Photography Bobrowiec

NY最大の中華料理店で生まれる優美Snow Xue Gao

VFILESで経験を積んだスノー・シュエ・ガオが、チャイナタウンで自身初のランウェイを開催した。

by Emily Manning; translated by Yuichi Asami
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feb 21 2018, 7:24am

Photography Bobrowiec

〈Jing Fong〉はエリザベス通りの閑静な場所にある。周辺を歩いていても、通り過ぎてしまうようなところだ。

しかし、〈Jing Fong〉はニューヨークで最も大きな中華レストランである(CBSによればNYには6,000を超える中華料理店があるという)。2階にある巨大なダイニングホール――おそらくニューヨークで最も巨大なエスカレーターに乗って行くことができる――の中は、まるで宮殿のような内装だ(ウェイターたちは台車を使って点心を運んでくれる)。結婚披露宴や家族団らんにうってつけのこのレストランは、SNOW XUE GAOが示したように、ファッションショーにうってつけな場所でもある。

北京出身のスノー・シュエ・ガオは、パーソンズ美術大学を卒業後、VFILESのデザイナーを務めていたという経歴の持ち主だ。今シーズンのニューヨークコレクションで自身初となるランウェイを開催した彼女は、この会場を実に器用に活かしてみせた。ガオは中国の家庭の食卓を再現するように、巨大なダイニングテーブルに着席したゲストたちにお茶や餃子を振る舞った。彼女のコレクションも中国人コミュニティや〈Jing Fong〉のあるストリートから着想を得たものとなっている。

チャイナタウンの中で星のように散らばった市場に、彼女は中国文化と現代の都会にある小さな物事との衝突を見出している。彼女の服は、〈バクスターストリート経由の北京〉を見事に表している。伝統的なチャイナドレスや30年代の絹パジャマ、上質な綿のスーツに桃色の巾着袋、透き通ったレインブーツ。格子柄とプリーツ加工の組み合わせは、どこか新鮮な雰囲気が漂っていた。

ガオのデザインに見られる宝石のような色彩は、映画監督のウォン・カーウァイに影響を受けたものだという。カーウァイの鮮やかで目の覚めるような色使いは、愛や切望の描写を新たな次元に導いていた(バリー・ジェンキンスが『ムーンライト』に影響を与えた人物としてカーウァイを筆頭に挙げるのも頷ける)。カーウァイと同様、ガオの青の使い方は特に印象的だ。

Thom Browneがパリに舞台を移したいま、ニューヨークファッションウィークで緻密に仕立て上げられたテーラリングのトリックアートを観られるのは実に嬉しい。脱構築はガオの得意分野だ。ブレザーはバタフライスカートへと変貌を遂げ、袖は腰の位置から姿を変える。動きと変容のイリュージョンは〈チャイナタウン〉というより大きな文脈の中で見事に機能していた。コミュニティの喧噪はしばしば、予期せぬエレガンスを産み落とすのだ。

This article originally appeared on i-D US.