「スポーツの未来が危機に晒されている」ナイキ 2020 フォーラムについて知っておくべき5つのこと

ケンドリック・ラマーやヴァージル・アブローが集結したファッションショーから、気候変動とスポーツの由々しき関係まで。NYで四年毎に開催される「ナイキ 2020 フォーラム」で発表された注目点をくまなく紹介。

by Sogo Hiraiwa
|
12 February 2020, 8:08am

「スポーツの未来が危機にさらされています」そう話すのはナイキのCEO、ジョン・ドナホー。「東京において、ナイキは画期的な技術により世界最高のアスリートたちが、新しいレベルのパフォーマンスを発揮するためのサポートをする一方、急激な変化を見せる気象状況のなかで、すべてのアスリートたちが直面する問題の解決案も紹介します」

2020年2月5日、ニューヨークで「ナイキ 2020 フォーラム」が開催された。四年に一度行なわれるこのイベントは、世界最大のスポーツウェアブランドであるナイキの長期方針や最新プロダクトが発表される場とあって注目度が高く、各国からメディアやスポーツ関係者らが集結する。

ナイキ 2020 フォーラム, 気候変動, 気候危機, グレタ・トゥーンベリ, ジョン・ドナホー, スポーツの未来, トラヴィス・スコット, ケンドリック・ラマー, ヴァージル・アブロー,ドレイク, YOON, スペースヒッピー, アメリカ ユニフォーム, 表彰台, オリンピック, 五輪, サステナブル, ヴェイパーマックス, ヴェイパーフライ, アルファフライ,

冒頭の言葉は、そうしたなかで語られたものだった。スウェーデンに暮らす16歳のアクティビスト、グレタ・トゥーンベリの活動によって広く知られるようになった「気候変動/気候危機」。日本では近年急増している異常気象として肌身に感じることが多くなってきているが、ジョン・ドナホーによれば、気候変動はアスリートにとっても切迫した問題というのだ。どういうことか?

ナイキ 2020 フォーラムで発表されたイノベーションやプロダクトのなかから、特に注目すべき5つのトピックを紹介する。

ナイキ 2020 フォーラム, 気候変動, 気候危機, グレタ・トゥーンベリ, ジョン・ドナホー, スポーツの未来, トラヴィス・スコット, ケンドリック・ラマー, ヴァージル・アブロー,ドレイク, YOON, スペースヒッピー, アメリカ ユニフォーム, 表彰台, オリンピック, 五輪, サステナブル, ヴェイパーマックス, ヴェイパーフライ, アルファフライ,

1.音楽界とスポーツ界のレジェンドが集結したショー

「登壇者のスピーチが始まる」会場にいる誰もがそう思っていたはずだ。ところが思わぬサプライズがあった。フロントローにはトラヴィス・スコット、ケンドリック・ラマー、ヴァージル・アブロー、ドレイク、YOONなどNikeと関わりの強い面々がずらりと並ぶなか、リズミカルな音楽と共にナイキのファッションショーがスタートした。ナイキの最新コレクションやオリンピック・ユニフォームを纏ったモデルたちが歩いていく。普通ならここで終わるところだが、カール・ルイスやジョーン・ベノイト・サミュエルソンといったスポーツ界のレジェンドがランウェイを闊歩すると、西村碧莉やレティシア・ブフォーニなど未来のメダリストたちがそれに続き、パラリンピック選手やストリートダンサーが加わり、総勢150人以上が特設の円形ステージを歩いた。全員が集結し、ギリシャ神話の神々のように仁王立ちしたフィナーレは圧巻だった。

ナイキ 2020 フォーラム, 気候変動, 気候危機, グレタ・トゥーンベリ, ジョン・ドナホー, スポーツの未来, トラヴィス・スコット, ケンドリック・ラマー, ヴァージル・アブロー,ドレイク, YOON, スペースヒッピー, アメリカ ユニフォーム, 表彰台, オリンピック, 五輪, サステナブル, ヴェイパーマックス, ヴェイパーフライ, アルファフライ,

2.スポーツと気候変動の関係

ナイキは昨年、温暖化の原因とされる炭素の排出ゼロ・排気量排出ゼロを目指す「Move to Zero」をスタートさせた。これは「地球を守ることはスポーツの未来を守ることにもつながる」という信念に基づいているが、決してにわか仕込みの施策ではない。毎年発表している調書の2001年版で、ナイキはすでに「地球温暖化」をキーワードとして挙げており、以降テクノロジーを用いた最新素材やサステナブルな商品の開発など、様々なアプローチを継続的に行なってきた。同社のCEOジョン・ドホナーは「スポーツの未来が危機にさらされています」と話すが、これは絵に描いた餅なんかではなく、世界中で32.2度を越えた日数は1980年代から実際に25%近く増えており、アスリートの練習環境にも少なからず影響を及ぼしている。1992年からプロスケーターとして活躍するエリック・コストンは「地元のLAに帰るときはいつも街でスケートするのが楽しみでしょうがないのに、このあいだ帰郷したときは暑すぎてすべる気にならなかった」と話した。ウィンタースポーツにより直接的な影響が出ることは火を見るより明らかだ。アスリートが直面しているこうした事態に対してナイキはイノベーションによって解決案を提示する。ナイキにとっての「アスリート」が「体を持ったすべての人」だったことを思えば、その恩恵を受けるのは一部の人々だけではないと知れるはずだ。

