NY在住のクリエイターが語る、アジア系コミュニティの美しさと不屈の精神

米国で暮らすアジア系の人びとに、ニューヨークという街、これまでの葛藤や苦労、コミュニティの未来について話を聞いた。

by Eda Yu; translated by Nozomi Otaki
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02 June 2021, 4:04am

この記事は米国の多様なコミュニティ、シーン、サブカルチャーを讃えるシリーズ〈United States of i-D〉に掲載されたものです。

週末のニューヨークのチャイナタウンは、モット・ストリートも、ペル・ストリートも、ドイヤーズ・ストリートも、常に活気に満ちあふれている。ブーンという音とベルで優しく歩行者に合図する自転車。日曜限定の点心に1ブロックもの列をなす人びと。年季の入った、褪せた黄色、ピンク、赤の建物が、心地よい、昔ながらの親しみをもって訪れる人びとを出迎える。

World Population Reviewによれば、2021年現在、ニューヨークに住むアジア系米国人は118万6606人で、アジア圏をのぞいて世界最大の中国系人口を擁している。19世紀半ば、第一波の中国人労働者が米国に渡るが、1877年の華人排斥運動をうけ、その多くがサンフランシスコからニューヨークへ移住、現在のチャイナタウンを築く。反アジア感情の高まりにもかかわらず、多くの中国、日本、南アジア移民は19世紀後半にかけて着実に増え続け、その結果、1917年移民法により、アジア人の入国が全面的に禁止される。

当時のアジア系米国人は、アジア系であるというだけで太平洋の向こう側の家族と再会できず、土地を所有することすら叶わないなかで、辛抱強く戦い続けた。そのいっぽうで、チャイナタウンのような民族居留地は規模を拡大し、観光地として白人を呼び込むと同時に、人種差別主義者の攻撃の標的となった。

 その後、公民権運動における歴史的瞬間となった1965年移民法によって、アジアから米国への移住が再開。結果として南・東南アジア移民が急増し、今日の多様なアジア系米国人コミュニティが形成された。

Lulu Gioiello sitting in a chair holding her arms out in front of her
Lulu Yao Gioiello is a creative director and founder of FAR–NEAR, a cross-cultural book series aimed at broadening perspectives of Asia. She likes bringing together like-minded creative people. Lulu wears dress Angel Chen, shoes Jimmy Choo, gloves Fengyi Tan and earrings Yvmin x Xuzhi via Chop Suey Club.

アジア系米国人の体験やアイデンティティが多様化するなかで、ひとつの文化空間によってコミュニティ全体を定義づけることは不可能だ。しかし同時に、ニューヨークのチャイナタウンのような場所は、言葉にしがたい一種の神聖さを感じさせる。

そこには、幾度火を放たれ、襲撃され、破壊されても、何世紀にもわたって結託してきたコミュニティの不屈の精神が宿っている。それは他でもない人種を理由に殺されるかもしれないという恐怖のなかで暮らしてきた民族の、愛と喜びによる徹底的な抵抗と共鳴する。このような場所は、私たち民族の奥深い、先祖代々受け継がれてきた根気強さ、誰にも譲れない精神を体現しているのだ。

そして今、反アジア感情が空前の高まりを見せるなか(2020年3月以降、3800件を超えるアジア系への暴力事件が報告されている)、チャイナタウンをはじめ、アジア系米国人が生活する場所を守ることの大切さを痛感せずにはいられない。この国でアジア系コミュニティを支援するすべての人びとを後押しするとともに、このコミュニティの強さと優しさに焦点を当てることで、彼ら彼女らにエールを送りたい。

ニューヨークで暮らすアジア系米国人クリエイターに、自らの体験を通して、このコミュニティの何にも囚われない、無限の美しさを改めて定義してもらった。

Gabby Widjaja holding the lapel of her jacket with her hand
Gabrielle Widjaja is a designer, illustrator and tattoo artist. She picked up a crayon at age two and drew a “crappy family portrait” that her parents called artistic genius. Gabrielle wears top DANZ NY, jacket and pants Kenzo, shoes Kwaidan Editions, chain and ring Yvmin x Xuzhi via Chop Suey Club.

