Photography Mitchell Sams

着想はリー・スクラッチ・ペリーから Nicholas Daley AW19の気取らない魅力

英国ファッション協会のプログラム〈NEWGEN〉の一貫として、今回、4度目となるコレクションを発表したNicholas Daley。今シーズンも多様な発想、アイデンティティ、インスピレーションを見事に融合させた。

by Ryan White; translated by Nozomi Otaki
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jan 11 2019, 6:58am

Photography Mitchell Sams

デザイナーのニコラス・デイリーが今季のコレクションの舞台に選んだのは、ロンドンのクラブ〈Bethnal Green Working Men’s Club〉。大半のメンズウェアショーやプレゼンテーションが開催されるショーディッチの喧騒からやや離れた会場で、小規模ながら完璧な構成の2019年秋冬コレクションを発表した。ディスコ風のミラーボール、ゴールドのリボン、ハート型のライトで飾りつけられた郊外のクラブに漂う、チャーミングで、オーセンティックで、居心地の良い雰囲気は、ニコラスのショーにぴったりだった。

コレクションのタイトル〈BLACK ARK〉とは、著名なダブミュージックのプロデューサー、リー・スクラッチ・ペリーのジャマイカにあるスタジオの名前。〈BLACK ARK〉は幅広いジャンルをマッシュアップし、自在に操り、新たな解釈を加えるこのダブ・プロデューサーと、ファッションデザイナーのニコラス、双方の作品を結びつけるとともに、ニコラス自身のデザインへのアプローチを示している。すなわち異なるストーリーを融合させることで、〈今、この場所〉を映し出す多文化的な作品づくりだ。スコットランド人の母とジャマイカ人の父をもち、レスターで育ったニコラス。2018年11月に刊行されたi-D Magazine THE SUPERSTAR ISSUEのインタビューでは、スコットランドとジャマイカ、ふたつのアイデンティティを結びつけることの大切さを語った。「ありきたりな表現だけど、僕のアイデンティティは僕の血に流れている。母も父も、自分の祖国に大きな誇りをもっています」。彼はこう続ける。「どのデザイナーも、社会の動向を探り、それに挑んでいく責任があると思います。僕はつねに作品を通して、多文化主義とは何かを模索しています。僕の作品をきっかけに、ファッション業界全体が、もっと積極的に文化の多様性を取り上げていってほしい」

ゆったりとしたパンツ、手首まですっぽりと覆う袖、オーバーサイズのジャケット。カラーパレットは濃い臙脂色や青色。大柄のチェック。実用的かつフレキシブルで万能なアイテムは、パブでも気軽に着られそうだ。それでも、今シーズンのトレンドである昔ながらのワークウェアを意識し、平凡で終わらないデザインとなっている。今回Nicholas Daleyがコラボレーションを果たしたのは、ふたつのスコットランドメーカー。リー・スクラッチ・ペリーのスタジオの色使いにインスパイアされたチェック柄を制作したツイードメーカー〈Lovat MILL〉と、ハンドメイドのゴム引きコートに定評のある老舗ブランド〈HANCOCK〉だ。ショー終了後、モデルたちがゲストに混じってジャズミュージシャン、プーマ・ブルーのパフォーマンスを鑑賞していたさい、これらのアイテムを間近で眺めることができた。このような細部へのこだわりが、コレクションに特別感を与えている。

nicholas daley
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This article originally appeared on i-D UK.