アメリカンカルチャーを貫くPalm Angels

LAの開放感とスケートカルチャーを落とし込んだプロダクトで話題沸騰中のブランドPalm Angelsが、10月末まで東京・青山で期間限定のポップアップストアを開催している。i-Dはデザイナーのフランチェスコ・ラガッツィにインタビューを行った。

by Hiroaki Nagahata; photos by Takao Iwasawa
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07 September 2017, 4:36am

takao iwasawa

コロンビア生まれのシンガー、J.バルヴィンが着用したことで一躍注目を浴びたPalm Angels(パーム・エンジェルス)。デザイナーのフランチェスコ・ラガッツィはフォトグラファーとしての顔をあわせ持ち、2014年にカルフォルニアのスケートシーンを記録した写真集『Palm Angels』を発表。翌年、サイドラインが入ったパンツや、背面に写真が大きくプリントされたデニムジャケット、ピンクのセットアップを携えて、写真集のタイトルと同名のブランドPalm Angelsがランウェイデビューを果たした。

イメージからファッションへ。そんな一風変わった生い立ちのブランドのポップアップストア「LONELY HEARTS CLUB」が、10月末まで青山で開催中。これは、欧米で巻き起こっているR&B/ヒップホップの熱狂がイマイチ伝わりづらい日本で、このブランドの全容を知る絶好の機会。ちなみに、フランチェスコ・ラガッツィが「トリップスター」の野村訓市と共同で作り上げたコンセプトはストリップ。というわけで、まずはこんなくだらない質問から。

あなたもストリップにはよく通っているんですか?
うん、常連ですね(笑)。というのは冗談で、若い人たちにもっと店舗に足を運んでほしいと思っていたから、何かきっかけを作りたくて、ストリップというコンセプトを思いついたんです。そこに、自分が映画で見たような要素をいくつか取り入れていて。ストリップ劇場をそのまま再現するんじゃなくて、何か自分なりの解釈を含めた形にしたかったので。

今のファッションにセクシーな要素を持ち込みたかった、という意図もありますか?
うん、そもそも今は変とか不思議なものより、セクシーなものがよく売れると思うんです。

あなたにとって売れることは大切?
うん、大事ですね。ファッション・デザイナーとして成功するために、"今"を切り取ることをわりと大事にしている。だから、自分のクリエーションにおいては、"セクシーかどうか"ではなく、"今みんなが何を求めているのか"ということを重要視しています。

初期のコレクションはプレッピーの要素が強かったのですが、近年はスケーターやハードコアのスタイルに寄ってきましたよね。
僕はイタリア人だけど、外部から見たカルフォルニアのイメージを更新したかったんです。最新コレクション(2018年春夏)では、ビーチ・ボーイズが楽しそうに波乗りしているイメージの"次"を描いているつもりです。それと、僕はアメリカのいかにも日常的な光景にインスピレーションを受けることが多い。コストコとかウォールマートとか。

Palm Angelsはセレブリティと密接につながっていますが、あなた自身がそのカルチャーを批判的に考えてしまうようなことはありませんか?
僕はずっとセレブリティに自分の洋服を着てもらいたいと願っていたし、今もセレブリティがステージで着るために洋服をデザインしている。だから、エイサップ・ロッキーが着用してくれたことはひとつの夢が叶った瞬間でした。

そこが一番のモチベーションだと?
これはけっして皮肉じゃなくて、純粋な気持ちです。その世界観にジョインしたい人たちがPalm Angelsの洋服を着てくれたら最高ですね。エイサップやカニエが着ている洋服を着たいと思ってくれるようなキッズもまた、このブランドにとっての顧客だと思います。

ミュージシャンとデザイナー、人間的に共鳴する部分があるとすればそれは何ですか?
今って、セレブが強大なパワーを持っているという点で、まるで1999年みたいですよね。ただ、今のほうがクリエティブな才能でのし上がっている人が多いように感じる。そんな彼らの姿勢には共鳴する、というか憧れてすらいて。僕もそのシーンに寄り添う本物のブランドでいなければいけないというプレッシャーを感じています。

あなたがセレブではなく一般向けのラインをつくることはあり得ますか?
90年代にAbercrombie & Fitchがやったような、刺激的なコラボなら興味があります。

普段はヒップホップやR&Bをメインに聴かれているのでしょうか?
いいや、何でもミックスして聴きます。同じカテゴリのものばかりを聴いていると思考まで凝り固まってしまうような気がして。様々なジャンルの音楽を聴くことが良いブレインストーミングになるんです。

インスピレーションを得るためではなく、純粋に趣味として楽しんでいることはありますか?
写真を撮るのは好きなんですが、最近は忙しすぎて……。

Palm Angelsのアプローチは、デザイナーの頭の中を完璧に再現するのか、あるいは周りの人たちがデザイナーの小さなアイデアを膨らませていくのか、どちらだと言えるでしょう?
僕たちは大きなチームで動いています。それに、僕自身が仕事を通じてエゴを表現したいという欲を持っていない。各々がパッションを持ち寄って、ブランドとして成長していけたらそれがベストです。僕の仕事は、みんなと同じように"パッションを維持させること"、それだけです。

そういう意味ではデザイナーという呼び名もしっくりきませんか?
僕は自分のことを洋服のデザイナーではなくアーティストだと思っています。映画監督でもなければ、グラフィックデザイナーでもない。だけど、自分が求めているものはわかる。他の人が映像や写真を通して表現していることを、僕は50メートルのランウェイで表現しているんです。

Palm Angels Pop-Up Store 『LONELY HEARTS CLUB』数量限定Tシャツが9月9日に発売スタート。

今週、9月9日(土)、数量限定「LONELY HEARTS CLUB Palm Angels」Tシャツが発売される。当日は発売を記念し 20:00pm〜22:00pm の間、ドリンクサービスとともにストリップクラブからインスパイアされたポールダンスショーも楽しめる。先着順で数量限定のノベルティも。

住所:東京都港区南青山5-5-25 B1F
Tel:03-6712-6819 / 12:00〜20:00 / 開催期間は10月末予定。