Images courtesy Dior

雨のシャンティイ城に現れたロデオ騎手:Dior2019年クルーズコレクション

恐れを知らぬメキシコのロデオ騎手・エスカラムーザを取り上げたショーで、ディオール初の女性アーティスティック・ディレクターが、ふたたび女性のパワーに賞賛を送る。

by Holly Shackleton; translated by Aya Takatsu
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maj 29 2018, 4:53am

Images courtesy Dior

2016年にDior初の女性アーティスティック・ディレクターに就任し、メゾンの指揮を任されて以降、マリア・グラツィア・キウリは強い女性にインスピレーションを受けてきた。完売した「We should all be feminists」Tシャツから、アーツ・アンド・ウィミンズ・ライツ運動での女性の役割についてのコメント(「女性の権利は人間の権利です」)まで、フェミニズムとハイファッションを融合させることへの彼女の探求心はゆるぎなく、2017年のファッション・アワードでは、スワロフスキー・アワードの「ポジティヴ・チェンジ賞」を勝ち取っている。

先日フランスのシャンティイ城で行われたDiorの2019年クルーズ・コレクションのショーで、キウリはまたもや、実在するインスパイアリングな女性に光を当てた。今回の主役は、メキシコの恐れを知らぬ女性ロデオ騎手・エスカラムーザ(Escaramuzas)だ。

歴史的に男性優位であるこの世界で、伝統のメキシカンドレスをまとい横向きにサドルにまたがるエスカラムーザたちは、危険なほどスピードを上げる馬の背でスタントを披露する。

騎手というテーマは、キウリが選んだ会場で美しい広がりを見せた。パリの40km北にあるシャンティイ城は、フランス王家の文化的至宝のひとつであり、ヨーロッパ最大の厩舎でもあるのだ。

天井が開き雨粒が落ちてくると、白馬に乗った8人のエスカラムーザが、砂が敷かれた舞台に入ってきた。ソンブレロ(つばの広い帽子)が描かれ、刺しゅうが入ったモノトーンのDiorドレスを着て舞台に猛然と駆け込んできた彼女たちは、舞台の中央で円を成した。

それに続くコレクションは、こうした乗馬のエッセンスとDiorの歴史をアーティスティックに融合させたもの。乗馬スカートはパリッとした白シャツと黒いタイに合わせられ、バージャケットやフランス伝統のトワル・ド・ジュイを刺激的なトラやヘビ柄で再解釈した生地の服にはジョッパーズがコーディネイトされた。この地域伝来のシャンティイレースは、細身のシャツとフルレングスのスカートを繊細に飾り、そのウェストはワイドな黒レザーベルトで絞られている。グリーンのガロッシュや黒の乗馬ブーツを履いたモデルたちが雨の中を歩くたびに、腰まで届くポニーテールがモノトーンのロデオハットの下で揺れた。

この天候は予想外にひどいものだったかもしれないが、聖書にあるようなこの豪雨には、まぎれもなく壮大さがあった。嵐のなか、決然と歩を進めるモデルたちのあとにはマリア・グラツィア自身も姿を見せ、逆境に負けない女性たちの希望、強さ、勇気とともに、古い格言を世に問うた。何が起ころうと「ショーは続けなければならない」と。

This article originally appeared on i-D UK.