上海ユース9人が語る、ロックダウン明けの生活

新型コロナウイルス感染予防のための外出規制が緩和された上海。人びとは仕事に戻り、店やクラブの営業も再開したが、生活は大きく変わった。

by Amber Akilla; translated by Nozomi Otaki
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18 June 2020, 9:30am

数ヶ月前、中国はCOVID-19によるロックダウンのまっただ中にあった。今年2月、i-Dが中国在住のクリエイターたちに1回目のインタビューを行なった当時は、ウイルス感染拡大を防止するためにロックダウンを実施している国はほとんどなかった。しかし、中国とイタリアで示された生活を、その後多くの国の人びとが送ることになる。

現在、1日の新規感染者の数がほぼ二桁台にとどまっている中国では、地域によって差はあるが、外出規制も緩和されつつある。家にこもる生活が終わったことを喜ぶ声も多いが、いまだに世界中で猛威を振るうパンデミックを生きていくには、向き合うべき難題は多い。

国内でも特に人口が多く多様性に満ちた街、上海では、人びとは少しずつ日常を取り戻しつつある。友人を訪ねたり仕事に復帰できるようになり、ナイトクラブも営業を再開している。廃業を余儀なくされた店も、なんとか危機を乗り越えてこの状況に適応してきた店もあるが、第二波への警戒や不安はなくなったわけではない。

今回i-Dは上海に住む若者たちと連絡を取り、規制緩和について、そしてロックダウン後の生活をどう過ごしているのか話を聞いた。

「正直、規制が緩和されて最初にしたことは覚えてない。でもロックダウン前より外出する機会が増えて、もっと社交的になった。ここ最近は天気も良いから、公園に出かけたり友達と集まりたくなる。〈リベンジパーティー〉なんていうイベントもたくさんある。4日連続で夜出かけるなんて昔は考えられなかったけど、今はみんなが失った時間の埋め合わせをしてるような感じ。ロックダウン中に絵を描くことへの情熱が戻ってきたから、それも習慣のひとつになった。他の国でロックダウンが始まるにつれて中国に発注される案件が増えたので、写真や映像制作の仕事が増えてる。マスクの着用やあらゆる場所での検温は、新たな日常になった」──クリエイティブコンサルタント Chingi

「ロックダウン後の生活は最高だった。ありがたいことに、家族も大切なひともみんな元気で安全な場所にいられたから。友達と料理をすることも趣味のひとつになった。ダンス、陶芸、ジュエリー制作のクラスも再開したから、また通い始めた。易経について調べたことが自宅待機中の不安を和らげてくれたから、易経のクラスも申し込んだ。4月には、写真プロダクションで編集や広告の仕事を始められた。いろいろ大変なこともあるけれど、こんなに早く職場に戻れて自分はラッキーだと思う。この先のいちばん重要な予定は、ネコを引き取ること。名前はティモシー・シャラメにちなんでティモにするつもり」──プロデューサー/モデル ニン(Ning)

「1ヶ月間仕事がゼロだったけど、ようやく現場に戻ることができた。マスクをつけることが朝のルーティンに加わったけれど、フルメイクをする必要がないので今までよりずっと早く準備できるようになった。中国のメイクアップアーティストはタレントやクライアントと仕事をするときは大体マスクをしてるので、前からマスクには慣れてるんだけどね。ポータブルの除菌用UVライトも持ち歩くようにしてる。必要ないかもしれないけど、現場で安心できるように。仕事のスケジュールは正直、去年よりも忙しい。撮影だけじゃなく、オンラインコースやTaobaoのライブストリーミングでメイクを実演してほしいと頼まれて。新たにライブ配信のプロジェクトを企画するブランドも増えていて、メイクや美容業界の変化を実感してる。これまでやってきた案件とはまったく違うけど、新たな体験やプラットフォームを楽しみながら、いろんなアイデアやメイクを試してる。そのおかげで、今まで以上に多くのオーディエンスから直接フィードバックをもらう機会も増えた。日々の仕事や生活にだんだん慣れてきて、毎日が楽しい。メイク業界で新たなプラットフォームが成長し、そこに携わるのも楽しみにしてる」──メイクアップアーティスト ジャネット・ジョウ(Janet Zhou)

「約2ヶ月のロックダウンが終わってから、毎日のようにスタジオやパーティーに顔を出し、鍋もたくさん食べてる。すごく疲れるから、自宅待機が恋しいくらい。『もう金曜日?! どんな言い訳をすればクラブに行かなくてすむかな…』って。外出するにはマスクが必須なのに、クラブの中ではしなくていいなんてちょっと変だと思う。ライブ配信じゃなく直接オーディエンスとつながれるように、早くもっと多額の予算をかけたイベントができるようになってほしい」──DJ/音楽プロデューサー Tsunano

