「顧客の40%が男性」占星術界の大スター、スーザン・ミラーが語るファッションと未来

全12種類で展開される新バッグ〈Tali〉の発表を記念し、Kenzoは米国人占星術師スーザン・ミラーとコラボして、ファッションと占星術を融合させた新アプリをローンチ。人気占星術師である彼女に、現代の男性が占星術にのめり込む理由を訊いた。

by Micha Barban Dangerfield
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11 July 2019, 7:46am

旨いビジネスであると同時に、自己啓発の手段である占星術は、この超合理化社会における究極のよすがとなっている。有名占星術師のスーザン・ミラーは、1995年からテレビ、アプリ、本、ウェブサイト、トークショーなどさまざまなプラットフォーム上で、星から読み解くメッセージを届けてきた。最近ではKenzoとコラボし、それぞれに合った新作バッグ〈Tali〉を教えてくれるアプリを提供。i-Dはスーザン・ミラーにインタビューを敢行し、ファッションと占星術、それにまつわるすべてについて教えてもらった。

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——まずはあなたが占星術師になった経緯を教えてください。

すべての始まりは、私の慢性疾患でした。生まれつき左脚に病気を抱えており、子どもの頃は耐えがたい痛みに常に苦しめられていました。痛みは突発的でしたし、自分ではコントロールできなかったんです。痛みの発作が起こると、何週間も寝たきりの状態になってしまいました。14歳のときに手術を受け、1年入院しました。当時私の母は占星術を習得していたんですが、私には教えてくれませんでした。でも私は自分の病気の理由、自分が苦しまなきゃいけない理由をどうしても知りたかったんです。まず占星術で、いつか自分がちゃんと歩けるようになるのかを探るべく、雑誌でお悩み相談の連載をもっていた著名な占星術師に質問を送りました。その連載で私のお便りが採用され、答えをもらったんですが、それを読んで、あとは私がこそこそしていたのに気づいたのだと思いますが、母が、このままだと娘は自分の病気の理由を一生考えることになる、と思ったんです。そうして母から占星術の知識を伝授してもらえることになりました。

「西洋的な論理は神秘に傾倒することを禁止するものではありませんが、直感の表出を妨げることは確かです」

——あなたが学び始めた当時と今の占星術は、大きく変わりました?

インターネットでかなり様変わりしましたね、良い意味でも悪い意味でも。良かったことは、占星術が誰にでも手の届くものになったこと。今でいう占星術が初めて登場したとされているのは紀元前2500年頃ですが、当時の占星術は王族の特権でした。ただ、占星術の民主化にも限界はあります。インターネットではさまざまな星占いが見つかりますが、信頼できるものとできないものを見分けるのは不可能です。どういう言葉遣いを信用するか、誰が正しく星を読めるのか。占星術師になるには、ただ感受性が豊かなだけではダメなんです。デカルト主義的、理性的な思考も必要ですし、算術も好きじゃないといけませんし、天空図に天体をちゃんと配置できないといけません。

——新しい世代の若者たちは〈神秘〉というものへの関心が高いようで、占星術もブームになっています。今の状況について、あなたはどう説明しますか?

新世代の若者たちは、教養もありながら稀にみる感受性も備えています。私が思うに、彼らは情け容赦ない、幻滅の時代を生きている。すなわち、自分の親から教えられてきたことが全て嘘、あるいは不可能だということが明らかになる時代です。これまでの社会における約束が、全て剥奪されている。いわゆるミレニアル世代が抱く怒りは、実に正当です。現実から何も答えが得られないのならば、違うところに答えを求めるのは極めて当然のこと。
また、多くの現代男性が占星術に頼っているのも興味深いですね。私の顧客も40%が男性です。最近の男性の占星術への傾倒から、この世界における男性の立場というものが再定義されていることを指摘できると思います。新たな探究、というか。私のもとに来る男性たちは、多くがビジネスパーソンです。つまり、理性は必ずしも直感に勝るわけではないんです。理性的だと考えられているひとたちだってそう。

——理性の危機、あるいは感覚の勝利の時代がやってくるということ?