──ニューヨークで暮らすことで、創作活動にどんな影響がありましたか?

 レオ・グエン(Leo Nguyen):ニューヨークは自分にとってのすべて。正直、どうやって恩返ししたらいいかわからないくらい。もちろん、不愉快な思いをしたり、息が詰まるような瞬間もあるけど、前向きになれる場所。ここにいるだけで、子どもの頃に小さな田舎町で強制的に詰め込まれた、数え切れないほどの有害なたわ言を忘れられた。世界一親切でクリエイティブな人たちに会えて、今も彼らに夢中。ここで学んだものを全部自分のものにして、さらに学び続けて、それを次世代のニューヨーカーに伝えていきたい。

 ミシェル・ザウナー(Michelle Zauner):この街のおかげで活気に満ちた、クリエイティブな人脈をつくることができた。ここで出会ったすべてのコラボレーターや、作品を通じて私をここまで押し上げてくれたことに、心から感謝してる。

 
Danny bowien standing on top of a crate in a leather apron
Danny Bowien is a chef and founder of Mission Chinese. He began his culinary career after deciding not to be an optometrist at age 19. Danny wears top, pants and apron Peter Do, and shoes Jimmy Choo.

チェラ・マン(Chella Man):ペンシルベニアの小さな町からここに来たとき、数百年先の未来に来たような気分だった。クィアの人びとが、クィアのスローガンを堂々と身につけて、手をつなぎ、キスしながら通りを歩いてる。それから黒人、先住民、有色人種(BIPOC:Black, Indigenous and People of Color)の障がい者コミュニティにも出会えた。ここにいたおかげで、セントラル・ペンシルベニアにいるよりもずっと早く本当の自分を見つけられた。

ルル・ヤオ・ジョイエッロ(Lulu Yao Gioiello):この街で生まれ育って、学校教育は多様性に富んでいたし、必然的にたくさんのアートやコミュニティに触れられた。文化とクラスの〈るつぼ〉は、間違いなく自分の作品に影響を与えてる。

gia kuan looking over her shoulder and holding her arm
Gia Kuan is a publicist and consultant in the creative space. She's deeply intrigued by the endless possibilities of what the process of creativity brings. Gia wears Shushu Tong and shoes Jimmy Choo.

ジア・クアン(Gia Kuan):ニューヨークは、子どもの頃からずっと夢見てた場所。2010年に初めて引っ越してきた(5歳のとき両親と1週間旅行に来たことはあったけど)。大きな赤いスーツケースひとつでオーストラリアから飛行機に飛び乗って、それ以来ずっと前だけを見て進んできた。

ニューヨークは何もかもが実現する場所で、ゼロからスタートして自分のアイデンティティを形づくり、アメリカンドリームが叶う街だ、ってずっと憧れていた。もちろん、大変なこともないわけじゃない。でも、ここで出会ったいろんなアンダーグラウンドカルチャーやサブカルチャーからインスピレーションをもらって、ものすごく成長できたし、この街のエネルギーの一瞬一瞬を愛してる。自分はどうしようもないロマンチストだと思うけど、本当にニューヨークが大好きなの。常に刺激を受けるし、もっと大胆不敵になれるんだと教えてくれた。

ジェーキー・チョー(Jaeki Cho):9歳のときに家族でニューヨークに引っ越したから、僕の青春時代、つまり子ども時代と成人期の重要な時期はすべてニューヨークで形づくられた。僕が育ったクイーンズは多様性に満ちた場所で、特に僕が住んでいたジャクソンハイツ、エルムハースト、フラッシング辺りは、米国全体でも特に多様性に富んだ住民が暮らしてる。

話し方から良し悪しの判断まで、そういう基準の多くは、自分のルーツやニューヨークでの文化体験に由来してる。ニューヨークは、否が応でも自分と違う人びととの交流を持つことになる街。電車でもバスでも、どこかを歩いていてもね。そういうものすべてが僕の人生観に影響を与えた。それに人生には自分が創るものが反映されるものだろ?

close up portrait of Humberto Leon against a green backdrop
Humberto Leon is a fashion designer and business owner who founded Opening Ceremony. He also co-founded the Peruvian-Chinese restaurant Chifa with his family. All clothes Humberto's own.

