「ヘロイン・シック」の申し子、夭折した天才写真家ダヴィデ・ソレンティの写真集が発売

90年代のファッション界において絶大なインパクトを放った「ヘロイン・シック」。その美学の生みの親であった写真家ダヴィデ・ソレンティはしかし、わずか20歳で急死──。近年再評価が進む彼の初となる作品集『ARGUESKE 1994-1997』がIDEAより刊行された。

by Sogo Hiraiwa
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05 December 2019, 10:08am

ある人にとってダヴィデ・ソレンティの説明は不要だろう。ルールが常に移り変わっていた90年代のファッション界において彼の作品は絶大なインパクトを持っていた。一方、若い読者にとって彼が象徴する「ヘロイン・シック」の美学は、今日の華やかで健康的なファッション業界からは遥か遠くにあるものに映るかもしれない。

ダヴィデは1976年、イタリアのナポリで写真一家のソレンティ家に生まれた。その後、家族でニューヨークに移ると、彼は持ち前の洞察力で、マンハッタンで暮らす若者のヒリヒリするような鋭さや彼らの衝突、緊張感を仔細にドキュメントしていく。おぼろげで虚無感が漂うダヴィデの写真は、90年代中頃のファッション界を揺るがす震源地となった。その名が世間に知れわたると、ポートレイトやキャンペーン撮影のオファーが殺到した。

ダヴィデ・ソレンティ, ジェイミー・キング, ヘロイン・シック, 写真集, 作品集
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ところが1997年に急死。当時まだ20歳。原因は持病とヘロインの過剰摂取によって引き起こされた腎臓疾患。メディアでの露出が増え、「ヘロイン・シック」の危うい美学を取り巻く“政治屋”たちへの認知が高まっていった矢先の出来事だった。

「ヘロイン・シック」の代名詞であるダヴィデはしかし、生粋のBボーイでもあった。高校在学時にはスケーターやグラフィティライターの友人と共にクルー「SKE(See Know Evil)」を結成し、「Argue」の名を街中にタギングしていった。またクルーのメンバーと多国籍ラップグループThe Mosaics(モザイクス)を結成したり、ストリートブランドDanüchtも立ち上げるなど、ダヴィデの才能とイマジネーションは特定のジャンルに収まらないほど満ち満ちていた。

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ダヴィデの死からおよそ20年、近年彼の短い人生の中で撮られた膨大な写真への関心が再び高まっている。2018年には、ダヴィデのドキュメンタリー映画『See Know Evil』が公開、今年の初めにはニューヨークで回顧展が開催されたばかり。

そして今月、ダヴィデ・ソレンティの初となる作品集『ARGUESKE 1994-1997』がIDEAから発売された。本書の編集・デザインは、彼の母であるフランチェスカ・ソレンティが手がけた。抑えられないほど溢れる独特のエナジー、ハイファッションとストリートの衝突。雑誌の切り抜き、ダヴィデの指紋がついたオリジナルプリント、スケッチブックに収められた混沌としたコラージュやグラフィティ、ドローイングによる日々の記録がそこには収められている。

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ダヴィデ・ソレンティ, ジェイミー・キング, ヘロイン・シック, 写真集, 作品集

Davide Sorrenti『ARGUESKE 1994-1997』
176ページ
279 x305mm
ダストジャケット付きハードカバー
1000部限定発行
11,000 円(税別)

日本では以下の書店にて12月7日(土)より販売。
代官山 蔦屋書店
銀座 蔦屋書店
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI
SHIBUYA TSUTAYA
AOYAMA BOOK CENTER
BOOKMARC
DOVER STREET MARKET GINZA

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