「自分のことが無意味に気に入ってる」:『RUN!!!』のん インタビュー

「今は決定権が全部自分自身にあるので、大変だし面倒なことはいっぱいあるし、責任も重くなってるけど、自分にはあってるかなって思います」

by Michiyo Nishimori
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23 January 2018, 9:58am

名刺には「代表 President」と書かれている。これが2017年の夏に自身の音楽レーベル「KAIWA(RE)CORD」を立ち上げたのんの肩書きだ。つまり、自身の活動における〈やる・やらない〉はすべて彼女が決めるってこと。

事務所に所属していたら避けられないであろう不本意な仕事にかかずらうことなく、純粋にやりたいと思えることだけに専念できる。表現者なら誰もが望む理想の環境だ。しかし、いいことばかりでもない。決定権を持てば、それに伴う責任も生じる。プレーヤーとして活躍しながら、チーム全体を監督として俯瞰視するような役回りも求められる。

それでものんが今の体制を選んだのは、彼女の尽きない創造性とDIY精神がそれにマッチしていたからにちがいない。昨年末のデビューシングル『スーパーヒーロー』に続いて早くも2ndシングル『RUN!!!』をリリースしたのんが、レコーディングや作詞、自分のために編むセーター、変だと思う「11月のクリスマス」について語る。

——セカンドシングルの『RUN!!!』が1月1日に出て、ミュージックビデオも公開されました。たすきをつないでいくイメージはどこからきたんですか?

もとは作詞作曲のSachiko Mさんのアイデアで、今回は駅伝がテーマの歌で「のんちゃんが箱根駅伝を走ったりしたらって思うのよね」と仰っていたので、ミュージックビデオでもいろんな人にたすきを渡していくイメージにしようと思いました。

——たすきをつなぐのが、全部のんさんというのも面白いですよね。

スタッフとか監督の山岸さんと打ち合わせをして。学ランを着たり、パリピが出てきたり、という案を出し合いました。

——あのセルフィー撮ってるのはパリピだったんですね(笑)。

そうなんです。ウィッグかぶったりしてちょっとチャラいイメージにしようって。アイドルの恰好をしたのも、スタッフから振り付けのある部分にアイドルがいいんじゃないかって、そういう風にみんなで考えてきたアイデアを持ち寄って会議で決めました。ビデオはワンショットで追いかけていて、途中で実は切り替わるので、二回で撮ってるんですけど、着替える時間が間に合わなくて何度もリハーサルして撮ってたら、すっかり夕方になっていました。

——前回のシングル『スーパーヒーローになりたい』のときは作詞・作曲の高野寛さんからインタビューされて、それで出来上がったとのことでしたが、今回は大友さんにインタビューされたということはありましたか?

今回はなかったんですけど、大友さんのラジオに出演させてもらったときに、「派手な曲をお願いします」っていったんです。あとはいつもギターの音は立たせてくださいってこともお願いしたりします。それで出来上がったのが「RUN!!!」なのですが、すごく気持ちの良い曲で、歌詞もひたすら前を向いて走っている感じが清々しくて素敵!と思いました。歌ってるときも楽しくて。レコーディングのときはテンポが速いのでみんなで汗を流しながら演奏しました。

——レコーディングはどんな感じで進められたんですか?

一回仮歌をとって、それに合わせてバンドのメンバーの皆さんと私とでいっせーのせで演奏して。後日、歌を録り直すという流れです。歌を歌うときは、一人でレコーディングなので集中して閉じこもっていくんですが、演奏のときは、みんなで「のりきった!」という高揚感がありました。大友さんからは、リズムがいいねって言っていただいてうれしかったです。

——それと、のんさんが作詞作曲された「ストレート街道」の歌詞も面白いですね。

そうですか。今回はなんだか恥ずかしくて。1stシングルの「へーんなのっ」のときは、時間をかけて作ったからか恥ずかしくなかったんですが、今回は短い時間で気が抜けてるときに作ったので、むず痒い感じですね。2ndに入れようとなったときにちょっとずつ歌詞を調整していく作業を入れて恥ずかしさを軽くしていったんですが。それでもなんか小っ恥ずかしいですね。

——いろいろ推敲したりしたものは恥ずかしくないけど、気持ちをそのままで出すのが恥ずかしいって感じなんですかね。「本当はロックなんかかかっちゃいないよ」とか、そういうところがどういうことなんだろうって気になって。