「3月初めに上海に戻ってから、まずは犬と再会して散歩に連れていき、スケートにもいっしょに行った。中国は他の国よりも早くロックダウンを緩和したから、僕たちはいち早くパンデミック後の世界で働くという試練に向き合い、ファッションの仕事の新たなありかたを考えなければいけなかった。幸い僕たちは素早く対応できたから、3月からずっとものすごく忙しくしてる。上海ファッションウィークが予定されていた期間に行なう、ブランドのオンラインでのプレゼンやライブ配信を準備したり。4月にはXCOMMONS主催のヴァーチャルファッションショー〈Parallel Reality〉の仕事をした。ショーにはXUZHI、ロデリック・ワォン、アンドレア・ジャペイ・リーが参加して、世界から大きな注目を集めた。みんながこんなに早く新たな日常に適応していることにワクワクしてるし、ヨーロッパと米国の友人や同僚からも、僕たちの活動は西欧諸国のこれからの生活の参考や刺激になってる、とよくいわれる。ヨーロッパのファッションウィークが中止されて僕たちの計画の多くが影響を受けたけれど、まったく新しいブランドの見せ方を探っていきたい」──BOH Projectファウンダー ボーハン・チウ(Bohan Qiu)

「規制が緩和されてすぐ、週末に友人といっしょに街を抜け出して田舎に出かけた。日常生活には前よりも少し不安なことが増えて、上海は世界で最も慌ただしい都市のひとつだったことを考えると、仕事も生活も前よりゆっくりになった。でも、撮影や執筆の仕事は続けてる。読書や料理にも時間を割くようになった。ロックダウンの前は、特に仕事があるときはデリバリーを頼むことが多かったけれど、この期間中に料理をする機会が増えたから、これからも続けていきたい。それから、できるだけ最新の情報をチェックするようにしてる。この期間にたくさんブレインストーミングをしたから、今はだいぶ頭がスッキリしてる。もちろん、パンデミックや世界経済のことはまだ心配。つらい時期だとは思うけど、生活は続けていかないと」──プロデューサー/Same Paper共同ファウンダー Wei

「規制が緩和されたあと、ロックダウンをいっしょに過ごしたグループで友人のバーを占領して、店を閉じてレイヴパーティーをした。僕たちのテクノのプレイリストを流して、ずっと家にこもっていたストレスを発散させたんだ。ベロベロに酔っ払って、シャツを脱いで、ひとけのない道路に寝っ転がった。この幸せはきっと一生忘れない。みんながひとつになった瞬間だった。日常生活に関しては、料理のレパートリーも増えて腕も上がった。今ではみんなマスクを外さなきゃいけないときは遠慮がちで慎重になったし、お互いから距離をとることにも慣れた気がする。規制が緩和されてからずっと働きづめだけど、これこそが僕が望んでいたこと。上海はまだ油断できない状況だ。これは中国だけじゃなくて、世界的な問題だから。みんなにはこれからも油断せずにいてほしいし、僕自身も安全に旅行に出かけたり海外での仕事ができるようになるまでは安心できないと思う」──フォトグラファー/スタイリスト Enkako

「感染拡大が始まったとき、すごく落ち込んで何もやる気が起こらなかった。今は仕事を再開して、創作にも積極的に取り組みながら、少しずつ元気を取り戻してる。自宅待機期間が終わったあと、外出して花を撮ったり、花といっしょにセルフィを撮ったりした。コロナの前よりも、ずっと自然を身近に感じるようになった。外で過ごす時間がすごく減っていたから。それから料理をすることも増えて、必死に手を洗うようになった(1ヶ月半でハンドソープを2本使い切ってしまったくらい)。冬にまた感染が拡大するかもしれないという話を聞くと不安になり、現実にならないでほしいと願ってる。でも今のところは仕事を再開できてだいぶ気持ちが楽になった。私は、精神的な余裕がないと創作に向き合えないタイプだから」──フォトグラファー ゾンジア・サン(Zhongjia Sun)

「ようやく店舗を再開できるようになり、マスクをつけたり、身の回りのものを全部消毒する生活にも慣れてきた。最近はすごく忙しくて、ファッションの小売業界はパンク状態。最初は家にこもっていた人たちが反動で思い切りお金を使う〈リベンジ買い〉が多かった。どのブランドもショップも、お客さんが家でも買い物ができるよう、あらゆるプラットフォームでライブ配信を行なって、商品のディテールを見せていた。パンデミックは、中国のファッション業界におけるオンラインショッピングの体験を根本から変えた」──Canal St Shanghaiファウンダー イーリン・ホン(Yiling Hong)

This article originally appeared on i-D UK.

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