Advertisement

「女性が活躍できる舞台を提供する」マドモアゼル・シャネルからCHANELに受け継がれる考えかた

シャネル創設者のアパルトマンに着想を得た「マドモアゼル プリヴェ展/ガブリエル シャネルの世界へ」展が現在、東京・天王洲アイルのB&Cホールで開催されている。オートクチュール、そして伝説のフレグランス「シャネル N°5」のデザインにまで受け継がれるマドモアゼル・シャネルの精神とは?

by Kazumi Asamura Hayashi
|
28 November 2019, 8:29am

パリのカンボン通り31番地。そこには現代ファッションの礎が築かれたアパルトマンが建っている。持ち主はガブリエル・シャネル。ココ・シャネルの愛称で知られた、CHANELの創設者である。

一階のブティック、二階のサロン、三階のアパルトマン、四階のクリエイション スタジオ。ファッション好きはもちろん、クリエイターであれば誰もが一度は夢想したことがあるはずだ━━その空間には何があるのだろうか、と。

東京・天王洲アイルのB&Cホールにて12月1日まで開催されている「マドモアゼル プリヴェ展/ガブリエル シャネルの世界へ」は、そんな私たちの欲望を満たしてくれるだろう。会場はマドモアゼル シャネルのアパルトマンと、シャネルを象徴する色をテーマとした5つのエリアで構成されている。

1574849184010-1574351846884-04_Sofia_COPPOLA_Mademoiselle_Prive_Tokyo_Exhibition_2_LD

このエキシビションでは、コレクションごとに刷新されるオートクチュール、1921年に誕生した伝説的なフレグランス「シャネル N°5」、そして1932年にマドモアゼル シャネルがデザインした「BIJOUX DE DIAMANTS(ダイヤモンド ジュエリー)」の復刻版をはじめとするハイジュエリーから成る、CHANELの3つのクリエイティブな世界に迫る。

1574351593650-41_White_mirror_sequence_4_LD

「今の時代の注目を引くためのデザイン変更はしてはいけない」。そう語るのは、トマ・デュ プレ ドゥ サンモー。CHANELのフレグランス&ビューティ/ウォッチ&ファインジュエリーのグローバル クリエイティブ リソース部門の責任者だ。その受け応えからは、この老舗メゾンに連綿と受け継がれるエスプリがちらりと顔をのぞかせる。

2016年11月に始まったi-DとCHANELのコラボ・プロジェクト〈The Fifth Sense〉は、女性のクリエイティビティと、クリエイティブプロセスにおいて香りが持つ不思議な力を祝福するプラットフォームだったが、彼はその担当者でもあった。

1574842054063-ThomasduPredeSaint-Maur

展示のために来日していたトマ・デュ プレ ドゥ サンモーに、現代に受け継がれるマドモアゼル・シャネルの精神、 N°5のデザイン、「マドモアゼル プリヴェ展」の見所をきいた。

——The Fifth Senseは、シャネル N°5を直接扱う記事やビデオではなく、世界各国の女性クリエイターたちを紹介し、その創造性を祝福するプロジェクトでした。プロダクトを直接アピールしようと思わなかったのはなぜだったのでしょうか?

若いお客様やメディアパートナーの方たちと話していて、フレグランスについての価値感が変わりつつあるということを実感しました。つまり、本質的なものではなく、主体的なものになってきている。ではそこで、N°5の役割は何だろうと考えたんです。The Fifth Senseは、本当に非コマーシャルな試みでした。フレグランスの本質をもう一度語ってみるというのは、とても重要なことだったと思います。フレグランスは人々にとっての隠れ家であり、鎧でもある。自分自身が何者であるかを示すものであり、それと同時にひとつのお守りでもあるのです。

——The Fifth Senseが立ち上がったのは、#MeTooが起こる前の2016年です。その当時に、女性の映画監督や小説家、フォトグラファーたちの創造性にフォーカスした試みは先駆的でした。

マドモアゼル・シャネルは、女性が自分たちの役割を果たしていかないと世界に未来はないと信じていました。それ以上に言い足すことはありません。マドモアゼル・シャネルは、女性を解放したというよりも、女性が活躍できる舞台を提供していたんです。自分をどうするかということは、一人ひとりが決めればいいことです。ですからCHANELとしては、女性がそれぞれの役割を果たしていける舞台を提供したいと考えていたんです。最近では、これは大きなトピックになっていますが、マドモアゼル・シャネルは20世紀初頭からそうした考えも持っていたのです。

——N°5のデザインを刷新する際に気をつけている点はありますか?

今の時代の注目を引くためのデザイン変更はしてはいけないと思うんです。N°5のボトルデザインは20年代末にすでに完成していました。50年代、70年代にもボトルのガラスの厚みを持たせたり、キャップを少し変えたりといった微調整を取り入れる形で進化していますが、ほとんど変わっていません。その時代に沿ったデザインであるように、微調整を加えているだけです。色んな時代を経て、ある種、普遍性のあるボトルになったわけです。

——2018年にボトルを赤くしたのはなぜでしょうか?

何年も前から、N°5は「赤」という色を内包していると考えていました。生命や血の色を表す赤、愛や情熱の赤です。装飾しようという意識はありません。N°5はアールデコ(つまり時代と結びついた装飾)ではなく、デザインの世界に属するものだと思います。この展覧会をご覧いただければ、どんどん取り除いていくデザインの過程が明らかになるでしょう。取り除いていくことによって、とてもパワフルなものになる。どんなジャンルのものでも「これぞ」というデザインは、時代を超えたものであり、とても個人的なものなのです。

——あなたが仕事をする上で信念にしていることがあれば教えてください。

どんな仕事、どんなプロジェクトであれ、楽しくやらないと良い結果は生まれないと考えています。自分が「心地いいなあ」と思わなければ、お使いいただいた方が心地よくなるわけがありませんよね。関わっている製品やプロジェクトの発表前に、「これはエキサイティング」と思たらいい兆候です。それがいちばんの指標になると思います。

——最後に「マドモアゼル プリヴェ展」の見所を教えてください。

様々な時代のクリエイションとの対話ができることです。ココ・シャネルが作ったもの、カール・ラガーフェルドが作ったもの、そしてヴィルジニー・ヴィアールが作ったもの。その全体を統一しているのが何であるのかがはっきりわかると思います。

Tagged:
Chanel
mademoiselle prive