あそこも最初は鍵って言葉だったんですけど、スタッフと考えているときに、同じ意味だし「鍵」のままだとひとつの意味になるけど、「ロック」なら鍵の意味と音楽のロックともかけられていいんじゃないかって。ここの部分は私の好きな友達と接してて思ったことかもしれないです。

——前回のシングルの「へーんなのっ」の歌詞は、変だけど好きってものとか、いろいろあって面白かったですね。

そうなんです。そういうものを羅列してて。「11月のクリスマス」とかは、あんまり好きじゃないものだったりして、変だけど好きなものとそうじゃないものが混ざってるから、受け取る人次第です。例えばハロウィン終わったらすぐに街にクリスマスの準備がされてるときがあって、そういうのを見るともうそんな時期?!と焦って嫌なんですよね。でも、その感覚も人それぞれかもしれないのでへーんなのっていうのは必ずしも嫌なものばっかり書いてるわけでもないです。

——2017年は、『創作あーちすと NON』という本で、桃井かおりさん、清水ミチコさん、矢野顕子さんなんかと対談したりしていましたよね。

対談コーナーの実現は本当に嬉かったです。緊張もしたけど、おもしろい話をわんさか聞けたので、楽しかったですね。

——同年代の友達と会ったりする時間もありますか?

はい。同年代の友達と話すのも楽しいです。

——そういうときは、どんな感じですか? 盛り上げ役になるとかそういうのは。

盛り上げ役ではないです。今と同じ感じで。

——っていうのも、学生時代にバンドをやってたときはのんさんは目立ちたがり屋だったっていうのを知ったので、普段はどんな感じなのかなと。

今も目立ちたがり屋ではあると思います。表に出る職業なだけでも目立ちたがり屋だし。話の中心にいたいとかじゃないんですけど、なんですかね……。控室で休憩してるときに、一人きりじゃなかったら、なんか話すとかじゃなくても、ずっと見ててもらいたいという欲望があります。ステージに立ってるときも、そんな感じですかね。みんな表に出る人はそういうのあるんじゃないかと思うんですけど。でも、クラスで目立ちたいとかでもないんですよね。そういうのじゃなくて、元々無意味に自分を気に入ってるところがあります。

——そういう自分が気に入ってるところがあることを、そうやってはっきり言えるのっていいですよね。まわりを気にして、やりたいことを出せない子とかもいるじゃないですか。

だいたいは自意識過剰なんですけど、でも高校時代に一度だけ、わたしなんてって思う時期がありましたね。ちょっとぽっちゃりしてた時期で、周りの人とかからもっと痩せなさいっていわれて。これじゃいけないと思うことはなかったけど、なんかやだなーって思ってました。でも、だいたいはやりたいことがあったら勝手にひとりでどんどんやっちゃいますね。バンドのときは、たまたま仲間がいたし、けっこう意見を汲むほうではあったけど、興味があることはどんどんやってしまいます。例えば、洋服を見てて、こんなの私も作りたいなと思ったら、生地を買いに行ったり。周りの友達はバレンタインだから誰かにセーター編んであげようみたいなこともあったけど、自分の場合は、自分のために、これが作りたいからって感じで、編み物をしたり洋服を作ったりとかはずっとしています。

——のんさんは今後も映像を発表する予定もあるし、歌に限らず、いろんなことを発表してる感じですが、そういう仕事の仕方はどうですか?

楽しいですね。今は決定権が全部自分自身にあるので、大変だし面倒なことはいっぱいあるし、責任も重くなってるけど、自分にはあってるかなと思います。スケジュール的に入れ込み過ぎたりで自分の首を絞めることもあるけど、どんどん色んなことを学んでいます。自分がやりたいことに力強く純粋に打ち込んでいけるという状況はかなり性に合ってます。あとは、ノートも持ち歩くようになりました。打ち合わせしたときのこと忘れないように。忘れっぽいので。あんまり綺麗に書きとめてないので、ほとんど見返すことはないんですけどね。

2nd single『RUN!!!』発売中

Credit


Photography Mayumi Hosokura
Stylist Erisa Yamaguchi
Hair and Make-up Shie Kanno
Edit Sogo Hiraiwa

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