、私はモデルたちと築いた家族のような関係をとても大切に思っています。レーベルにとっても、彼らに一貫して忠誠の姿勢を通すことが重要であると考えています。

その家族にはどの程度の多様性が可能なのでしょうか? どの程度、多様性に富んでいなければならないと考えていますか?
デザイナーは、文化的な多様性はもちろん、民族的な多様性も打ち出していかなければなりません。それが今という時代です。多様性がどう表現されるべきなのか、またそれをうまく表現することが可能なのかもわかりませんが、私たちFerrari Conceptにも改善の余地があると感じています。ただ、私自身これから学ぶつもりでいますし、ポジティブに意識改革をしていきたいと考えています。

あなたのコレクションにおける"ユニセックス"について伺います。どちらのジェンダーでも着ることができるコレクションになっているのでしょうか? それとも、メンズ、レディースと明確に分けているのでしょうか?
"アンビセクシュアル(ambisexual:ジェンダー区分の外に生きる、もしくはジェンダー区分自体を否定したセクシュアリティ)"が私たちのコンセプトに最も近い表現だと思います。コレクションには女性らしいアイテムも男性らしいアイテムもありますが、私たちはそこにジェンダーに関係なく自由に行き来できるような世界観を作りたいのです。決して政治的な意図はありません。ファッションにおいてジェンダーに課せられている唯一の役割は、ジェンダーにまつわる既成概念や先入観に疑問を投げかけ、そこに議論を生んでいくことなのだと信じています。

スポーツカーは今でも主に男性の趣味となっているわけですが、それはあなたのデザインにどう影響し、また女性的な要素はどこからインスピレーションを得ているのでしょうか?
面白い質問ですね。どこから生み出すのか……自分でもわかりませんね。フェラーリについて言えば、名前とロゴがもっている世界観をどう再解釈するかというところにかかっているんだと思います。

最初のコレクションを『Atomic Collection(アトミック・コレクション)』と名付けていますが、そこにはどのような意味があるのでしょうか?
「アトミック(原子力)」という言葉は、目に見えないけれど暴力的なものを意味しています。コレクションを表現した言葉ではなく、人やモノ、要素から放たれる抗えないほどの魅力を指しています。

全体のコンセプトとアイテムひとつひとつ、Ferrari Conceptのコレクションにとってより重要なのはどちらですか?
どちらも重要です。Ferrari Conceptは、なんとなく出会うようなレーベルではありません。インパクトのあるイメージを打ち出しているのは明確な理由があって、好き嫌いが分かれて、評されるのを前提としているのです。だから、アイテムひとつひとつはコンセプトからは切り離せません。アイテムを買うということは、その裏にあるコンセプトも買っていることに他ならないのです。

Ferrari Conceptには、ミニマリズムと主張の強いアイテム、無時代性とモダンなど、様々なコントラストを見てとることができます。今回のコレクションはいかがでしょう?
「モダンの永遠性」を大切にしていきたいと考えています。それが唯一、今日的であり続けられる道だと思います。20世紀中葉の現代性—モダンの黎明期とでもいうべきでしょうか。それをテーマに、"レトロで形式的な要素"として取り込んでいきたいですね。

フェラーリはイタリア生まれ、あなたはアメリカ人、Ferrari Conceptの本部はベルリンにあります。異国とその文化はあなたにどのような影響を及ぼしていますか?
場所自体より、人間性と、それがどのように異なる場所に順応していくかに興味があります。また自分の経験から逃れることができないので、Ferrari Conceptは私がこれまで出会った人々に受けた影響が混ざり合ったものなのだと思います。

デビューを果たしたFerrari Conceptですが、今後はどのような展開を期待できるのでしょうか?
ファッションやアートの雑誌から、すでにイベントやコラボレーションのオファーを受けています。それと、いくつかのストアから限定コラボレーションをしようという話もありますが、今はまずベルリンに戻って次のコレクションに着手しています。比喩的にも、文字通りの意味においても、今現在、私たちはとても良い地点に立てています。

ferrariconcept.com

Credits


Text Lisa Riehl 
Photography Yulya Shadrinsky
Styling Erik Raynal
Production Margo Kirlan, Oleksandra Knyr
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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