──米国でアジア系として育つのは、どんな体験でした?

 チェラ:楽しい、鮮明、美味しい、大切にされる、イライラする、愛される。

 レオ:すごく複雑。自分の居場所はここじゃないっていう疎外感がつきまとうし、でも同時に生まれながらの米国人とみなされるから、他に心の拠り所がない。最近になってようやく、米国の移民であるということは、いちばん米国らしい体験や感覚だということを理解できた。

 ゲイブ・ベルガド(Gabe Bergado):アジア系米国人が多い地域で育ち、その地域の高校に通えたから、僕はラッキーだった。子どもの頃はあまりアイデンティティについては考えていなかった。父はレチョン(※フィリピンの豚肉料理)の店をやっていて、南カリフォルニアじゅうのイベントやパーティーに絶品のフィリピン料理を届けていた。僕もよく配達についていったんだけど、オレンジ・カウンティやロサンゼルス、サンディエゴなどのフィリピン系に会いにいくのは最高の冒険だった。

十代の頃は、多様なバックグランドの友人がいたおかげで、それぞれのアジア系米国人としての生活を体験することができた。放課後になると、タピオカティーやスターバックス、フォー、In-N-Out、ブリトー、バインミーなど、食べたいものは何でも食べにいった。SAT(※Scholastic Assessment Test:米国の大学進学希望者が受ける共通試験)のあとに韓国の焼肉を食べたこともあったな。振り返ってみると、僕のアジア系米国人としてのアイデンティティにとって、食事がいかに重要かということに改めて気づかされた。

Leo Nguyen squatting in a long bandana printed robe
Leo Nguyen is a model. He hopes creativity can be a catalyst for cultivating safe spaces where marginalized communities are welcomed and embraced. Leo wears Sacai.

ウンベルト・レオン(Humberto Leon):ずっと自分は恵まれてると感じていたから、自分たちの居場所を活用して誰かを後押ししたいと思っていた。アジア系米国人として育つということは、良いステレオタイプにも最悪なステレオタイプにも直面する。ただそれを受け入れるしかない。僕はずっと同一視されることに抵抗感があって、自分なりのカルチャーを母国である米国に持ち込もうとした。それが(自分にとって)大きな転換点になった。BIPOCの兄弟姉妹をサポートできる場所をつくることこそが、僕が目指すものだったんだ。

ダニー・ボウィエン(Danny Bowien):僕は韓国で生まれ、生後3ヶ月で養子に迎えられてオクラホマで育った。父はゼネラルモーターズの自動車工場で、母は新聞配達と教会の食料庫で仕事をしていた。子ども時代はずっと田舎で過ごしていたから、任天堂のゲームやローラーブレードばかりしていたのを覚えてる。主な習慣といえば、週3日から5日教会通うことだった。

白人の両親のもとで育った韓国人の養子という僕の生い立ちを知ると、気まずそうにするひとも多かったから、幼い頃からずっと自分の本心ではなく、相手が求める言葉を言っていた。いつも「本当の両親」について訊かれると、養父母が僕の本当の両親で、実の両親には興味がない、と答えるようにしていた。

大きくなるにつれて、なぜ自分がそんな反応をしていたのか、どうしてみんなが僕という存在に違和感を抱かないように振る舞わなければいけなかったのかに気づいた。自分の子どもが生まれたことで、ものの見方が変わり、実の両親や韓国の文化について知りたいと思うようになったんだ。
 

Chella Man laying sideways with his arm against his head
Chella Man is a deaf, queer and trans activist, artist, model and author of ‘Continuum’. He’s wanted to be an artist since he was young. Chella wears top and pants Peter Do, and rings Chop Suey Club.

