韓国のLGBTQ+コミュニティに光を当てる、ブランドAJOBYAJOとクィア・コレクティブNeon Milk

LGBTQ+コミュニティに対していまだに不寛容な韓国。そこに新風を吹き込むべく、ファッションブランド〈AJOBYAJO〉とLGBTQ+コレクティブ〈Neon Milk〉が異色のコラボを行なった。デザイナーのキム・アジョに話をきいた。

by Elaine YJ Lee; translated by Nozomi Otaki
|
25 June 2020, 6:59am

K-POPや新型コロナ対策の成功によって、世界中で脚光を浴びる韓国。その革新的な文化やテクノロジーが高く評価されるいっぽうで、同国にはいまだに大きな課題が存在する。それがLGBTQ+コミュニティを取り巻く状況だ。

2017年のOECD(経済協力開発機構)による世界のLGBTQ+のインクルーシビティに関する調査で、韓国はワースト3にランクインした。それから数年たった今も、LGBTQ+の権利や表象は制限されたままだ。韓国のクィアコミュニティは、いまだに不平等な政治体制(同性婚は法律で認められていない)や保守的な社会規範に苦しめられている。つまり、韓国でLGBTQ+であることをオープンにして生活するのは難しい。

そんな現状に挑み、コラボレーションを通して変化を起こそうとしているのが、ファッションブランドのAJOBYAJOとLGBTQ+やドラァグカルチャーを発信するNeon Milkだ。彼らはスケールは小さくとも大きなメッセージを発信するべく、コラボレーションを実現した。

AJOBYAJOは韓国でオープンにLGBTQ+アイデンティティを後押しする、数少ないファッションブランドのひとつだ。

「私たちはより多くのオーディエンスにLGBTQ+カルチャーを紹介したいんです。消費者に知識を与えるというのは高望みしすぎかもしれませんが、みんながこのカルチャーを共有できるということは示せるはずです」と2016年にこのブランドを立ち上げたキム・アジョは語る。

「Neon Milkは国内でチームとして活動する唯一のドラァグパフォーマー集団なので、彼らとのコラボを決めました」

ドラァグショー・プロダクションのNeon Milkは、4人の主要メンバーから成る。バンビ(Bambi)、ナナ・ヤンロン・キム(Nana YoungRong Kim)、クシーア・ディアマント(Kuciia Diamant)、ヴィータ・ミクジュ(Vita Mikju)というクイーンたちだ。

「ドラァグカルチャーは韓国では比較的新しい文化なので、知っているひとは多くありません」とAJOBYAJOの設立の翌年にNeon Milkを立ち上げたバンビはいう。

「国内でドラァグを観たり体験したりできるのは、夜のゲイクラブだけ。そのほとんどが成人男性向けです。私たちはもっと活動の場を広げていきたいと思っています。チームとして活動するメリットは、ドラァグの多様なスタイルを見せられることです。もっと多くのひとがただ観るだけでなく実際に参加し、学べるような方法でドラァグを共有していきたい」

AJOBYAJOとNeon Milkのコラボレーションは、韓国のLGBTQ+コミュニティの認知度を高め、ポジティブな表象を増やしたいという彼らの挑戦の延長線上にある。今回のコラボでは2種類のTシャツを販売。収益はAjo StudioとNeon Milkで共有されるが、Neon Milkはソウルの次回のプライドパレードに売り上げを寄付することを決定した。

ドラァグショーの制作や開催だけでなく、Neon Milkは展覧会、ヴォーギングやポールダンスのレッスン、雑誌なども手がけている。またYouTubeチャンネルでは、クイーンたちの日常生活からメイクのチュートリアル、ラブストーリーのVlogまで、ネットでコミュニティについて知ろうとするすべてのオーディエンスにメッセージを発信している。

AJOBYAJOのファッションブランドとしての使命は、単にLGBTQ+の権利向上を目指すだけでなく、インクルーシビティを重視し、社会全体の〈アウトサイダー〉たちをひとつにすることだ。例えば最新のルックブックには、障がいのある女性たちによる劇団〈Dancing Waist〉のメンバーを起用した。

「私は個人的に、自分だけのキャラクター、ストーリー、スタイルを持つ人びとを応援しています」とキムは語る。「だからこそ、多くのクリエイターが自分なりの活動をしているアートや他のサブカルチャーに自然と惹かれるんだと思います」

キムは他にも、さまざまなバックグラウンドを有するユニークな人びとをAJOBYAJOのモデルとして起用しており、それは伝統的な美しさを持つファッションモデルではなく、アマチュアからタトゥーアーティスト、映像作家、ミュージシャン、デザイナーまで多岐にわたる。

これは韓国では非常に珍しい取り組みだ。アイデンティティに葛藤を抱えるクリエイティブな若者が多いグループを通して多様性を尊重することで、AJOBYAJOは国内の多くのマイノリティを支えるコミュニティを築いてきた。

「2、3年前なら、韓国社会はクィアの受容に関してはかなり閉鎖的だ、と言っていたでしょう」とNeon Milkのバンビは明言する。「私は韓国の同性愛者全員を代弁できるわけではないので、間違っているかもしれません……。ですが、最近は誰もがもっとオープンで受容的になってきているように感じます」

This article originally appeared on i-D UK.

Tagged:
Culture
South Korea
LGBTQ
i-D Asia