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祝・新曲リリース! フランク・オーシャンの隠れた名曲6選

4年間の沈黙を破り、2016年に『Blonde』と『Endless』で衝撃とともに音楽シーンへ復帰したフランク・オーシャンが、引き続き活発な動きを見せている。ヤング・サグをフィーチャーした「Slide On Me」の新バージョンが先日公開、そして「Lens」リリースと、新曲を立て続けに2曲リリースしたフランク。彼の功績を讃え、i-Dは彼の隠れた名曲の数々をここに紹介する。

Ryan White

先日、フランク・オーシャンが自身のラジオ番組「blondedRADIO」で新曲をプレミア公開し、続く月曜にはiTunesでの発売とストリーミング配信を開始した。そしてさらに彼は、アルバム『Endless』に収録されている「Slide on Me」の新バージョンを番組内で公開した。ヤング・サグをフィーチャーした新バージョンだ。ここで聴くことができるので、ぜひチェックしてほしい。

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「Lens」には複数のバージョンが用意されている。そのひとつにはトラヴィス・スコットがフィーチャーされているが、このバージョンは現在、インターネット上で正規の視聴方法がない(YouTubeを探せば見つけることができるのかもしれないが……)。「Lens」でオーシャンは、女性と付き合っている男が、男性とも隠れて関係を持つことで生じる葛藤や問題を歌っている。少なくとも、音楽情報サイト「Genius.com」の参加者たちはそう考えており、またこれがオーシャンの実体験であると推測している。「My girl made him wait 'till the hours of the night/ Then hit you with the "You know it's mid, right?"(彼を待たせたままもう深夜になるというのに、彼女は『夜も深まったわね』と俺を誘う)」という歌詞が見られるが、オーシャンは同様のテーマを、最近リリースした「Chanel」でも歌っている。この「Chanel」がブランドの名前であることは間違いないが、ブランドのあのダブルCロゴがバイセクシュアリティを意味しているのだとも議論されている。

フランク・オーシャンが怒涛のごとく新たな曲をリリースしていることを祝い、i-Dはクリストファー・ブルー(オーシャンの出生名)の音楽探求の旅を振り返り、広く知られていない隠れた名曲の数々をここに紹介したいと思う。これまで長きにわたり音楽を作り続けてきたオーシャン——これらの曲もまた、オーシャン音楽という海(オーシャン)を形成する雨の一粒一粒なのだ。

「Wiseman」
クエンティン・タランティーノ監督の映画『ジャンゴ 繋がれざる者』のサウンドトラックとして書かれた「Wiseman」。この曲でオーシャンは、そのタイトルが示すとおり「知恵(wisdom)」について考え、そして「男性であるということ」「人生」などについても歌っている。フランクらしいテーマだ。最適なシーンがないということで『ジャンゴ』のサウンドトラックに起用されることはなかったが、後の2015年にジェイク・ジレンホール主演の映画『サウスポー』のクライマックス・シーンでその一部が起用されることとなった。

「Hero」with ミック・ジョーンズ、ポール・シムノン、ディプロ
現代のエンターテインメント業界で、異なる領域やジャンルのアーティストを集め、意外な組み合わせのコラボレーションを実現するのは、決まってファッション・ブランドの企画。Converseによる「Three Artists, One Song」企画で、フランク・オーシャン、ザ・クラッシュのミック・ジョーンズとポール・シムノン、そしてプロデューサーのディプロがコラボレーションして作ったのが、この「Hero」だ。「国籍はアメリカ——でもクイーンなしじゃつまらない("クイーン"は、男性同性愛者、とりわけ女性性を打ち出した男性同性愛者を指す。イギリスの女王とかけているものと思われる)」という、オーシャンらしい隠語の世界だ。

「Golden Girl」with タイラー・ザ・クリエイター
CD版のアルバム『Channel Orange』に、ボーナス・トラックとして収められていた「Golden Girl」。その爽やかな音世界とは対照的に、この曲がアップされているYouTubeページのコメント欄には、オーシャンが沈黙状態にあった2012年後半から2016年中盤までの間に"オーシャン飢餓"に陥ったファンたちが悲痛な叫びを書き込んでいる。「フランク! もう4年になるぞ! 起きろ!」と、ファンのひとり、@Skamuxが攻撃的な言葉選びで書き込んでいる一方、「もう2015年なのに、新曲をリリースしないから、まだこの曲を聴き続けている(涙)」と悲痛な書き込みをするものもあった——その1年後に、フランクは圧巻の音楽で世界を席巻することになる。悲痛な書き込みをした@Jojo5464もさぞ狂喜したことだろう。

「Odd Future」with タイラー・ザ・クリエイター&シド・ザ・キッド
美しいのひとことに尽きる。コメントすることすら恐れ多いほどの美しさだ。

「I Miss You」
ビヨンセの4作目アルバム『4』に収録された「I Miss You」。オーシャン、ビヨンセ、そしてシア・テイラーの共作であるこの曲を、オーシャンは自身初のツアー3日目でカバーしている。オーシャンがカバー曲を披露するのは極めて稀。フランクがピアノに向かい、美しいメロディに繊細な言葉を紡ぎ出す——そして頭には、今やもう見ることのないヘッドバンドが——この2012年の映像を見て、誰もがきっと何かに心動かされる。

「Comme des Garcons」
オーシャンの"にわかファン"は、おそらく『Blonde』の陰に隠れてそれほど注目されなかったヴィジュアル・アルバム『Endless』を聴きこむこともなかっただろう。オーシャンは、4年間の沈黙を破って『Endless』を突如リリースし、その直後に、音楽ファンのみならず業界全体にも衝撃を与えた『Blonde』をリリースした。ヴィジョンやインパクト、完成度の高さでは『Blonde』に劣るものの、『Endless』は、もっと高く評価されるべき美しい叙情の世界だ。どのアルバムでも卓越した間奏曲のセンスを見せるオーシャン——短くも甘く、そして淫靡な曲「Comme des Garcons」は、『Endless』デジタル版では11:48部分で始まる。もしくはここで聴いてみて。

Credits


Text Ryan White
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.