DKNY spring/summer 17 at new york fashion week

ニューヨークファッションは、90年代クールキッドの世界観を復興することができるのか?——ラフ・シモンズがCalvin Kleinに新たなヴィジョンを示す来季を前に、DKNYが新たな未来をショーで示した。

by Anders Christian Madsen
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23 September 2016, 4:39am

Public Schoolのマックスウェル・オズボーン(Maxwell Osborne)とダオイー・チョウ(Dao-Yi Chow)がクリエイティブ・ディレクターに就任して2シーズン目となるDKNYのコレクションが披露された。デザイナーのダナ・キャランが引退を発表した昨年から休止状態にあったDKNYは、今年夏、LVMHの傘下から外れ、G.H. BassやAndrew Marc、そしてDanna Karanのメインラインを所有するG-IIIに買収された。アメリカの多くのセレブリティたちに愛されたブランドだっただけに、休止が発表された際には惜しむ声が相次いだが、G-IIIはこれを機にニューヨークファッションをメインストリームへと押し上げたこのブランドを復活させると約束。「シックでインテリジェントな高級ファッション」というマンハッタンのアッパーイーストサイドスタイルを体現したDanna Karanラインに対し、DKNYはニューヨークの"ダウンタウン・クール"を体現したブランドとして、90年代には一時代を築いた。ブランド名に街の名前が組み込まれているからには、その責任も重大だ。そしてG-III傘下では初となるコレクション発表とあって、その責任はさらに大きい——なぜそこに責任が発生するかって?それはこういうことだ——ニューヨークでは、かつてCalvin KleinやcK Jeans、DKNYだけが気高いクールキッズたちにとっての聖なるワードローブだった時代があった。あの時代にあったあの活気、あのカリスマ性が、今のニューヨーク・ファッションウィークには絶対的に欠けている。

今季のニューヨーク・ファッションウィークではYeezyが大きな話題となりはしたものの、そのセレブ感に頼った世界観は、90年代という"ニューヨークファッションの時代"にあったあの"クールキッズ"感とは一線を画している。あのクールキッズ感こそがニューヨークファッションであり、今もニューヨークにはあのクールキッズ感が絶対的に必要なのだ。

「Calvin KleinやDanna Karan、そしてそのディフュージョンラインに再び脚光を当てよう」という動きは、ここ数年間で顕著に見られてきた。90年代にティーンだった世代が、今やファッション業界で大きな力を持つに至っているわけだから、当然の流れとも言えるだろう。来季にはラフ・シモンズによるCalvin Kleinコレクションがニューヨーク・ファッションウィークに新たな風を吹き込んでくれること必至だが、それを前にDKNYのオズボーンとチョウはすでに先を見ていた。「今後、ニューヨーク・スタイルはどんなものになっていくのだろうか」とDKNYのショーノートには書かれていた。「ニューヨークの過去を話すひとは多い。しかし、次にどんなものが生まれるのかを、私たちは考えていきたい」。「考えていきたい」とはしていたが、オズボーンとチョウは決して手探りなどしていない。ふたりは、新生DKNYでスポーティアーバンを未来的に力強く打ち出した。それはYeezyの得意とする世界観でもあるが、それはカーダシアン家がソーシャルメディアで持つ影響力があって始めて成り立つクールな存在感だ。対するDKNYには、金や知名度では決して手にいれることのできないノスタルジックなブランドバリューがある。だからこそ、Public SchoolのデザイナーふたりがコレクションのいたるところにDKNYロゴを配することが功を奏したのだ。そしてコレクションの他アイテムもまた、力強く未来のニューヨーク・スタイルを打ち出していた。

アメリカンスピリットに則り、「スポーティにミニマル」であることは絶対必須の要素だった。ショーのオープニングでベラ・ハディッドがまとった彫刻的なアイテムは、それを見事に具現化していた。胸が大きく開いたフード付きミニドレスに、膝上までを包むスニーカーを合わせたスタイルがそれだ。クリストバル・バレンシアガやリック・オウエンスの影響が見られる大胆な服の数々がランウェイに登場し、なにかとドレスばかりに人気が集中するニューヨークのランウェイにあって、オズボーンとチョウが打ち出したこのルックスは時代の先を行き過ぎているようにも感じられた。そんな中、なによりもヒップなニューヨーカーたちのための未来のDKNYを現実的に打ち出していたのは、意外にもシンプルな服たちだった。襟ぐりにドローストリングを配し、最近トレンドのスーパードロップスリーブをデザインした明るいブルーのドレスには、それに合わせたスカートの世界観も相まって、どこか学生のジャージスタイルを彷彿とさせるレトロ感が漂った。スーツに許されるスポーティ感を極限まで追求したようなストライプのピンストライプスーツには、ハイウエストで腰回りがゴムになったオーバーサイズのパンツが合わせられ、パンツの裾はハイカットのスニーカーにたくし込まれていた——その全体のシルエットは、"ゲットー風サルエルパンツ"とでも呼ぶべき、いたってニューヨーク然とした世界観を描いていた。他にも、シースルーで2トーンになったジャンプスーツなどがあり、"狙いすぎていないクールさ"というDKNYの世界観を難なく表現していた。ニューヨークファッション——なかでも特にこのジャンル——の先に見る未来は、実のところ私たちが考えていたよりもずっとシンプルなものになりそうだ。

Credits


Text Anders Christian Madsen
Catwalk Photography Mitchell Sams
Backstage Photography courtesy DKNY
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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