──アジア系米国人のクリエイターとして苦労したことは?

ヤスディープ・カン(Jasdeep Kang):型にはめられることかな。私は型にはめられるのが大嫌い。海外に住むアジア系がユニークなのは、階級、ジェンダー、アクセシビリティ、人種がそれぞれまったく異なるところ。私たちの違いがいろんな複雑さや美しさを生み出しているから、ひと括りにされるのはつらかった。

 私自身、こういう複雑さや違いを讃えることを大切にしているから、その余地がなかったり、自分という存在のグレーゾーンが尊重されていないと苦しくなる。例えば、自分の名前の発音とか。どうやって自己紹介したらいいか、ずっと悩んでいたし、不安だった。成長するにつれて自分の名前を訂正できる自信がついたし、他人の好奇心にも寛大になれた。でも、そこに至るまでの道のりは間違いなく大変だった。

 ユル・セラオ(Yulu Serao):アートディレクターとして働いていたときは「本当に細かいところによく気がつくね」みたいなステレオタイプをぶつけられることもあったけど、いつも笑っちゃった。だって私の両親はアジア系じゃないから。私は養子なの。

japanese breakfast standing sideways with her arms behind her back
Michelle Zauner is a musician better known by her stage name, Japanese Breakfast. She just released her excellent new album 'Jubilee', and memoir 'Crying in H Mart'. Michelle wears dress Terrence Zhou and shoes Jimmy Choo.

アンナ・セルー・リン(Anna Theroux Ling):これは厳密には苦労とはいえないかもしれないけど、仕事の性質上いろんな人と働くなかで、日本育ちだと打ち明けると私が英語を流暢に話せることに驚いたり、困惑したりするひともいた。

ゲイブ:僕たちは画一的な存在じゃないと知ってもらうことかな。アジア系米国人の体験は、多様なスペクトラムなんだ。でもスポットライトが当たる体験談はいつも同じだから、広く知られていたり、興味を持たれるのは、画一的なイメージだけ。例えば、東南アジアにルーツのあるひとの人生は、東アジア出身のひととは違うし、ミネアポリスのアジア系米国人のティーンエイジャーは、同じバックグランドを持つロサンゼルス出身の子とはまったく違う意見を持っている。

つまり、アジア系米国人という名のもとに僕たちを結びつける共通点はあっても、その違いには大きな幅があるんだ。個人的に苦労したのは、多民族にルーツを持つ同性愛者として安心できる居場所を見つけ、そういう複数の要素が交差するアイデンティティが、自分の作品にどんな影響を与えているかを探ること。

Yulu Serao bending over in a sculptural dress
Yulu Serao is an art director who grew up surrounded by a creative family. Yulu wears dress Terrence Zhou and shoes Kwaidan Editions.

ミシェル:男性優位の業界で私が体験した女性としての苦労は、私の人種によってさらにエスカレートしていた気がする。(例えば)真面目に取り合ってもらえなかったりとか。

ジェーキー:僕たちは、幸福の追求は安定と深く結びついている、と考えがちな移民一世と1.5世の家庭で生まれたから、家族からは安定した仕事に就くことを期待される。これが決まり文句なのはわかっているけど、クリエイティブ業界のひとが「ああ、両親は医者か弁護士になってほしかったみたいだけど」とか言うのが嫌いなんだ。だって(そのふたつがまるで)悪いものだと決めつけているみたいだから。

でも、安定を期待されるのはアジア系米国人の家庭に限った話じゃなくて、多くの移民の家庭に当てはまる。結局、アートへの努力は、第一世代の移民の両親には馴染みがないものなんだ。そもそも自分たちが体験していないからね。

a close up portrait of Wendy Leon wearing glasses against a striped background
Wendy Leon is a jack of all trades: a mother, grandmother, chef, actress and model. All chlothes Wendy's own.
 

──あなたにとって家族とは?

