LAのパンクシーンを追った、ワイルドな雑誌『Slash』が1冊に

1970年代後期、ロサンゼルスに飛び火したパンク、そしてそこに生まれたニューウェーブ——それらのムーブメントをリアルタイムで追った伝説の雑誌『Slash』の全29号が1冊の本にまとめられ発売される。

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jul 28 2016, 6:01am

イギリスで生まれ、その後またたく間に世界へと飛び火したパンク。その火の粉は南カリフォルニアまで届いていた。グラムロックが支配し、ディスコとエルヴィスの幻影に染まった音楽シーンに、ロサンゼルスの若者たちの不満は爆発寸前だった。そこに、独自の新たなパンクシーンが花開いたのだ。1977年から1980年にかけて出版されたオルタナティヴ雑誌『Slash』は「いいかげんにしてくれ!もう膿を絞り出すべきとき——金満の世界へと成り下がったロックンロールなんか、フロリダにでも移って隠居生活でも送りやがれ!」という声明とともに創刊号を発表。地元に生まれたオリジナルのパンクシーンをドキュメントし続けた。

当時恋愛関係にあったスティーヴ・サミオフ(Steve Samiof)とメラニー・ニッセン(Melanie Nissen)は、1980年に廃刊となるまでに29号の『Slash』を世に送り出した(後にパンクレコードレーベルとして一度は復活したものの、これがWarner Brothersに買収され、彼らの活動は実質的に終止符を打った)。ザ・スクリーマーズやXといった地元ロサンゼルスのパンクバンドを取り上げることを基本としてはいたものの、『Slash』はロカビリーやブルース、レゲエなどもフィーチャーする柔軟性も見せ、1978年にはカバーに伝説のレゲエアーティスト、ピーター・トッシュを起用した。今回発売される『Slash: A Punk Magazine from Los Angeles: 1977 - 1980』には、創刊から廃刊まですべての号の表紙に加え、特筆すべき記事の数々が再録されているという。カバーには、ピーター・トッシュに加え、ブロンディのヴォーカリスト、デボラ・ハリーやセックス・ピストルズのジョン・ライドン、デヴィッド・バーン、スージー・アンド・ザ・バンシーズらが起用されている。

LAパンクシーンの集大成ともいえるこの『Slash: A Punk Magazine from Los Angeles: 1977 - 1980』には、安全ピンで顔を飾り、ジャームス(Germs)のウェアを着たパンクスから、よりシャープな着こなしのニューウェーバーたちまで、そこに生まれた数々のファッションスタイルを見ることができる。コアなデザインファンたちは『Slash』のレイアウト(下の画像に見るラモーンズのタイプフェイスを見てほしい!)や、レトロなだけではない秀逸な広告などにノックアウトされることだろう。また、1979年に発行された『Slash』にはスロッビング・グリッスルのインタビューが掲載されており、その中で彼らは、デヴィッド・リンチ監督の『イレイザーヘッド』(1981)とジョン・ウォーターズ監督の『ピンク・フラミンゴ』(1986)という"伝説の二大カルト映画"が二本立てレイトショーで公開されていることについて語っているのだ。タイムマシーンが発明されたら、選ぶべき行き先は1979年、その二本立てレイトショー会場となった映画館Nuart Cinemaに決まりだ!

Slash: A Punk Magazine from Los Angeles: 1977-1980 はHat & Beard Pressより出版されている。日本での販売は未定。

Credits


Text Emily Manning
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.