ポスト・トランプ時代:今、私たちはどうすべきなのか?

寄付をし、他者の声に耳を傾け、戦い続け、新たな戦いに挑み、苦しんでいるひとびとと志を共にする。そして声をあげ、ストリートへ出て、団結し、隣人の手を取り、抱きしめ合おう。

by Tom Rasmussen
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16 November 2016, 8:45am

アメリカがくしゃみをすれば世界が風邪をひく——いつからか、この諺は万国共通のジョークとしてジャーナリストから一般市民にまで日常的に使われるようになった。もしこれが真実ならば、トランプ新政権のもとで世界はかなり重症の風邪をひいてしまったことになる。アメリカ次期大統領がトランプに決まったということは、世界を分断する極右ムーブメントの始まりを意味している。トランプの選挙キャンペーンは移民、女性、黒人、メキシコ人、イスラム教と、トランスジェンダーの人々、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、中絶、環境、障がい者——とにかくあらゆる対象に、攻撃と暴力を繰り返してきた。

またしても右翼主義に傾倒し、ネオファシズムの正当化に屈してしまったアメリカに感じた恐怖心と動揺を綴った投稿がFacebookに溢れた。そしてソーシャルメディアでも大きな反響が見られている。ソーシャルメディアにおけるフィードは政治的信条を強めるのに極めて有効な場であり、身体的なせっかんを受ける恐れなく自らのスタンスを打ち出すことができる手段だ。今、世界はそれをフル活用すべき局面を迎えている。

では次に我々は何をすべきなのだろうか?イギリスのEU離脱決定でもっとも影響を受けやすい人々、トランプがアメリカ大統領になることでもっとも苦しみを強いられる人々が、世の中に届けるべく声を上げ、当然の生を謳歌できる世界を作るために、私たちがいま現実的に、そして物理的にできることとはいったい何だろう?トランプに票を投じたのは、白人労働階級及び白人中流階級の男性か女性だ。言うまでもないが、社会的、政治的、そして経済的に矮小化されてきた人々は、これまで法的に認められてきた権利や身の安全において、多いく後退させられる危険に直面している。どうすれば私たちは彼らのような地球市民とともに戦えるのか?西洋政治におけるこの極右主義傾倒にもっとも影響を受けることになるであろう彼らに、私たちはどう手を差し伸べることができるのだろうか?私たちはここから、具体的にどうやってソーシャルメディア上の政治活動を現実に落とし込んでいけば良いのだろうか?

寄付
時間を割くことはできないがお金での協力ならできるというひとは、金銭的サポートを必要としている団体に寄付をしよう。Black Lives MatterやPlanned Parenthood、The National Center for Transgender Equalityなどは、守られるべき人々が安全を確保できるよう活動している団体だ。i-Dは、トランプ政権かで苦しみを強いられるであろう人々に特化したサポートを提供するアメリカ国内のチャリティ団体をリストにした。リストはこちら

耳を傾ける
「議論が必要なんだ。口論ではなく、バッシングでもなく、人権よりも政治的信条を優先してしまう友達や家族との会話が求められているんだよ。友人であれ家族であれ、僕の人生や存在よりもトランプ政権の政策や政治観のほうが大事だと言えるひとがこの世にいるなら、僕の目を見てそれを言ってみてもらいたい」とペンシルバニア州のソーシャル・アクティビスト、ジャシー・ヴェラ(Jasse Vera)はi-Dに話してくれた。「車椅子で生活する若いゲイのヒスパニックとして、僕は本当の苦悩や差別とはどんなものかを、この身をもってよく知っている。そしてね、一度はここまで進歩してしまった僕たちは、もう後戻りなんてできないんだ。僕が傷ついているんだってことを、トランプ支持者の人たちには知ってもらいたい。トランプ支持者の人たちに、少しでも僕たちのような人間への思慮と敬意を見せてもらいたい。彼らに少しでも愛というものがあるんだということを、見せてもらわなきゃならないんだ。今後、僕のような人間に大きく影響する法案が提案されたら、その人たちには政党が云々よりも僕のような人間の人生を想像してもらわなきゃならない。人々がそんな風に少しでも僕たちのような人間への想像力を働かせてくれるなら、僕は勇気を出して彼らのために立ち上がり、より良い世界を目指して協力する。やっとの思いで手にした僕たちの権利が、いま奪われようとしている。手にするのに多くの犠牲が払われた権利がね。それが無駄になりませんように」

