東京の多種多様なコミュニティーが集う代々木公園のレイブ『Yoyogiparty.jp』について

代々木公園は都会のオアシスとして東京人に愛されながら、多様なカルチャーの発信地として君臨してきた。そんな代々木公園で開催されるアートエキシビションとパーティーを融合させたレイブ『Yoyogiparty.jp』について。

by Kazuki Chito
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24 November 2021, 3:22am

代々木公園は大都会東京に位置しながら、その喧騒を忘れさせるほどに豊かな木々や草花が入園者を迎え入れ、競争社会に疲弊する東京人のオアシスとして多くの人々から長年愛され続けている。また、その公園は奇抜なファッションでダンスを踊った80年代の「竹の子族」をはじめ、ローラー族やロカビリー族など、ファッション・音楽・アートなどの新しいカルチャーの発信地という面も持ち合わせていた。そんな代々木公園は今も変わらず文化運動の火付け役として東京に君臨する。『Yoyogiparty.jp』も代々木公園という舞台で興っている一つのムーブメントと言えるだろう。

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Live session by ren du & ichiro tanimoto

Yoyogiparty.jpは代々木公園を舞台にエキシビションとパーティーが組み合わさったレイブである。そのレイブでは多種多様なアーティストが作品を展示したり、DJたちがホットなトラックをシェアしたり、ミュージシャンたちがライブを行なったりする。そのイベントに集うのはアーティストに限らず、ライター、レイブのオーガナイザー、デザイナー、DJ、スタイリストなどといったクリエイティブな人たちだ。Yoyogiparty.jpのオーガナイザーは同レイブを様々な表現者たちが集える空間として運営して行きたいと語る。

「コミュニティーってどうしても友達や知り合いで完結してしまう傾向にあると思います。循環していないコミュニティーに僕はあまり興味がありません。同一言語ばかりで話す人たちで集まって終わりたくないということです。Yoyogiparty.jpは展示だけでもないし、楽しく踊るためだけの場所というわけでもありません。多種多様な人々がアートという言語、踊りという言語、衣服という言語、様々な言語ではない言語を通してコミュニケーションし、己と向き合う場となっています。」

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Live session by ren du & ichiro tanimoto

そんなYoyogiparty.jpのオーガナイザーは代々木公園に「集いの場」としての魅力を感じ、会場として選んだと話す。

「代々木公園はどんな人でも誰かと繋がれるプラットホームとして機能する場所です。出会いを求める会があるなどして、代々木公園は公共空間としての役割もありますが、プライベートな交わりを生み出しているような気がします。Yoyogiparty.jpも同じく、たとえ作品を展示しないひとであったとしても、誰でも参加できるような空間をつくっていきます。」

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Taima Bakudan by lazuli

オーガナイザーのフラットな環境を作りたいという思いは日本におけるアーティストの立ち位置への苛立ちに起因する。

「アーティストは決して特別な職種や人々ではありません。日本ではアーティストが職として認められにくい状況があります。それは良くない。友達から聞いた話なんですがイタリアだったらアーティストが払わないといけない税金があったりして、アーティストが職として認められています。アーティストはリアリティーから逃げてはいけません。」

「『あなたって普通じゃないよね』というコメントに対して『え?普通って何?』と返答するようなコミュニケーションをよく耳にすることがあります。何故、アクティビストやマイノリティの活動が過激だと叫ばれるのでしょうか。普通の暮らしを求めて活動している人がいる中で、普通って言われるのが嫌いと嘆くというのは贅沢なんじゃないかと思っています。もっとフラットな環境にしたいんですよ。アート、アーティストは決して特別じゃない。代々木公園で警備員さんに注意されたら違う形態でやるようにする。アートを理由に怒られていることを続けるっていうのは不条理な感覚があって。アートだから許されるということは絶対ないと思います。」

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Live session by ren du & ichiro tanimoto​

そんなYoyogiparty.jpの魅力の一つは間違いなくアート作品の屋外展示だ。オーガナイザーがInstagramを通じて知り得たアーティストが中心に集められ、各アーティストの作品は代々木公園との関係性を保ちながらそれぞれが持つメッセージを参加者に投げかける。この代々木公園における屋外展示を始めた理由はオーガナイザーの高校時代にあるという。

「高校生の頃から『なぜギャラリーや美術館といったホワイトキューブ内でしかアート作品を見ることがないのだろう。なぜ綺麗な場所でだけしか作品を見ることがないのだろう』と疑問に思っていました。確かに公共空間に展示されるパブリックアートなどはありますが、ショッピングモールのような商業施設に展示されているだけのような気がします。。ホワイトキューブが与える決められた配置、決められた高さ、決められた展示の仕方といった展示の常識はアーティストの中に無意識な制限として洗脳されている気がします」

「そういう意味ではホワイトキューブギャラリーでは当たり前とされている『キューレーション』という行動もYoyogiparty.jpにはありません。Yoyogiparty.jpはキュレーションもしますが、あるアーティストがSNS見て勝手に来て、展示するのもありにしています。キュレートっていう制度に抵抗していきたいですね。アーティストは社会の一部として生活しながら、抵抗や挑戦を続けることが大事だと思っています。」

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「僕がYoyogiparty.jpで達成したいと思っていることは代々木パーティーというコミュニティを作ることではなく、さまざまなコミュニティ同士がぶつかり、混じり合い、新たなコミュニティが生まれる空間を作ることです。東京という都市の中にいる表現者を連帯させることで、彼らは現実と対話し、共に新しい挑戦をしていくことが可能になると思っています。」

競争社会である東京は人を蹴落としたりするなどといった悪い側面が見られがちである。しかし、Yoyogiparty,jpは代々木公園という穏やかな場においてポジティブな競争を生み出しているように思える。全く接点のないコミュニティーに属する表現者たちがレイブを介して出会い、交流し、作品について話し合う。そこにあるのはネガティブな批判や罵倒ではなく、個人を高め合うフィードバックであり、ポジティブな競争ではないだろうか。ユースらしい挑戦し続ける姿勢と現実に向き合うその態度は間違いなく今後のアーティストに求められることだろうし、Yoyogiparty.jpがレイブというメディアを通して発信するオリジナルなメッセージだと思う。

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Taima Bakudan by lazuli
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Live session by ren du & ichiro tanimoto​
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Credit

Photography by Rin Nagamoto