クィアカップルAmiide、Laura Ribeiroが語る、結婚という夢を現実に

日本でパートナーシップ宣誓を行ったシンガーソングライターのAmiideとシンガーソングライターのLaura Ribeiro。その後イギリスに移住した二人に、同性婚が認められない日本で、クィアがパートナーと良好な関係を築いていくことについて伺った。

by Honoka Yamasaki; photos by aiden harmitt williams
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21 June 2022, 7:30am

日本で同性婚が認められない現状が続いているなか、LGBTQカップルを婚姻に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」が国内の自治体で導入されつつある。シンガーソングライターのAmiideとシンガーソングライターのLaura Ribeiroは、昨年日本でパートナーシップ宣誓を行った。そして、今年に入り二人はイギリスに移住し、第二の人生をスタートさせた。パートナーシップ制度を利用した二人の関係性は、今後どのように変化していくのか。そして、日本にいるクィアがパートナーと良好な関係を築いていくためにできることはなんだろうか。クィアカップルとしての二人の経験や考えを伺った。

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──二人の出会いについて教えてください。

Laura: 私はもともとクリエイティブなことが好きで、日本にいたときに何かコンテンツを作りたいと思っていました。そこで、友達が当時メディアに携わっていたAmiを紹介してくれたんです。最初は深く関わることはなかったのですが、Amiがそのメディアの企画に誘ってくれたことがきっかけで、徐々にお互いを知るようになり、たくさんのデートを重ね、自然とカップルという関係に進展しました。こんな感じで付き合って3年が経ちました!

──パートナーシップを結んだ経緯をお聞かせください。

Amiide: 漠然と将来は二人で海外に住むことを考えていました。なので、日本での私たちの関係を証明するものをできる限り用意しておきたかったんです。イギリスにはパートナービザがあるんですけど、申請条件の一つとして、パートナーと2年以上同棲していることを証明しなければなりません。この条件をクリアするためには、日本でパートナーシップを結んだり、パートナーとの関係性がわかるような写真を残したりと、さまざまな証拠を残しておく必要があったんです。

Laura: 日本では同性婚が認められていないので、代わりに私たちの関係を証明するためのステップを多く踏まなくてはいけなかったんです。

──実際にパートナーシップ制度を利用し、感じたことはありますか?

Amiide: パートナーシップ制度は、法律上の婚姻制度ほどの力をもたないことを痛感しました。制度を利用することで、スマホや保険のファミリープランが適用されたり、公営住宅家族として住めるようにはなりますが、遺産の相続や在留資格など、法的に結婚したカップルと同じ制度が使えない点が課題だと感じています。

Laura: 海外では先進国を中心に「Civil Partnership(シビル・パートナーシップ制度)」が導入され、法的にパートナーとの関係が認められます。日本のパートナーシップ制度は多くの先進国が導入しているものとは違って、パートナーが外国籍の場合には在留資格が認められません。これは日本に住んでいた頃に一番心配していた点です。

Amiide: まだまだ課題はあるとはいえ、パートナーシップを宣誓したことで、役所で公的書類を受け取る際に一緒に並ばせてもらったり、病院の婦人科でも一緒に診察を受けたり、公共施設で働く人たちにパートナーとして対応してもらえたことは嬉しかったです。

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──パートナーシップを結んだ後、イギリスに移住するというライフイベントを迎えた経緯を教えてください。

Laura: 私たちには、将来結婚しパートナーと子供と家族を築くという夢があります。ですが、現状の日本では同性婚が認められていないので、すぐにこの夢を実現することは難しいと感じました。なので、今のところは人生設計を立てやすいイギリスに住んでいます。

──イギリスではクィアコミュニティがどのように受け入れられていますか?

Amiide: 比較的クィアコミュニティに対して寛容な印象です。高齢者を含めたさまざまな世代の人たちに、クィアが当たり前に存在しているという前提が浸透しているのかなと。なので、彼女がいることを人に伝えるハードルは日本に住んでいたときよりも低くなったと感じています。

Laura: 最近、イギリスでは特定の属性に焦点を置くよりも、あらゆるコミュニティを受け入れる包括的な視点の方が重要視されているように思います。聞いた話によると、ロンドンではレズビアンバーやゲイバーが減り、代わりに誰でも入れるミックスバーが増えているようです。とはいえ、特定のコミュニティを必要としている人もいるので、クィアの人たちが安心して過ごせるスペースは必要だと思います。

──お二人のライフステージはどのように変化していますか?

Amiide: パートナーシップ制度の宣誓やイギリスへの移住をしたことにより、現実的な未来について可能性をもって話すようになりました。昔は夢だと思っていたことが今では目標に変わった。これからはもっと現実的になると思います。

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──現状では同性婚が認められていない日本で、人々ができることとはなんでしょう?

Amiide: クィアを自認していない人も、クィアが周りにいると思って勉強することですかね。最近、結婚に向けての手続きを進めていくうえで必要な戸籍謄本をお父さんに送ってもらったのですが、封筒の宛名に「Ms.」ではなく、相手の性別を特定しない敬称の「Mx.」と書かれていたんです。愛されているんだなぁ〜と感じ、Lauraを呼んですぐに封筒を見せました!このように自分でクィアについて知ろうと調べたり、行動に移すことで、周りのクィアが生きやすくなるのだと実感しました。

Laura: その通りだと思います。周りにクィアがいると思って新しいことを学んだり、さまざまな人に対してオープンでいることが大事です。そうすることで、今後の社会のあり方が変わる第一ステップを踏めるのかな。

Amiide: あとは闘い続けることですかね。同性婚が認められている国では、多くの人が声をあげてきました。同じアジアに位置する台湾も同様です。私たちクィアが存在することを社会に広めることで、徐々に変わっていくと信じています。このまま変化を求めないで過ごすより、ポジティブな変化を求めて過ごしていきたい。社会がよりよい方向に変わることで、誰も損しないですから。

ただ、同時に逃げるという選択肢も忘れないでください。私が中学生の頃いじめにあったとき、母親が「つらくなったら無理しすぎないで逃げなさい」と言ってくれたんです。もし社会からいじめられていると感じたときは、闘うという選択を捨て、逃げてもいいということを忘れないでください。

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──お二人は海外に移住してからも、積極的に日本のクィアコミュニティに向けた活動を継続していますよね。海外に住むクィアカップルとして向き合っていることとはなんでしょうか?

Laura: 特に同性婚が認められていない国に住む人たちが、私たちクィアも結婚できるということを知ることが大事です。なので私たちができることは、SNSやこのようなインタビューを通して自分たちの経験と希望を伝え続け、いつか日本を変えたい!そのために闘う価値があることを示すことも重要です。

Ami: 日本にいる人たちも同性婚が認められる希望を持ってくれたら嬉しいですし、私たちもいつか家族をもったときに、家族として日本に帰国する日が来ることを楽しみにしています!

Credits


Text Honoka Yamasaki
Photography aiden harmitt williams
Edit Kotetsu Nakazato