学ぶ
知らないムーブメントに出会ったら、それについて学んでほしい。自分でGoogleを使うなどして調べるのだ。例えば、白人至上主義とは何か、白人が優遇される社会とはどんなものかを、黒人の友達がすべてを説明してくれるのを待つなどもってのほか。関連書籍を読むのもいいだろう。女性にフェミニズムとは何かを説く男になるのではなく、女性が言わんとしていることをよく聴き、もしも周りでフェミニズムを語る男性がいれば、指摘してほしい。あなたが白人のフェミニスト女性なら、あなたが白人であるということで黒人女性たちがどれだけフェミニズムのムーブメントから阻害されてきたかをよく考えてみてほしい。あなたがクィアなら、学校や教育制度がどれだけあなたが経験してきたようなことを教えていないかについて改めて考えてみてほしい。ひとから教えてもらうのではなく、自分で学ぶのだ。学び、聴き、参加し、サポートしよう。世界が人々を助けられるよう、あなたのプラットフォームで呼びかけるのだ。

戦い続ける
「トランプは地球温暖化を深刻に考えていないかもしれないが、イギリスでもアメリカでも環境破壊を脅威と考えているひとは多い。私たちに課せられた課題は、私たちが持つ信条を実践して行動に移すこと。そして、腰を据えてこれまでの倍のやる気をもってそれに取り組むということだ。イギリスでは、Greenpeace(国際環境NGO)の支援者が人民の力を使って地球温暖化と戦い、政府がヒースロー空港に新しい滑走路を建設計画しようとしていることの違法性を訴えるために、クラウドファンディングで30,000ポンドの寄付金を集めている。ヒースロー空港のフライトはほんの一部の富裕層しか利用できないにもかかわらず、その建設で家を失ったり危険を伴う生活を余儀なくされたりするのは、やはり貧困層なのだ」とGreenpeaceはi-Dに語った。
あなたの地域にある活動グループに参加するのも手だ。契約する電力会社を、可能な限り地球に優しい会社に変えたり、既存の電気大企業に電話やメール、抗議運動を通して圧力をかけるのも手だ。それが変化につながる可能性は大いにある。Greenpeaceの支援者はこれまでに北極での油田開発の中止や、ヤシ油会社の環境破壊食い止めなどに成功している。ドナルド・トランプは、もはや負け戦に参入しただけなのかもしれない。今年、世界はパリ協定に署名をし、イギリスは今日、石炭使用の段階的中止を発表し、再生可能エネルギー利用量は日に日に増えている。戦い続ければ、環境問題は改善に向かうだろう。

新たな戦いに挑む
「女性、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア、ヒスパニック、黒人、移民、イスラム教徒など、トランプがキャンペーンで攻撃したすべての人々は、トランプが大統領に就任する日に仕事を休めばいい。そうすれば、この国で誰が本当の力を持っているのか、誰の目にも明らかになるに違いない」と、LGBT+ Supports Migrantsのダニ・シンガーは話す。
「広い視野でのアプローチが必要になる。皆がそれぞれに声を上げるだけではトランプ政権を打ち崩すには不十分だし、そんなことはトランプも計算づくだと思う。すでに何かしらの団体の一員になっているひとは、その団体とともにイギリス全土にメンバーを持つStand Up To RacismやMomentumといった大きなキャンペーンに参加してもらいたい。自分の地域にはそういった団体やキャンペーンがないというひとは、まず人を集め、部屋を借りて、みんなで話し合って、これからやっていくべきことの優先順位を決めてもらいたい。トランプは体制なんて糞食らえといったスタンス。だから、伝統的なアプローチでかかっても何の効果も期待できない。クリエイティブにデモを行うとか、アメリカ大使館の前で何かしら人々の想像力を掻き立てるような、メディアの気をひくようなことをするのも良いかもしれない」

