SHOOP ミリアン・サンス&大木葉平インタビュー

「Life is a lot like jazz… it’s best when you improvise.(人生は、多くの場面でジャズのようだ……即興のときほど、うまくいく)」。作曲家ジョージ・ガーシュウィンのこの名言がSHOOPの2017春夏コレクションの精神だ。

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18 januari 2017, 6:20am

Miriam Sanz (ミリアン・サンス)と大木葉平が2011年に立ち上げたSHOOP。ストリートカルチャーや音楽をインスピレーション源としてきたこのブランドは、ドレイクや水原希子への衣装提供をしたことでも知られており、その服は国内に留まらずスペインや韓国の有名セレクトショップでも取り扱われている。

SHOOPの最新コレクションは、ジャズの即興演奏にインスパイアされている。また、甚平や腹掛けなど日本の伝統衣装を再解釈する一方で、モーツァルトやベートーヴェンなどのクラシック音楽家をもじったRap TeeのパロディーTシャツを展開し、伝統とアバンギャルドの調和を目指している。

エディトリアルでは岩澤高雄が写真を手掛け、スタイリングは渋谷にあるセレクトショップSullen Tokyoが担当している。筒井のどかと高橋侃をモデルに起用し、2020年東京オリンピックに向けて再開発が進められている渋谷の街で撮影された。デザイナーの大木とミリアンに最新コレクション、他のプロジェクトについて話を聞いた。

SHOOPを立ち上げる前は何をしていましたか?一緒に働き始めた経緯は?

ミリアン:自分のブランドを立ち上げるのが以前からの夢で、数年間ファッション業界で働いた後、SHOOPの立ち上げを決めました。葉平はその初期からSHOOPのグラフィックなどを手伝っていて、徐々にSHOOPの一員になっていきました。今はふたりで全部やっています。

偉大な日本の音楽家の中で、ジャズと関係があるアーティストが多いと思うのですが、誰が好きですか? 好みのジャンルはありますか?

山下洋輔:日本のジャズピアニストの中でも、世界的に有名な人です。彼は"ジャズはプロレスだ"と言っています。「即興は、技をかけられたらかけ返す」んだと。

Sleep Walker:Club Jazzっていうジャンルのカルテットです。

Soil & "Pimp" Sessions:パンクの要素もあってアグレッシブなんだけど、エレガントなところが好きです。

このエディトリアルは映画的で、主人公のモデルがストーリーを語っているように見えます。撮影にあたって影響されてものはありますか?

海外在住の日本人として海外の視点から、また日本人としての視点をいい塩梅でミックスして、東京の今とそこに暮らすユースを撮りたいと考えていました。ストーリーとしては、家から始まり、カラオケやクラブ行って、コンビニでおでん食べて終わる"やんちゃな感じの子のある一日"みたいな感じですね。渋谷を撮影場所に選んだのは、東京オリンピックに向けて大々的な都市開発で日々変わっていく街でもあり、また海外のアーティストや観光客が絶えず訪れ、遊んで行く街でもある渋谷がいいと思ったからです。今しか撮れない渋谷が、ファッション的視点から撮った記録写真ともなるのも面白いなと。

また、スクラップ・アンド・ビルドの中にある混沌とした今の渋谷に美を見い出し、新しいモノやカルチャーが生まれる期待感を感じている若者――その今を生き、渋谷と共に変わっていく、現代のユース――にSHOOPの服を着てもらいたいと思いました。

2016年、僕たちが住んでいるヨーロッパでは、テロが多発し、イギリスがEU離脱を宣言、経済危機のなかで失業率も多く、暮らしにくくなった古い形態や思想を若者が壊しています。ファッション業界でも、新鋭デザイナーが従来のシステムを変えようとする動きが活発になってきました。日本でも今まで以上にアート、音楽、カルチャーの分野で世界に発信して注目されている若者が増えています。2016年は何かが一旦終わって、新しいものが始まる準備をする時期だと個人的に考えています。

SHOOPの2017春夏コレクションも、古着や日本の伝統的な衣装とジャズから受けたインスピレーションを――古いモノと新しいモノを融合したものになっているので、渋谷の今にマッチしていると思います。

モデルのキャスティングにあたって、何か基準はありましたか?

のどかちゃんとなお君は、今のユースを象徴するふたりだと思って、お願いしました。ふたりのインスタからも独特な味が感じられて好きでした。結果も、すごく満足しています。

以前、ロンドンのアーティスト、マイケル・ウィルス(Michael Willis)とコラボレーションしていましたが、どんな経緯で実現したのでしょうか?

