Opening Ceremonyのショーに著名人らが登場

キャリー・ブラウンスタインとフレッド・アーミセンが司会をつとめたOpening Ceremonyのショーは、2017年春夏シーズンでもっとも辛辣にしてもっとも面白い内容となった。

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sep 20 2016, 3:23am

「このデザインは幼児用ですね。幼児にしか着れないサイズです」と、有名コメディアンのフレッド・アーミセンがマイクを通して真顔で言う。その前を、フリルのハイネックの襟がついた、オープンニットのスリーブが美しいロイヤルブルーのドレスを着たモデルが歩く。ちなみに服もモデルも、完全に大人のプロポーションだ。

アーミセンの前には、一緒にショーの司会を務めたミュージシャンのキャリー・ブラウンスタインが、レザーのニーハイブーツにレイヤードプリーツブラウスを着た坊主頭のモデルに「『ストレンジャー・シングス』で超能力少女を演じた感想は?」と訊き、会場を沸かしていた。

MCをつとめたふたりは、ショーがはじまる前、Opening Ceremony の2017年春夏コレクション会場につめかけた観客に対し「心の準備をしておくように」と警告していた。蓋を開けてみれば、ショーにはプロのモデルたちに混じり、"ファッションモデル"的ではない体型の有名人たちが次々と登場した。「この人たちは見なくていいです」とアーミセンは言い、会場は笑いに包まれた。

しかし、会場につめかけた人々は、もちろんそれらのノーモデル、「ノデル」たちを見ていた。アメリカのビューティコンテストを真似た形式を用いて世界に問題提起をしながら歩くノデルたちを。アリ・ウォン、ラシダ・ジョーンズ、ナターシャ・リオーネ(Natasha Lyonne)、アリア・ショウカット、ローワン・ブランチャード、ジェシカ・ウィリアムズ(Jessica Williams)、ダイアン・ゲレロ、エイディ・ブライアント(Aidy Bryant)、オーブリー・プラザ、LGBTロビイストのサラ・マクブライド、そしてウーピー・ゴールドバーグといったノデルたちが次から次へと登場したのだから、当然のことながら観客は歓喜した。そう、ウーピーまでが登場したのだ!

Opening Ceremonyのクリエイティブ・ディレクター、キャロル・リムとウンベルト・リオンはスペクタクル好きなようだ。これまでも、ショー会場にランボルギーニを所狭しと並べ、実験的なダンスを取り入れ、宇宙船を浮かべてみたり、映画監督スパイク・ジョーンズと俳優ジョナ・ヒルが書いた戯曲を取り込んでみたりと、ただでは済まさない、独創性溢れる空間を作り上げてきた。ファッションウィークの解釈も独特で、心がこもっていながらも、必ずや人々の予想を裏切り、そして期待を上回るショーを一貫して作り上げてきた。今回の「民衆のビューティ・コンテスト」は、そんなふたりのショーマンシップを次なるレベルへと高める出来栄えだった。抱腹絶倒の面白さでありながら、心を打つ切実さがあったのだ。

「最初に思いついたアイデアは『なにか面白くてメッセージ性のあるものが作りたい』というものでした。興味深くもあり笑いもありというもののほうが記憶に残るでしょう?」と、バックステージでリオンは話す。今回のショーで発信されていたメッセージは、政治への姿勢と文化の交換だった。

ショーの開始と同時にランウェイに登場した旗手たちは、さまざまな国旗を手に、コレクションのインスピレーションとなった「移民の国アメリカが残した文化遺産」を体現していた。そこへ、キャリーとフレッドがジョークを交えて人種から女性の権利、そして投票の必要性を訴えた。特に「投票の必要性」は、リオンとリムが最も強く訴えたかったメッセージだった。会場には、多くのミュージシャンの協力を得て若者に投票を促してきたNPO団体、Rock The Voteの協力のもと、投票のための前登録ができるエリアが設けられた。

また、リオンとリムはショーの開催日に関しても十分にその意味を理解していた。ショーが開催されたのは9月11日だった。「コレクション自体は祝福を打ち出したものではあるけれど、同時に、『世界にはまだまだ重大な問題がたくさんあるんだということを忘れずにいよう』ということも伝えたかった。選挙はもうすぐそこまで迫っています。ランウェイという場を使って、洋服を語る以上のことをするには、今が良いタイミングではないかと考えました」

実際に、洋服には頼らない極めて重要な瞬間がたくさん見られたのが今回のショーだった。ラシダ・ジョーンズは難民問題の危機的状況について語り、エイディ・ブライアントは自信たっぷりに手足を激しく振り、体を揺らすダンスを披露し、ローワン・ブランチャードとフレッド・アーミセンはフェミニズムについて繰り返し発言した。そしてウーピーは「私みたいな女がこういったステージを歩かせてもらえるなんて、アメリカならでは」と高らかに語った。

服にもメッセージが込められていたことは言うまでもない。リムとリオンは、自由の女神が立つエリス島に押し寄せた第一移民世代と、同じく移民である両親にインスピレーションを得て今期のコレクションを制作したという。コレクションで発表されたアイテムには、スモッキングやポインテールニットなど、アメリカ伝統の技術を用い、多様なブルーの配色は広く青い空を思わせた。アメリカに押し寄せた移民の第一波を捉えた写真を彷彿とさせるこのコレクションは、アメリカの未来を楽観的なビジョンで捉えつつ、物事を折衷して決めていくアメリカの未来を祝福する内容となった。

リオンは次のように話す。「さまざまなメッセージを持った多種多様なひとびとがひとつになる——それが『民衆のビューティ・コンテスト』の意味です」と。

Credits


Text Alice Newell-Hanson
Photography Mitchell Sams
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.