Photography Mitchell Sams

テーラリングの可能性への挑戦:Comme des Garçons Homme Plus 19SS

スーツは退屈? 考え直すなら、今がそのときだ。

by Steve Salter; translated by Aya Takatsu
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jun 28 2018, 5:22am

Photography Mitchell Sams

50年にわたり、衣服のルールを曲げ、破壊してきたComme des Garçonsの川久保玲。ラディカルなモチーフやシルエットの改革、斬新な専門技術を通して、体制に反旗を翻してきた。先見の明あるそのファッション的反乱は、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された「Comme des Garçons: Art of the In-Between」展で多くの鑑賞者を魅了したが、この革命はまだ続いている。Comme des Garçons Homme Plus の2019年春夏コレクションで、彼女はストリートウェアの先を見据えること(同様の考えを持つ大物のほんの一例として、ラフ・シモンズやMargielaのジョン・ガリアーノが挙げられる)、そしてテーラリングの現代的解釈を受け入れることをも呼びかけたのだった。

彼女が呼びかけるのなら、こちらは耳を傾ける。そしてその言葉を心に留める。実にしばしば不可解で、詩的で、哲学的な彼女のショーのタイトル(Body Meets Dress–Dress Meets Body、Lumps and Bumps、Bad Taste、2 Dimensions、Infinity of Tailoring、そしてNot Making Clothesはどれも個人的なお気に入りだ)、そしてレアなインタビューの断片が、熱心なファンである私たちを謎解きに奮闘させる。Comme des Garçons Homme Plus の2019年春夏コレクションは、たったふたつのシンプルな単語を使って“Crazy Suits”と題されていたが、実に多くのことを語るものだ。

ブラックタイからタイダイまで、すべての者にとってのクレイジースーツがそこにはあった。気づいていようがいまいが、この複雑でコンセプチュアルなアイデアが、皆のワードローブをかたちづくってきたのだ。好みがオールブラックであっても、日本的なかわいい色合いのものであっても、はたまた脱構築的なテーラリングや異世界ふうのスタイルであっても、彼女に感謝するならば、その楽しさあふれるスーツをあなたもまた受け入れているということなのかもしれない。

しわになったりカットされたブラックタイを着けた21世紀ふう黒ずくめ少年の一団がショーの幕を開け、シフォンが層になったカモフラ柄、フリルのついた花柄、縮まったチェック柄、カットして継ぎ足されたキャンディカラーのリボン、ウィンドブレーカーのハイブリッド、リデザインされたタフタカーテン、さらに、スーツの可能性に挑んだものが続いた。スーツが退屈だと感じるのなら、今が考え直すときだ。川久保の手にかかれば、それはクレイジーなものになる。

アクションフィギュアさながらのラテックス製ヘアピースがあれば、もう髪のセットに慌てることもない。ブルターニュ生まれで、長年Comme des Garçonsとコラボしてきたヘアスタイリスト、ジュリアン・ディスが、またもやシーズン随一のビューティーをつくり上げた。同じように、子どもっぽいクロコダイルのアゴや目玉のジュエリーもまた、笑いを誘った。クレイジーなスーツに合わせる、クレイジーなヘアとジュエリー。“スーツ”は死んだ。クレイジースーツよ、永遠なれ。

Photography Mitchell Sams

This article originally appeared on i-D UK.