 

ガブリエル・ウィジャヤ(Gabrielle Widjaja):家族とは自分が選んだ相手なら誰だっていい。でも、アジア文化ではそういう選択肢があることは教わらない。両親にとっては、たとえ何があっても〈血は水よりも濃い〉から。でも、私はこの考えが受け入れられなかった。こういう考えは感情的、精神的、身体的な虐待を助長することもある。年配のひとにとってはそれは当たり前で、家族だから我慢しなきゃいけないと思ってる。

両親はいつも、友だちは家族のようには気にかけてくれない、と言っていたけれど、正直そうは思わない。広い意味では、家族もコミュニティのひとつだと思う。私はこの共同体としての特性を大切にしてる。ここは思いやり、寛大さ、共同体への信頼に満ちている。欧米で育つと個人主義的になる傾向があるから、意外だった。私自身、家族(や共同体)のための犠牲という考え方とは相入れないところがある気がする。家族というのは他の何よりも複雑なもの。でも、別にそれでいい。

ミシェル:ひとりの人生よりもずっと長く続くもの

a close up of Jaeki Cho taking his sunglasses off
Jaeki Cho is a multidisciplinary creative, former XXL Magazine Editor, co-producer of Netflix film ‘Bad Rap’ and a self-proclaimed hip-hop head. Jaeki wears suit Untitled Collective, shirt Private Policy, shoes Sacai and glasses Jaeki's own.

ダニー:家族は複雑だけど、そのおかげで充実した人生を送れる。昔は自分の家族を持てば家族の意味を理解できると思っていたけど、本当に思いも寄らない物事に気づかせてくれた。息子の母親とは別れてしまったけど、それでも家族を続ける努力をしてる。簡単なことではないけど、今も家族でいられること、僕が家族だと思っている親しい人たちには感謝してる。

ジア:家族は私のすべて。私はすごく自由に育って、いろんな場所でひとり暮らしをしてきたけど、固い絆で結ばれた信頼できる家族がいて、両親とは毎日話をしてる。父はボスみたいなひとで、私の友だちはみんな父に憧れてるけど、同時に怖がってる。ちょっとマフィアみたいな見た目だから(笑)。でも、料理が大好きで、世界一のシェフなの。母はものすごく面白くて、よく笑うひと。

祖父母は父方も母方も亡くなってしまったけれど、すごく仲が良かった。振り返ってみると、祖父母との絆は本当に大切にしていた。両親は生活のために必死に働いていて、10歳になるまでは祖父母に育てられたも同然だから。祖父母から伝統や先祖の話をたくさん教えてもらったことに、今でも心から感謝してる。

Anna Theroux Liang holding a beaded purse in her hand and looking over her shoulder
Anna Theroux Ling is a creative director, artist and model who first fell into set design while studying sculpture. Anna wears Simone Rocha and shoes Manu Atelier.

ゲイブ:家族は僕にとってさまざまな意味を持っている。何があっても僕を支えてくれる存在で、僕も家族のためならなんだってできる。それから、僕が生まれる前に、僕が今享受しているチャンスを得るために多くの犠牲を払ってきた世代にもずっと感謝してるし、成長するにつれて彼らの存在をますます強く意識するようになった。

血の繋がりがあるひとや育ててくれたひと以外にも、成長してから見つけた、自分を支えてくれる団体も僕の家族といえると思う。特に僕はクィアとして、自分で選んだ家族や周りの友だちの大切さを痛感してる。

ウンベルト:家族とは永遠で、絶対に壊れないもの。僕はたくさんの家族に恵まれた。クィアのBIPOCの兄弟姉妹という自分で選んだ家族、ほんのひと握りのひとしか得ることのできない〈拡大家族〉がいる。幸運なことに、その両方に恵まれた。結局、家族っていうのは自分のすべてを受け入れてくれる存在のことだと思う。

John Liu looking off to the side
John Liu is a chef and co-founder of Chifa. All clothes John's own.

──最近、アジア系への暴力事件が相次いでいますが、米国のアジア系の人びとにはどんな未来を願っていますか?