『聖なる予言』(ジェームズ・レッドフィールド著、1993年)という小説では、ニューエイジの潮流が、西洋社会における科学、事実、理論など、すなわち〈証明〉できる全てのものへの偏執を生み出す不安をすでに予言していたと読み取れます。この偏執によって、〈論理〉にあてはまらないあらゆるものが、信用ならざるものというレッテルを貼られてしまいました。そうやって自らの思考を制限することで、西洋社会全体が、フラストレーションを基盤に成り立ってしまっていると私は考えています。宗教との距離が離れているのも興味深いですね。占星術は宗教とは切っても切り離せません。星は、私たち自身の、そして他人の信仰との関わりかたを示してくれるんです。ホロスコープの第9ハウスと第12ハウスをみればそれがわかります。西洋的な論理は神秘に傾倒することを禁止するものではありませんが、直感の表出を妨げることは確かです。

「ひとのホロスコープは、人類の歴史において繰り返すことはないんですよ。ホロスコープでみると、みんな唯一無二の存在なんです」

——若い世代は上の世代よりも直感を重視すると思いますか?

はい。彼らには、自分の直感に意識的になれ、とアドバイスを送りたいです。とても長いあいだ、社会はふたつの左脳で機能してきました。今こそ右脳を再機能させ、〈事実〉の先をみつめ、私たちを取り巻く世界に疑問を突きつけるときだと思います。若い世代は、良い意味で不遜ですよね。それは健全だと思います。彼らは自分の個性というものをちゃんと理解しているのでしょう。彼らにとって、個性は自分のお荷物ではない。ひとのホロスコープは、人類の歴史において繰り返すことはないんですよ。ホロスコープでみると、みんな唯一無二の存在なんです。双子でさえまったく同じ星のもとで生まれることはありません。だからこそ、他人からの願望に耳を傾けてはダメ。親が子どもに、絶対に医者になれとか記者になれとか思っても無駄です。星は十人十色ですから。

——聞かれても答えられない質問ってありますか?

ええ、たくさんありますよ。前回の米国大統領選のときにはテレビのトークショーに何度も呼ばれましたが、単刀直入に「次の大統領は誰ですか?」と訊かれたときには驚きました。それは私にはわかりません。投票次第です。私にはそれしかいえません。

——最近ではKenzoのハンドバッグシリーズ〈Tali〉とコラボをしましたが、ファッションもある意味で〈予言〉の分野なのでは?

アーティストやクリエイターの仕事とは、社会のなかで起ころうとしている動きを、それが表面に出てくる前につかむことだと思っています。彼らのクリエーションのなかには、予想や予言という要素があり、それは占星術と同じです。

お守りのような眼があしらわれた12種類のハンドバッグそれぞれに言葉を描いてほしい、とKenzoに依頼されたときはワクワクしましたね。結局ファッションも神託のようなもの。具体的にいうと、占星術は、現実に表れるサインも使えるんです。色もそのサインのひとつ。例えばグリーンはコミュニティ精神、集団に一体化したいという意志を示し、おとめ座のカラーです。みずがめ座のひとたちは反抗的、革新的な精神、伝統への挑戦を示す鮮やかなピンクを好む傾向があります。レッドは幸運を司る色。イタリア出身の父には昔から、悪い運気を寄せ付けたくないときは赤を身につけろ、といわれてました。この宇宙における私たちの状況は、自分が自分を配置する場所だけではなく、私たちに送られるサイン、そして自分がそれをどう解釈するかにも影響されるんです。それらのサインはガイドラインであり、調整を促してくれる。私たちの目には重要ではないように映る、些細なものが調整の一助になってくれます。ファッションは、宇宙における立ち位置を調整し、自分を一新するためのひとつの手段なんです。

——なるほど、では最後に今年後半はどんな数カ月になるのか教えてください。

とにかく2020年は重要な年になります。占星術的にいうと、天体が0度に重なるコンジャンクションがかなり重要な意味をもつんです。簡単にいうと、0時のときに長針と短針が重なる、みたいな。それがコンジャンクションです。そこから新たなサイクルが始まり、さまざまなチャンス、障害、出来事をもたらします。そんな大変革のときが近づいているんです。2020年は数々のコンジャンクションが起きる予定です。

This article originally appeared on i-D FR.