ナイキ 2020 フォーラム, 気候変動, 気候危機, グレタ・トゥーンベリ, ジョン・ドナホー, スポーツの未来, トラヴィス・スコット, ケンドリック・ラマー, ヴァージル・アブロー,ドレイク, YOON, スペースヒッピー, アメリカ ユニフォーム, 表彰台, オリンピック, 五輪, サステナブル, ヴェイパーマックス, ヴェイパーフライ, アルファフライ,

3.アヴァンギャルドで持続可能な「スペース ヒッピー」

「リサイクルはつまらないものではない」と、これほど雄弁に語るプロダクトもそうない。スペース ヒッピーは工場の床に廃棄されるスクラップを蘇らせ、循環性を重視したデザインを実現させた、実験的なフットウェア・コレクション。素材選択、生産方法から包装材などの要素すべてが環境に与える負荷を考慮し厳選されている。「スペース ヒッピーのアッパーを作るエンジニアード ニットは「宇宙ゴミの糸」と呼んでいるものから作られます」とデザイナーのノア・マーフィー=ラインヘルツは話す。「これらの糸は、リサイクルされたプラスティックのボトル、Tシャツや糸くずを含む、100%再生素材を使用しています」 。彼はかつて、環境問題に関心のある若いアクティビストに「プロダクトは自分たちでは作れないから、企業が作るものに頼るしかない」と言われたことがあるというが、確かにそうかもしれない。ナイキとデザイナーが問題解決の権利と責任を持っていることを優雅に語るスペース ヒッピーは、ナイキ史上最低の炭素排出スコアでの生産を実現した。アヴァンギャルドかつ持続可能なこのフットフェアは、歴史に残るコレクションになるだろう。

ナイキ 2020 フォーラム, 気候変動, 気候危機, グレタ・トゥーンベリ, ジョン・ドナホー, スポーツの未来, トラヴィス・スコット, ケンドリック・ラマー, ヴァージル・アブロー,ドレイク, YOON, スペースヒッピー, アメリカ ユニフォーム, 表彰台, オリンピック, 五輪, サステナブル, ヴェイパーマックス, ヴェイパーフライ, アルファフライ,

4.表彰台でサステナビリティを伝えるユニフォーム

今年開催されるスポーツの祭典は、史上最も“暑い”大会になると言われている。そんなスポーツの祭典に合わせてナイキが発表したのが「チーム USA メダルスタンド コレクション」だ。再生素材をインスピレーションに、デザイナーたちは素材に100%再生ポリエステルと100%再生ナイロンを採用し、史上最もサステナブルなナショナル・ユニフォームを作り上げた。ジャケットは日本の着物を参考にした、廃棄物を最小限にするパネル構造でデザインされているほか、代表チームのロゴとナイキのスウッシュには同社開発の再生素材ナイキ グラインド ラバーが使われている。世界が注目するオリンピックの表彰台で、この細部の細部までサステナビリティが宿ったユニフォームが並ぶ意義の大きさは計り知れない。また、メダリストの足元を飾る「ナイキ エア ヴェイパーマックス 2020」は、遠くから廃棄物の山を見たところをインスピレーションにデザインされており、全体の75%にリサイクル素材が使われている。

ナイキ 2020 フォーラム, 気候変動, 気候危機, グレタ・トゥーンベリ, ジョン・ドナホー, スポーツの未来, トラヴィス・スコット, ケンドリック・ラマー, ヴァージル・アブロー,ドレイク, YOON, スペースヒッピー, アメリカ ユニフォーム, 表彰台, オリンピック, 五輪, サステナブル, ヴェイパーマックス, ヴェイパーフライ, アルファフライ,

5.ナイキ史上最速「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」

今年の駅伝でほとんど8割以上のランナーが蛍光ピンクと蛍光グリーンなどの「ナイキ ズームエックス ヴェイパーフライ ネクスト%」を履いていたのを覚えているだろうか。「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」はその進化系にあたる。男子マラソンの金メダリスト、エリウド・キプチョゲ選手が昨年10月にウィーンで開催されたフルマラソンにおいて、非公式ながら人類史上初の2時間切りを達成した際に履いていたのが、アルファフライ ネクスト%の試作品だった。「キプチョゲが達成したように、このような障壁が壊されると、私たちの可能性に対する思い込みが打ち破られるのです。障壁はイノベ ーターにも刺激を与えます」とナイキ フットウェア イノベーション担当VPのトニー・ビグネルは話す。テクノロジーと人間の英知が結集したこのフットウェアは、人類の可能性を示す一足なのだ。なお、オリンピックで使用禁止との憶測も飛び交っていたが、「ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%」の靴底の厚さは40mm以下で(メンズの26.5cm測定時)、世界陸連の基準を満たしている。このシューズがオリンピックを席巻することは間違いないだろう。

ナイキ 2020 フォーラム, 気候変動, 気候危機, グレタ・トゥーンベリ, ジョン・ドナホー, スポーツの未来, トラヴィス・スコット, ケンドリック・ラマー, ヴァージル・アブロー,ドレイク, YOON, スペースヒッピー, アメリカ ユニフォーム, 表彰台, オリンピック, 五輪, サステナブル, ヴェイパーマックス, ヴェイパーフライ, アルファフライ,
Tagged:
Kendrick Lamar
Drake
climate change
nike
Travis Scott
Virgil Abloh
Yoon
climate crisis
2020 olympics
AORI NISHIMURA
move to zero
Space Hippie
nike air zoom alphafly next%