ウンベルト:米国のアジア系はずっと沈黙を強いられてきたから、自分たちに立ち向かう強さがあることを実感できるようになってほしい。アジア系はみんな裕福で従順だという〈モデル・マイノリティ(※模範となる少数派)〉というレッテルは、本当に馬鹿げてる。統計を見れば、アジア系は米国で貧しい層に属している。

それにモデル・マイノリティ理論は、アフリカ系やラテン系の兄弟姉妹との間に分断を生むものでもある。僕たちがレイシズムを変え、ブラック・ライヴズ・マター運動を全面的に支援しなければ、米国が前に進むことはできない。問題の根本、つまり構造的なレイシズムに向き合う必要があるんだ。そうすればマイノリティにとって新たな時代が訪れるかもしれない。不正義と闘い、お互いを守れるようになるには、みんなが力を合わせなきゃ。それが唯一の道なんだ。

ガブリエル:私が望む未来は、私たちが攻撃を受けないのは当然として、私たちの対話が過去のメディア表象の一歩先に進み、長きにわたる抑圧の歴史的背景に焦点が当たること。このコミュニティに黒人差別と警察擁護をやめるように訴え、モデル・マイノリティ神話を捨て去り、自分たちのアジア系米国人としての体験について批判的に考え、ただ単に〈アジア系への差別をやめよう〉と訴えるだけでなく、その本当の意味を明らかにすること。

このスローガンは、私たちのコミュニティが抱える数多の問題を矮小化してしまっている。ひと言でいうと、私たちのずっと前に米国に渡り、私たちのためにこの国の片隅に根を下ろした年上の世代と同じように、繁栄と健康を願ってる。

Jasdeep Kang sitting on red and blue stools with her hands on her hips
Jasdeep Kang is a director, photographer, editor and musician who sees art as an ever-changing body of existence. Jaeki wears top and pants 3.1 Phillip Lim, long sleeve Rui Zhao and shoes Peter Do.

ルル:人びとが押さえつけられた感情と向き合い、不安を抱きながらも熱烈に意見を語れる勇気を持てたのは、とても喜ばしいことだと思う。私たちが文化的な障壁を越えて気持ちを通じ合わせ、世界中のアジア系だけでなく、社会から見放されたすべての人びとの生活を守り、より良くするためには一致団結するべきだ、と気づく。そんな未来を願ってる。

ヤスディープ:今こそ共同体としてエンパワメントするときだと思う。もう現実から目を逸らすことはできない。僕が描く未来は、自分を尊重して思いやり、共感し、世代間に引き継がれるトラウマを乗り越え、それを悲しめるようになること。すべてのひとが明確な目標を定め、自分への呼びかけや恩恵に気づき、心のエネルギーと自分の奥深くにある愛情に基づいて行動できるようになってほしい。

レオ:これまでずっとアジア系の体験は無視され、見過ごされてきたから、とにかく自分たちが認識され、認められ、尊重されていると実感できるようになってほしい。共感さえすればどんな場所でも自分たちの居場所になりうる、というエンパワメントの意味を理解すること。次世代のアジア系米国人には、自分たちを形づくるものを誇れるようになってほしい。遺産も、体験も、自分自身も、そのすべてを大切にできるように。

Rica Leon looking over her shoulder at the camera
Rica Leon works in real estate and co-founded Chifa alongside John and Humberto. All clothes Rica's own.
Gabe Bergado looking over his shoulder at the camera
Gabe Bergado is a writer and comedian who recently reconnected with the power of storytelling. Gabe wears jacket and pants Untitled Collective, hat Jason Wu and shoes Jimmy Choo.

Credits


Photography Alexander Cody Nguyen.
Styling Brandon Tan.

Makeup Miki Ishikura using Mac Cosmetics
Hair Chika Keisuke
Production Design Michelle Lee Johnson
Producer Zoë Glaser
Photo Assistant Benji Geisler
Styling Assistant John Park
Special Thanks to Francis Nguyen, Tina Pham and Quil Lemons

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