Guy Bourdin, Vogue Paris 1975, Chloé collection printemps-été 1975 ©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C 

反逆の写真家、ギイ・ブルダンの展覧会がメゾン クロエで開催

パリ、ラ・ボーム通り28番地、Chloéの本社に隣接する建物の5階に新設されたカルチャースペース<メゾン クロエ>のこけら落としとして「フェミニティーズ ギイ・ブルダン」展が開催されている。躍動感のあるポーズ、大胆な構図、極端な色彩感覚、挑発的美学 —— 写真家ギイ・ブルダンがChloéのアーカイブを駆け巡る。

by i-D Staff
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03 August 2017, 12:55pm

Guy Bourdin, Vogue Paris 1975, Chloé collection printemps-été 1975 ©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C 

マン・レイの秘蔵っ子にして、その人工的な演出と挑発的趣向で評価を得たギイ・ブルダン(Guy Bourdin)は、モード写真を刷新した。生前はあらゆる賞やエキシビションを拒否し続けたことも有名で、1985年当時の仏文化大臣ジャック・ラングから与えられた「ル・グランプリ・ナショナル・ドゥ・ラ・フォトグラフィ」でさえ、「砂糖菓子をありがとうございます。でもコレステロール過多なもので」と言って授賞を辞退した。「フェミニティーズ ギイ・ブルダン」展のキュレーションを手がけたジュディス・クラークは次のように話す。「ギイ・ブルダンは、1956年から1986年にかけてもっとも多くのChloéのクリエーションをフランス版『Vouge』に刻印しました。まるでお気に入りの実験の場のように」。ギイ・ブルダンはChloéのクリエーションをおよそ100あまり撮影しているが、「彼はモード誌の刹那で新陳代謝の早い特性を好み、そのために撮影した作品を長期間に展示するようなことを嫌いました」とクラークは語る。女性たち、ドレス、しどけないポーズ、鋭い視線、横たわった身体、映画のようなひとコマ、腿の一部、エロティックなポーズ、フェティッシュなハイヒール、そして女性の快感。当時のタブーであった同性愛の印がそこここに散りばめられていた。洗面台の前で重なる身体と身体、ソーセージが山盛りの皿の前で横たわる2人のモデル、ジョン・トラボルタのポートレイトを股の間にブリッジするモデル。ギイ・ブルダンの写真が表現するシナリオはとても複雑で、演劇的かつ洗練されている。「私たちはフェミニティの意味を知っているかのように思っているけれど、本当は知らないのです。だからフェミニティに「s」をつけました。ギイ・ブルダンのひずんだ視線を通して、様々な角度から表現されるフェミニティだからです。彼は色を支配し、場を操りドラマティックなシチュエーションを作り上げる。そして、私たちはChloéの服をアーティストのファインダーを通して見ることができます。この展覧会は、Chloéの歴史とギイ・ブルダンの作品が対話する場でもあるのです。それぞれの独自性と相互作用を感じて欲しくはありますが、訪れる人に押し付けるのではなく提案したい。この展覧会は解釈と挑発と文脈への再認識に基づいているのですから」とクラークは語る。

ここは、ブティックでもなければ、オフィスでもない。メゾン クロエは、文化的プロジェクトや、所有する芸術的遺産をセレブレートするためのカルチャースペースとして初めて開設されたのだ。10〜15年前までは稀だったフランスでのモード・アーカイブの保存も、現在では定着してきている。今、アーカイブの保存にインベストしてないビック・メゾンはない。Chloéは2012年、メゾンの60周年を機にアーカイブ部門を立ち上げた。「ここはメゾンの過去と未来に捧げられた場です」とジュディス・クラークは強調する。アーカイブはいまや高級ブランドが競い合う、重要な広告ツールだ。現在、パリ装飾芸術美術館にてDiorの大回顧展が開催されている。3000㎡にも及ぶ空間にDiorと装飾芸術美術館所蔵コレクションが一堂に会する初の試みだ。クチュリエの創作物と絵画や家具、オブジェが対話するという試みは、美術館のモードに対する見方が変化してきている証拠とも言えるだろう。イヴ・サンローランは自らの作品をメゾンの創立当初の1961年から保管していた唯一の先駆者だ。今年の10月3日には450㎡のイヴ・サンローラン美術館がオープンするが、この新しい美術館はすべての作品を展示するには十分ではなく、ピエール・ベルジェは、モロッコはマラケシュのマジョレル庭園のすぐそばにYSLの作品ためのスペースを建てると決めたようだ。パリのブールデル美術館では、つい最近まで彫刻に混じってクリストバル・バレンシアガの作品が展示されていた。これらの展覧会は洋服の美しさを見せるだけでなく、デジタル社会への反動という側面も持っている。この非物質化された社会の中でファッションブランドたちは、Instagramに上げられ、そして日々埋もれていく大量の画像とは違った感覚的な体験のあり方を模索している。ここ、メゾン クロエでは、カール・ラガーフェルド、ギャビー・アギョン、そしてステラ・マッカートニーの作品を目の前に、「エスプリを感じることができます」とクラークは言う。ギリシャ語で"若い芽"を意味するChloéは、1952年以降のすべてのアーカイブを擁するラ・ボーム通りの旧邸宅の5階で展覧会を開催している。モード学校の生徒はたまた愛好家たちに向けられたこの階にアクセスするにはここから予約を。

「フェミニティーズギイ・ブルダン」7月4日 - 9月6日、FIAC 10月18日-11月18日

メゾン・クロエ 28 rue de la Baume, 75008 Paris

予約は chloe.com/bourdin にて無料。

©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C 

Guy Bourdin, Vogue Paris 1975, Chloé collection automne-hiver 1975 ©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C 

Guy Bourdin, Vogue Paris 1973, Chloé collection printemps-été 1973 ©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C 

Guy Bourdin, Vogue Paris 1971, Chloé collection automne-hiver 1971 ©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C 

Guy Bourdin, Vogue Paris 1979, Chloé collection printemps-été 1979 ©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C 

Credits


Text : Sophie Abriat
Photography : ©The Guy Bourdin Estate, 2017 / Courtesy A + C
Translation Yoko Yamada

Guy Bourdin, Paris Vogue 1973
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