志を共にする
「世界に何が起こっているか、自分が何を感じ、考えているかを把握する。そして無関心を気取らない。知るということ。恥じないということ。LGBTコミュニティの人々それぞれがどんな経験をしてきたか、いまどんな思いをしているかを想像し、話を聴き、時間をかけて理解してもらいたい。いま発せられている脅威のメッセージと、ようやく私たちが勝ち取った平等の権利を脅かすメッセージについて、よく学んでほしい。毎週、Stonewallはブログ「Stonewalls Says」でLGBTコミュニティが直面している問題について声明を投稿している。LGBT当事者やLGBTの同志たちと、こういった問題に関してディスカッションを行なってもらいたい。家族やお友達、同僚に、私たちの存在について話してもらいたい。どんな問題に私たちが直面しているか、今後どんな問題に直面せざるを得なくなるかを、周囲の人たちと話し合ってもらいたい」とStonewallはi-Dに語ってくれた。
「団結をして、声をあげ、プライドを叫ぶ。これ自体が反抗の気持ちの表明となるし、行動で示すことになります。コミュニティの一員として、団結している同志として、活動的になりましょう。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの友人や家族、同僚や従業員と心を通わせて、話し合ってみよう。そして、プライドパレードやイベントに参加しましょう。人種差別問題のためのチャリティや、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々のグループに関する募金イベントを主催したりして時間とお金を使いましょう。彼らがそこに存在していることを世界に知らせましょう。メーリングリストやSNSを出来るかぎり使いましょう。Stonewallのインフォメーションサービスにアクセスすれば、あなたの地域のレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのコミュニティや若者のためのグループが見つけられます。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーのみんなのために活動的になりましょう。ブラック・プライドやトランス・プライドなどのイベントに参加し、彼らをサポートしましょう」

ストリートへ出て、声をあげ、団結する
FacebookやTwitter、Googleで調べればいくらでも出てくるから、できる限りたくさんのデモへ参加する。変化を求めるための請願への署名、デモ行進、そして、家庭や職場、ソーシャルメディアで声をあげることで政権体制や法律を変えるための直接的な圧力となる。他のグループとも団結し、共に平和的な抗議をしよう。そこがあなたにとって安全な場所と思えたなら、あらゆる点での先入観と、あちこちに溢れている不平等を訴えるために、どこでも声をあげることができる。高いハードルを設定し、効果的なデモを行っているBlack Lives Matterは「アメリカにいる私たちの人種への危機がすぐそこに迫っている。クィアに非登録外国人、貧困層や拘置されている人、イスラム教の人たち、労働者階級、社会的に無視される人、先住の民族たち。彼らがみな抵抗している。トランプが当選することによって、私たちのような人々が社会から振り落とされることを知っている。暴力と危機が迫っている。どちらにせよ結果は良くはならないだろうが、トランプの当選は最悪の事態への青信号が示されたことになる。アメリカにいる私たちの家族はどう行動するべきか知っている。レイシストで略奪者のトランプか、大量拘置をし、物言わぬヒラリーか。今日の結果は決して祝うことなんてできない。だからこそ、私たちは団結しているのだ」と今回の結果を受けて声明を発表した。

セルフケアと、他人へのケアをすること
「私は地域のクリニックで瞑想とヨガの教室をボランティアで開いている。多くはヒスパニック系の人たちだけど、政治的な議論はしないわ。内なる平和の心を育むことによって、同情と寛容さ、受容、弾性と楽天主義などの気持ちが身体にいい影響を与えてくれるという考えに基づいているの」とアメリカでコミュニティのヨガ教師をしているエリー・グレースは語る。「個人の体験から言うと、こういった多様性のあるコミュニティが、厳しい嵐が通り過ぎるのを助けてくれることになるの。私は知っていることを教えるだけ。より良いスタート地点に立つことができない人、そして私自身のためにも、力を与えることができる最も実用的なことだから。人生の美しさと、魂のコミュニティのために必要な、静かだけど、活動的な瞬間なの」

Credits


Text Tom Rasmussen
Photography Matt Martin
Translation Shinsuke Matsuda

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