Licaxxx​​「カルチャーを損なわないためにも、生活の基盤や政治の仕組みに立ち返る必要がある」【離れても連帯Q&A】

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響によってクラブカルチャーは大打撃を受けている。でもだからこそ、今考えたい"これから"について。「こんなにも呆気なく全てが失われるということを自覚し、今後生活していく必要がある」と、DJのLicaxxx​は語る。〈離れても連帯〉シリーズ第8弾。

by Sogo Hiraiwa and Licaxxx
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16 April 2020, 11:00pm

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって、日本ではいま、多くの文化施設が休業を強いられ、感染防止対策として、あるいは政府による“自粛の要請”によって。また「ステイ・ホーム」や「ソーシャル・ディスタンシング(距離をとること)」が求められ、人と人とのコミュニケーションはいまだかつてなく制限されています。

こうした中でわたしたちには何ができるのでしょうか。文化を維持するために、好きな人や場所を守るためには何が? 離ればなれであっても連帯するには? この"非日常"を忘れないためには? さまざまなジャンルの第一線で活躍している方々にアンケートを実施し、そのヒントを探ります。

今回は、DJのLicaxxxが登場。主宰するTokyo Community Radioではコロナによる外出規制以降、さまざまなDJを招いた「ロックダウン・セッション」や「アフタヌーン・チル・セッション」をYouTube上で行なっている。

KEEP-DISTANCE-IN-SOLODARITY

──新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、今あなたが属している業界や産業はどんな打撃を受けていますか? 応援・支援するにはわたしたちに何ができるでしょう?

Licaxxx:世界規模で、クラブカルチャーは読んで字のごとく大打撃を受けています。このカルチャーを構成しているのはアーティストとファンだけではなく、クラブ、ブッキングエージェント、プロモーターなどがいますが、主に情熱で動いているインディペンデントな自営業者などの存在もあって成り立っています。カルチャーの衰退はもとより、廃業に追い込まれ困窮する人が必ず出てくる。そして場所から根こそぎ消滅してしまう事態に見舞われています。

現在、Resident Advisorなどを中心にシーンを救うための情報やアイディアがまとまっています。Bandcampなどで楽曲やマーチャンダイズを購入することは今すぐにできますし、工夫を凝らした配信やヴァーチャルイベントに参加することもできます。私が一年前から主宰するTokyo Community Radioでも、毎週木曜日のレギュラープログラムに加え、早くクラブに戻れることを願いながら、さまざまなDJの家からの配信やストリーミングだからこそ面白いプログラムを追加していこうと思っています。

また、カルチャーを損なわないためにも、生活の基盤や政治の仕組みなど最も基礎となる部分に全員が立ち返る必要があります。政治にもっと関心を持ち、勉強し、声をあげていることが市民として当然のことであるべきです。それは、上にあげた関係者はもちろんファンの方も含めてです。こんなにも呆気なくすべてが失われるということを自覚し、今後生活していく必要があります。

──自宅待機以降に新しく始めたこと、もしくはポジティブな影響・変化がありますか?

Licaxxx:趣味だった料理の本格化。読書や映画、興味があったが後回しになっていたことについての勉強時間の確保。友人、家族、大事な人への思いと感謝の再認識。睡眠時間と休肝日の増加(笑)。

──コロナのビフォー/アフターで、変化した自分の考え方や、社会への認識があれば教えてください。

Licaxxx:情報収集、そして選別し自ら考える力を養っていくことが最も重要だと再認識しました。感覚的な表現をしているぶん、専門分野以外での直接的な行動を促すような勉強不足なままの発言を一番嫌悪していたので、『虐殺器官』でいうならば”器官”のような、『一九八四年』でいいうならば”二重思考”を促すような、そういう存在でありたいと思っていますが、有事である今、多少困惑しています。声をあげるべきところでの態度の示し方、単純な扇動にならない発言の線引きと知識の裏付けに日々追われています。

──2020年2月の自分に伝えたい・教えてあげたいことは?

Licaxxx:2月末に色々機材を買うと決断したのは正解。

──自宅隔離中の人に試してほしい、オススメの行動やコンテンツを教えてください。

Licaxxx:やはり普段よりもたくさんの音楽を聞いたり、本を読んだり映画を見ることができることは醍醐味です。知識は何よりも武器になると私は確信して生きてきたので。ただ精神的に内容が入ってこなかったり、なんか音楽が聞けなかったり、そういう時も私も多々あるのでその時々に合わせて好きなものを見たらいいと思います。個人的にこの期間に見たのは、Netflixでは『宇宙よりも遠い場所』『ジパング』、本は社会学者で在学時代に授業を受けていた小熊英二氏の本を読んでいます。

在宅中の家事や仕事のBGMで音楽をかけられるけど、どこで聞こうか、何を聞こうか迷っている人がいると思います。DJのMIXはネットに上がっているものだと1〜2時間のものが多く、垂れ流しには向いています。Resident AdvisorのPodcast、YouTubeでBoiler Roomのアカウントに行けばあらゆるジャンルの過去の放送が残っています。また、色々なDJたちがオススメのMIXをSNSで紹介したりもしているので好きなDJの発信を辿るといいでしょう。

あと、テレビを見ながらの専用ローラーを使った筋膜リリースはオススメです(笑)。

──自分の今の気持ち・気分を音楽で表すとしたら?

Licaxxx:VAUDOU GAME『OTODI』。自分の気持ちかどうかはわかりませんが、最近聞いてよかったアルバム。

──コロナ禍で人間の「良い面」も「悪い面」も浮き彫りになりました。あなたが見聞きしたなかで、忘れたくないと思う、印象的な出来事やエピソードがあれば教えてください。

Licaxxx:今まで人はいつ死ぬか分からないし、日常が奪われるか分からない。やりたいことは今すぐやる、伝えるべきことはすぐ伝える。

──コロナ禍が落ち着いた後、日本の社会にはどう変わっていってほしいですか?

Licaxxx:国民として政治に参加できていると実感できるぐらい議論できる環境にしていくこと。勉強が嫌いだから、自分は馬鹿だからという発想で関心を失うのではなく、そもそも住んでいる時点で問題が発生していてそれに対してどうしていくべきなのか、個人で考えることができる風潮が生まれること。

Twitter @Licaxxx Instagram @licaxxx1

離れても連帯

Special Thank Kisshomaru Shimamura

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