ある日、マイケル・ウィルスからコラボしたいというメールがきました。僕たちも彼の作品が好きだったので、速攻で「OK」と返信しました。

他に一緒に働きたいと思っているアーティストはいますか?

デヴィッド・ラドニック(David Rudnick)やダニエル・スワン(Daniel Swan)やアドゥルト・アドゥルト(Adulte Adulte)などと是非してみたいです!

ドレイクに衣装提供したことで、メディアの注目度や売り上げは上がりましたか?

注目度はかなり上がりましたね。売り上げは、それほど影響があったようには感じませんでした。ドレイクが着てくれた服にはロゴが付いてなかったのでSHOOPを知らない人は、誰も気づいてくれなかった(笑)。でも、着てくれたアイテムは、一番売れたアイテムですね。

あなた達のようなブランドをやっていく上で、日本とスペインで違いは感じますか?

日本は世界トップクラスの消費国で、若者も服にお金を使います。だから、スペインに比べてもショップの数がかなり多くて、売り上げも日本のほうがいいです(スペインの若者の失業率が50%で、平均賃金が1000ユーロだと、ファッションが好きでも、みんなファストファッションですませてしまう。それが現状です)。

日本人は、新しいものやインデペンデントなブランドを見つけるのが好きだと思います。また、服のディティールや仕上げについてもは他の国の子よりこだわりが強いと感じますね。スペインのインデペンデントブランドは、近年の大不況もあり、やっていくのが困難な状況にあります。ただ、友達や知り合いがSHOOPを応援してくれたり、2016秋冬コレクションからはマドリードのEKS(ハイブランドを扱うセレクトショップ)で取り扱いが始まったりしていて、スペインでも順調に成長できていると思います。

注目している新鋭ブランドはありますか?

新鋭ブランドというより、スペインの若手のファッション事情を注目していますね。ようやく、スペインのファッションが世界的にも注目されはじめ、若手デザイナーが盛り上げを見せるようになってきています。

最新コレクションには、ストリートからは遠い存在である日本の伝統衣装、甚平や腹掛けを再解釈したアイテムがありますが、どういった考えで作ったのですか?

僕たちは、これらのアイテムがストリートウェアからかけ離れているものだと考えていません。甚平や腹掛けは、かつてストリートで着られていた作業服や普段着だからです。ストリートウェアのなかには、ワークウェア由来のものもけっこうあると思います。

また僕たちは、SHOOPを100%のストリートブランドだとは考えていないんです。ストリートのエッセンスはありますが、異なる分野の要素をミックスして、再解釈している。そうするのが好きなんです。

スペインの伝統衣装をストリートウェアに取り入れようと思いますか?

はい。いいアドバイスをありがとうございます!

今後の目標や近いうちに達成したい計画などありますか?

もっと世界各国で取り扱ってくれる店舗の数を増やしたいですね。インスタレーションやランウェイを展開することも視野に入れています。それから、好きで尊敬している人たちともっと一緒に働きたいですし、服の品質やディティールを改善していきたいですね。ファッション以外では、アートディレクションや大手ブランドとのプロジェクト、パーティや展覧会、それに音楽レーベルもできたらいいなと考えています。

SHOOPの他にプロジェクトを持っていたら教えてください。

葉平:YYIOY名義で音楽を作ったり、DJをしています。いまは次のEPのコンセプトを考えているところです。また、2016年からはJAZZZというコレクティブをEstá Pasando(広告代理店)をしているJacobo Prieto、Wi-fiji、Followbackの4人で立ち上げて、マドリードで月一のパーティを開催しています。次のイベントには、僕が今一番注目しているロンドン在住のDJ、Manaraを招待しました。

Miriam: いまマドリードで日本語を勉強していて、とても大好きです。数年前からEコマースの仕事もしていて、とても興味深い分野だと思っています。

shoopclothing.com

Credits


Text Mirena Ossorno
Photography Takao Iwasawa
Styling Sullen Tokyo
Hair Fumi at KiKi inc. using John Masters Organics
Make-up CHIFUMI at Signo using Addiction
Vídeo MMEEGG
Music YYIOY
Assistant Akira Kawasaki
Models Nodoka Tsutsui at Friday
Nao Takahashi at SHIMA
Special Thanks Circus Tokyo