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革命のはじまり:ヴァージル・アブローによるLouis Vuitton メンズSS19

革命の序章が幕を開けた。

by Ryan White; translated by Aya Takatsu
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jun 25 2018, 2:11pm

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〈ショーの前〉

ヴァージル・アブローによるLouis Vuitton2019年春夏メンズの内容は、Instagramで数日前からゆっくりと流されていた。ネオンブルーのコートに、透明のバッグ。メタリックや蛍光色でつくり直されたモノグラムのウィークエンドバッグ。従来のレザーストラップの代わりにつけられた、重そうなシルバーのチェーン。ハイトップのAvia 880を思わせる、下部を横切るようにVuittonという文字が入れられたハイトップスニーカー。モノグラムのない黒いトランク。ブランドが誇るミリオネア・サングラスの最新バージョン。そしてZ世代イエローのクラッチ。巨大なLVロゴが入った、マルチカラーのパーカ。

透明なチューブにパックされたさまざまな色のTシャツを、ヴァージル自身がアップロードしたのだが、そこには、ファッション業界最高の地位へ非伝統的に登りつめたことに言及するキャプションが添えられていた。「今日の若いデザイナーがそうであるように、僕は「ファッションの学校」に行かずしてこの超現実的なミッションを始めることになった。けれど、僕には真っ白なTシャツとスクリーンプリントのアイデアと夢があった。それを肯定すべく、Louis Vuittonで働きはじめてすぐにコピー機の使い方を習って、今日ここのすべての席においてあるグラフィックTシャツを作った」

バート・シンプソンを讃えるOff-Whiteのメンズウェアコレクションを披露してからわずか2日後に、アブローはLouis Vuittonの2019年春夏メンズに向けたその万華鏡のようなビジョンを見せたのである。このコレクション制作過程の全体を通して、ヴァージルはLouis Vuittonアトリエの扉を開き、私たちをその内部へと導いた。ショーが始まる前にも、彼はキャットウォークに出て、人々が集まる様子を自身のInstagramに投稿していた。3000人に及ぶゲストが呼ばれていたという話もある。

〈ヴァージルについて〉

ショーノートには世界地図も載っていて、モデルたちの出身地やその両親の出身地が示されていた。「ブランドが有する旅のDNAにリンクした、多様性についての世界的視点」を提供しているのだ。ヴァージルはもちろん、大手ヨーロッパメゾンの指揮をとる初めてのアフリカン・アメリカンである。ファッション業界の扉が、少しずつ開かれているようだ。

さらにノートには「ヴァージル・アブロー用語」も掲載されていた。彼のバックグラウンド、インスピレーション、そしてそのクリエーションにおける専門用語が解説されているのだ。そのなかで、ヴァージルは、このコレクションにはコラボレーションがまったくないだろうと明らかにしている。この辞典は、“Accessomorphosis(アクセサリーを服につくり替えること)”から“Fandom(デザイナーとクライアントの相互的な敬愛関係)”、“Irony(新世代の哲学:Louis Vuittonにヴァージル・アブローがいること)”や“Margielaism(若いデザイナーのうち、ヴァージルも属している敬虔な世代の規範的なファッション宗教)”、そして“Z(ここまで読み通してくれたのなら、お時間を割いていただき感謝します)”に至るまで、あらゆる言葉の定義が記されていた。

コレット広場にあるパレ=ロワイヤルの正面に設置されたラウンウェイは、虹色に染められ、ゲストにはそれぞれ別の原色がひとつ割り振られた。

〈ゲスト〉

フロントロウにはキム、カニエ、カイリー、トラヴィス・スコット、リアーナ、エイサップ・ロッキー、村上隆、ベラ・ハディッド、ナオミ・キャンベルなどなどが顔を揃えた。バッドバンドノットグッドは、カニエの新しいアルバム『Ye』に収録されている「ゴースト・タウン」のライブカバーを披露した。

〈ショー〉

キャスティングも素晴らしく、多様性に富み、スターでいっぱい(ヴァージルのショーではおなじみなお気に入りの面々もいる)だった。アーティストのリュシアン・スミス、ミュージシャンのキッド・カディ、オクタヴィアン、スティーヴ・レイシーがキャットウォークに登場している。最初のモデルはラッシュ。オープニングのルックはピュアなホワイトで、かっちりとテーラードされていて、虹色のキャットウォークでひときわ目立っていた。シルエットはバギーでルーズ、そして自由だ。フォーマルな白のシューズにはネオンカラーの靴ひもがあしらわれ、LVのモノグラムもすべて白になっていた。このコレクションでは、色彩を、真っ白なキャンバス上のパワーのメタファーとしているのだ。ホワイトからベージュ、グリーンへと色は移り変わり、フィナーレでは色やプリントの旋風が爆発を起こす。

最後のモデルが歩き終えると、ヴァージルが登場して、長年の友人でありコラボレーターであるカニエと、がっちりすてきなハグを交わしたのだった。なんという長旅だったのだろう。

〈アフターパーティ〉

アフターパーティもまた、これまでとは異なるフォーマットで行なわれた。「友だちはみんな、ファッション界のパーティに愛憎半ばする感情を抱いている」と、ヴァージルはInstagramに書いている。「だから@_benjib(ベンジー・B)と俺は、新しいフォーマットをつくった」。つまり、カナダのインストゥルメンタルバンド、バッドバンドノットグッドに、シンガーのシャーロット・デイ・ウィルソンの着席式ライブ、そしてベンジー・Bやユダ、ノー・ヴェイカンシー、ペドロ、そしてヴァージル自身を含むDJセットが続く予定だ。

This article originally appeared on i-D UK.