米国、ポーランド、北京に暮らすスケーターたちのつながり VANSの動画シリーズ「THIS IS OFF THE WALL」新章が公開

多様なスケーターの表現を祝福するZINE「スケート・ウィッチズ」、ポーランドのDIY精神溢れるスケート場、北京第二世代のスケーター──世界各地のスケートコミュニティを紹介する、VANSの短編映像シリーズ「THIS IS OFF THE WALL」が公開。

by Minami Goto
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21 August 2020, 12:00am

世界中のスケーターから愛されるブランド「VANS」。スケートボードを象ったおなじみのブランドロゴに書かれている言葉、「OFF THE WALL」の意味を知っているだろうか?

「OFF THE WALL」はVANSが掲げる自己表現のスローガンだ。その起源は1970年代まで遡る。映画『ロード・オブ・ドッグタウン』でも描かれたアメリカ西海岸のスケートチーム「Z-BOYS」のスケーターたちがプールで文字通り「壁から離れて(off the wall)」トリックを披露したことから生まれた。「型破りな、ぶっとんだ」といった意味のスラングとしても用いられている。スケートだけでなくアートや音楽、ファッションなどのサブカルチャーを通して自分たちのスタイルを表現してきた先駆者たちをルーツに、「OFF THE WALL」はブランドにとって反抗とクリエイティブな表現のスピリットと同義語であり続けてきたのだ。

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そんな「OFF THE WALL」の再定義を試みるVANSのキャンペーン「THIS IS OFF THE WALL」では、「ストリートカルチャー」「音楽」「アート」「アクションスポーツ」を軸にした映像シリーズや様々なコンテスト、参加型のコンテンツなどを通じて、世界各地の創造性溢れるスケートコミュニティやクリエイターをサポートしている。

この夏に公開された3本の最新ストーリーでは、アメリカ、ポーランド、中国のスケートシーンに光を当て、さまざまな年齢、国籍、ジェンダーの人々によって築かれたユニークなコミュニティのあり方を映し出している。

■ZINEから始まったスケーターのコミュニティ「スケート・ウィッチズ」

『The Skate Witches』は、伝統的にボーイズクラブ的なメンタリティも少なくないスケートシーンにおいて、女性をはじめとする見過ごされがちなスケーターたちのための表現のプラットフォームとして生まれたZINEだ。主流のスケート雑誌やスケートフィルムに自分たちのようなスケーターがフィーチャーされないことにフラストレーションを感じたクリスティン・エベリングとシャリ・ホワイトが、「だったら自分たちでメディアを作ろう」と立ち上がったことに端を発する。

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「THIS IS OFF THE WALL」の映像が捉えたのは、街をスケートで駆け抜け、パークでトリックを決めたり、ムービーや写真を撮ったりする自由でクールなスケーターやフォトグラファー、ビデオグラファーたちの姿。「私たちはガールズパワーを主張したいわけじゃなくて、そんな議論や会話さえ重要じゃない世界で生きていたい。なぜなら誰もが違っていて、それぞれに平等な機会と表現があるから。私たちはその問題提起をしている感じ」。創始者の一人、クリスティンはそう語る。

『The Skate Witches』のZINEは公募で集まった作品のみで構成されており、トランスジェンダーやノンバイナリーの人々を含む、それまで光が当たってこなかったスケーターやフォトグラファーたちにとって、コラボレーションやメンターシップ、そして何よりも自分自身を表現する場所となっているようだ。そのDIY精神と創造性、強い意思は国境を超えて伝搬し、豊かなコミュニティの輪を広げている。

■廃墟と化した商業施設がスケーターの聖地「ザバー・ボウル」に

「望むものがないなら作ってしまえ」というスケーターのDIY精神は、ポーランドの首都ワルシャワでも見ることができる。マーチン・“バカ”・デュックと彼の仲間たちは、自分たちの街にイカしたスケートパークがあることを望んでいたものの市職員に建設する気がなかったため、自分たちで作ることにした。壁を壊し、瓦礫を埋め立て、100トンものコンクリートを使って、かつてショッピングセンターが建つはずだった歴史ある橋の下の廃墟を「自分たちの場所」にした。その場所は「Szaber Bowl(盗まれたボウル)」と呼ばれている。

壁中に描かれたグラフィティは作り手や利用者のスケーターたちの想いと表現の痕跡だ。映像で語られるように、このパークの要素ひとつひとつに彼らの魂が込められている。いつ地権者が埋め立てのために戻ってくるかわからない状態だというが、マーチンはこう話す。「ある時、気づいたんだ。目標を達成することではなく、それを追うこと。それがスケートボーディングのスピリットだって」

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■第二世代に突入した北京のスケートシーン

北京のスケートシーンにフォーカスしたフィルムでは、世代から世代へと精神を受け継ぎながらコミュニティが育まれていく様子を切り取っている。90年代の中国では親の反対にあうキッズも多く、スケーターの数は多くなかったというが、スケートボードを取り巻く環境は確実に変化している。中国における第一世代とも言うべきスケーターたちが大人や親になり、メンターとして若い世代へスケートボードの魅力を伝えているのだ。最近は子供にスケートをさせたいと思っている親も多いのだと映像では語られている。

「THIS IS OFF THE WALL」のカメラが映すのは、同国におけるスケートカルチャーの黎明期を知るチェン・ロンやシャオ・ヤオといったパイオニアから、10代のスケーターまでさまざま。「次の世代と共有すればするほど、スケートカルチャーはもっと成長する。そしてスケートファミリーがどんどん大きくなるんだ」とシャオが話すように、世代を超えてスケートボードへの愛や互いへのリスペクトを共有することでローカルのコミュニティは結びつきを強め、裾野を広げている。

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年齢も国籍もジェンダーも関係ない──スケートという共通言語が居場所を作り、創造性を刺激し、「OFF THE WALL(型破り)」な何かを生み出していく。これら3つのショートフィルムが捉えた各地の「スケートコミュニティの熱」こそがVANSがこれからの未来で見たいと望む「繋がり」の形なのだという。

『The Skate Witches』のクルーはビデオの中で語っていた。「スケートボーディングがクールでスペシャルなのは、多くの異なる人々がそれぞれのスタイルを持っているから。正解も不正解も、一つの答えはない」

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