ふわふわなディーバ:アントワープ出身の注目・中国人デザイナー、ディ・ドゥ interview

多彩なレザー、チェーンをあしらったカウガールハット、フェザー、ボリューミーなボンバージャケット。前衛的なデザインを特徴とするブランド〈Di Du(ディ・ドゥ)〉のデザイナー、ディ・ドゥへのインタビュー。

by Laura Pitcher; translated by Nozomi Otaki
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12 July 2019, 4:13am

アントワープ在住の27歳のデザイナー、ディ・ドゥ(Di Du)が好むのは、本人いわく「ちょっとやりすぎ」なデザイン。彼女は「ディーバ風の素材」を愛してやまないという。ディ自身のデザインを見れば、一目瞭然だ。ほぼすべてのアイテムに、フェザーやフワフワの素材、光沢のある素材が取り入れられている。

中国生まれのディが女性の力に関心を持つようになったのは、男性の力が重視される国で育ったことがきっかけだったという。彼女は中国人としてのバックグラウンドを、将来の作品に活かしていきたいと考えている。

「中国人であるおかげで、いろんな考えかたを身につけることができました。言語は思考をかたちづくるもの。目に見えるわけではありませんが、それは私たちの血に流れているんです」

子ども時代のディは、特にファッションに興味はなく、文学に没頭していた。ファッションの世界に足を踏み入れたのは「ただ流れに身を任せた」結果だが、今は「ルックをつくることに夢中」だという。

「私はかなり男勝りなタイプでした。男友達と遊んで、彼らと同じことをして、男女は平等だと思い込もうとしていた」とディは過去を振り返る。「性別によって全く違う扱いを受けるので、ずっと男になりたいと思っていたんです」

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彼女はその後ベルギーに移り、アントワープ王立芸術学院でファッションデザインの学位を取得する。彼女がつい最近発表した卒業コレクションのタイトルは、〈Sip My Ocean(私の海をひと口どうぞ)〉。現代の女性アーティストからインスピレーションを得ることが多いというディだが、このコレクションの着想源も、ベルリンを拠点とするアーティスト、アンナ・ウッデンベルグ(Anna Uddenberg)の彫刻作品だ。

ディ自身からコレクションのためのデザインのプロセスの説明を聞いていると、彼女が色を重視しているのは明らかだ。今回のコレクションで、ディは当初、力の象徴として「毒々しい、鮮やかな色」を使おうと考えたが、結局パステルカラーを通してもっと捉えにくい力を表現することにした。「このコレクションの根底にあるのは、微かなエネルギーです。海水のように流動的で、淀みなく、柔らかい。それでいてとても力強いんです」

このコレクションはすでにロザリア、シタ・アベラン、リコ・ナスティのお墨付きだ。3人ともディのアイテムを着用し、ディはInstagramに彼女たちをタグ付けした写真を投稿している。シタが彼女のアイテムを数点着用すると、彼女のSNSをチェックするスタイリストが急増した。今年5月にリリースされたロザリアの「Aute Cuture」のMVでは、チェーンをあしらったカウガールハットなど、2点のカスタムアイテムが使用されたほか、リコ・ナスティは、ディの卒業コレクションのフルルックでメットガラ前夜のパーティに出席した。

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卒業直後にして大人気ミュージシャンたちの後ろ盾を得たディは、自らへの注目に感謝する反面、ストレスも感じているという。今後の展望を尋ねると、「自分自身としっかり向き合い、2年くらいの長期的なプランを練らないと」と彼女は答えた。「作品が多くのひとに注目されているので、もちろんプレッシャーは感じます。でも、より良い自分を目指したいという気持ちが、私の原動力になっています」

女性アーティストから刺激を受け、女性アーティストのためにデザインする彼女は、9月には新作の発表を控えており、Di Du(ブランド名が彼女のフルネームと同じだと知るとみんな混乱する、とディ)のさらなる成長を目指している。アイテムの一般発売も始める予定だ。

ファッション業界が新人デザイナーを起用することの大切さを訴えるディは、自身のブランドが、この業界に「パワフルで、独立した、少しだけ攻撃的なパーソナリティ」をもたらすことができると確信している。最後に、Di Duの未来の顧客とはどんなひとかと尋ねると、彼女はこう即答した。「自信に溢れていて、大胆不敵」

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This article originally appeared on i-D US.