SPEAK YOUR LOVE: 僕らは愛を語らない ── seiho w/ Sincere Tanyaの場合 ──

真逆だからこそ生まれるバランス感覚。「seiho w/ Sincere Tanya」のクリエイティブな変化。

by Saki yamada; photos by Yoko Kusano
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okt 25 2018, 12:15pm

人は他者との関わり合いの中で自分自身を理解してきた。「この点はどうしても譲れないんだ」「自分にもこんな一面があったんだ」「こういう物の見方をするんだ」と、そうやって見えてくる自分の姿に驚かされ、漠然と宙に浮かぶアイデアが自信へと変わり、今日も前を向いて道なき道を歩んでいる。こうして確固たる信念を築き上げてきた人たちは、彼らなりのこだわりを持つ「Lifegenic」な生き方で人々を魅了してきた。そしてi-D JAPANが注目するのは、音楽への愛という共通項を軸に他者との関わり合いの中で日々成長し、これからの未来を切り開いていく前途洋々なミュージシャンたち。日本を代表するプロデューサーとして実績を積み上げるSeihoと彼が自身のステージに招き、その度に抜群の歌唱力で人を惹きつけるSincere Tanya。様々な想いが混じり合った形容しがたい関係の2人だからこそ、彼らの音楽には旨みがあり、私たちは追いかけてしまう。

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友人であり、家族であり、同僚であり、味方であり、敵である。

秋時雨の中、都内にある和風スタジオに2人が集まった。3年前の夏、奈良県の月ヶ瀬村にある廃旅館で5日間に渡る制作合宿をキッカケにスタートした「seiho w/ Sincere Tanya」。そこでは楽曲制作の行く手を阻む事件があり、共に手を取り合った思い出があり、関西の隅っこで繰り広げられる夏の小さなアドベンチャーファンタジーを聞いているような感覚だった。10歳年の離れた2人は兄妹のような関係と言われることが多いが、2人をその言葉の内に収めておくことは難しい。チャレンジ精神旺盛で、音楽だけでなくテクノロジーや人体表現のシーンにも意欲的に介入するSeihoと、私生活においてナチュラル思考を重んじるSincereの考え方は鏡のように真逆だ。そして2人の頑固さ故に、ディベートが片方の賛同という形で終着することはレアケース。それでも仲違いしないのは、お互いが相手を尊重しながらも自分を大切にしたいという強い意志の持ち主だから。音楽の大先輩を目の前にして少し遠慮しがちなSincereが、Seihoが少し席を外した際にこっそりと話してくれた。

「2人の関係は…敵国の兵士。どちらの国も自国の平和を目指していて、争いが起きればそれは国同士の問題。だから兵士一人ひとりは関係ないんですけど、状況によっては戦うこともあるし、何も起こらなければ友情も芽生える。実際に戦っているわけではないんですけど(笑)」── Sincere Tanya

共同作業をしながらも、その関係性を“ソルジャー”と例えるSincereの考え方は私たちの予想を覆してきたが、その闘争心や衝動こそが高みを目指す表現者にとっては重要なキーであり、彼女が内に秘めた歌への情熱が燃えたぎっているのを見た気がする。Seihoが彼女に強く魅かれるのはボーカリストとして可能性を感じるだけでなく、自分とは正反対の未知なる存在であるからだろう。

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「LOVE」を奏でる(私たちの)音楽

「歌が上手い人って小さいキャパのところでは1万人に向けて歌えて、大きいステージでは1人とか十数人のために歌えるんですよ。いずれにせよ、そのためには僕が引っ張るんじゃなくて、彼女が立って歌っていかなきゃいけない。それを見れたのが、椅子に座ってこじんまりとライブしたリキッドルームです」。

Seihoの言葉からは、Sincereの魅力をどう活かしていけるのか、そういう実験性に溢れた悩みが感じられる。Sincereにとって、これまで聴いてこなかったジャンルのトラックに自分の歌を合わせるという試みは表現方法の模索となり、自分で音楽を作りたいという新たな目標にも繋がっている。何よりSeihoのエネルギッシュでクレイジーなパフォーマンスを間近で見てきたことで、彼女は自分も我を忘れて何かに没頭したいと思うようになった。そしてこの活動によって未来が広がっているのは彼も同じだ。

「この音はいらないな、ここはもうちょっと削れるなとかトラックを作っているとき、シンシアの声をベースにして引き算することが多かった。パッとインスタントに録ってしまうこともできるんですけど、もっとシンシアの声を活かせる僕の中の引き出しがあるんじゃないかって、ずっとトラックを作り直しているのがこの2年間。僕が持っているギミックを駆使するんじゃなくて、もっとダイナミックなアイデアを搾り出そうとすることで自分の楽曲に対するフィードバックも大きい。だからこそ2人で録った6曲はもっと大事に、もっとシンプルなところまで持って行きたいって気持ちが強くなった。2人の音楽を仕上げるには、僕の中での時間が必要なんです」── Seiho

メロディーの不在をコンセプトにしたアルバム「Collapse(=崩壊)」を発売以降、Seihoは三浦大知や矢野顕子など名だたるシンガーとのコラボレーションを通してメロディーの重要さを改めて実感している。もともとジャズやメローなエレクトロニカに基盤を置く彼にとってメロディーこそが音楽の基礎という認識はあったが、Sincereと手探りに歌メロを作ったあの合宿は、忘れていたものを取り戻すためのファーストステップでもあった。

決して言葉では語られることのなかった2人の間に芽生える絆が、あなたには見えただろうか。

探そう。自分らしく生きる手がかりを。 Cue for Lifegenic

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LINK BNR
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Credit


Photography Yoko Kusano.
Styling Koji Oyamada.
Text Saki Yamada.
Hair and make-up Miwa Hirose.
Styling assistance Akane Nishimura.

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