Photography Adrien Dirand

ディオール 2020春夏 メンズでキム・ジョーンズとのコラボを果たした現代アーティスト、ダニエル・アーシャム interview

キム・ジョーンズ率いるディオール 2020年春夏メンズの最新コラボレーターとして選ばれた現代アーティスト、ダニエル・アーシャム。独占インタビューで、DIORメンズの最新コレクションとそのセットについて本人が明かす。

by Ryan White; translated by Ai Nakayama
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26 June 2019, 9:54am

Photography Adrien Dirand

アーティストとのコラボレーションを愛するキム・ジョーンズは、現代アーティストのレイモンド・ペティボン、ストリートアーティストのKAWSなど、DIORでもすでに数々のアーティストとのコラボを果たし、キム・ジョーンズ時代を定義づけてきた。

そんな彼が最新コラボのパートナーに選んだのは、アーキテクチュラルな歪んだデザインやインスタレーションで知られる米国人アーティスト、ダニエル・アーシャム。彼らはともに、ディオール 2020春夏 メンズコレクションと、ショー会場のセットやロゴを手がけた。今回のコレクションでキムは、ファッションそのものを大きく超えるコンセプトをよりいっそう色濃く表現。数々の分野から幅広いアイデアを取り入れた。

アート、映画、建築を網羅するダニエルの作品は、常に未来を向いている。たとえば今回のコレクションのインスピレーション源となった〈Future Relics〉という作品は、9パートに分かれたインスタレーションで、現代の私たちの日用品がすべて時代遅れの遺物と成り果てた想像上のディストピアを舞台としている。

本作についてキムは「長期間続いている9つの短編」と説明する。ショー会場の外に飾られた巨大ロゴから、クリスチャン・ディオールのオフィスに飾られた印刷物まで(すべて幾何学的な素材を用いて再創造されている)、ディオール 2020春夏 メンズコレクションは、数千年後のDIORの姿を投影しようとする試みといえよう。

「ここ数年のキムの作品はずっと好きだった」とダニエルは今回のコラボについて語る。「これまでにキムのプロジェクトに関わったのは、『A Magazine Curated by』のときの一度だけ。クリスチャン・ディオールの犬、キムの犬、僕のスタジオで飼ってる犬のデクスターのドローイングを描いた。メッセージのやりとりだけで完成させた仕事だよ。彼から、こういう案件に興味あるか、って連絡があったんだ」

最新のDIORコラボについて、私たちが知っておくべきすべてのことを、ダニエルが明かしてくれた。

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Photography Adrien Dirand

——今回のコラボはどう準備したんでしょう?

DIORアーカイブで、ムッシュ ディオールが手がけた、あるいはブランドとして発表した過去のデザインや作品をみることにたっぷり時間を費やした。1950年代のものから順番に。そこから多くの着想を得た。今シーズンのコレクションでは、ブランドのアイコニックなアイテムをいろいろ登場させてる。クリスチャン・ディオールのパリのアトリエにあった時計とか、南仏にある彼の自宅のデスクの上に置かれていた電話とか。

それらのモノを、考古学的遺物として再解釈した。つまり、今から1000年後、1万年前後に発見されたモノとして考えてみたんだ。まず素材を変化させた。クォーツ、セレナイト、ブルーとピンクのカルサイトなど、様々なタイプのクリスタルを使用した。この変化はまるで錬金術のようで、対象物が本当に年月を経たような雰囲気を醸し出しはじめた。僕は、今回だけじゃなくより広い活動において素材の探究をしているけど、キムもかなりがっつり探究して、今シーズンの着想を得ていた。僕がこれまでにつくってきた作品のあらゆる面を参照して、コレクション全体に活かしていた。

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——あなたは以前、建築の領域じゃないと思われていることを建築で実現したい、と話していましたが、服にも同じことがいえるのでしょうか?

今シーズン、キムとスティーブン・ジョーンズが手がけた作品には見事なクラフトマンシップが表れている。きっとふたりは、僕の作品で使った結晶の技術や視覚イメージをコレクションに活かそうとしたんだと思う。複雑な様相を呈する表面とか。それに、徹底的に素材を探究している。彼らは、当初、僕が絶対に不可能だと思っていたことをこのコレクションで実現した。特にAMBUSH®のYOONが手がけたジュエリー。彼女は土台にはめ込むクリスタルを絶妙にマットな質感に仕上げて、まるで未来の世界で土のなかから発掘されたみたいにみえる。古びているけれど美しい。

——ファッションから受けた影響は?

ファッション業界には友人が多い。いわゆるヴィジュアルアーティストの友人よりも多いと思う。ファッションの速度は刺激的だ。デザイナーたちの素材の使いかた、着る物、それが着るひとの心にもたらす感覚、その機能性、あるいは機能性のなさ、歴史の表現なども面白い。この数年、作品にとりかかる友人たちの姿をみてきて、そこからも間違いなくインスパイアされていると思う。

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This article originally appeared on i-D UK.

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