BEAMS創業40周年を祝って

アパレル販売業からデザイン集団へと進化して独自の存在感を築き上げたBEAMS——彼らが手掛けたエキサイティングなコラボレーションの数々とともに、ソフィア・コッポラやNigo®、Sacaiの阿部千登勢などとのインタビューも混じえて、創業からの40年間を讃える本が発売された。

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mar 2 2017, 8:23am

1976年、設楽悦三はUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の学生寮の一室を模したショップを原宿にオープンした(床面積226フィート——その大きさも寮の部屋とほぼ同じサイズだった)。そのショップには、アスレチックなスウェットシャツなどアメリカ西海岸を感じさせるアイテムが主に置かれていたが、他にもアメリカ西海岸の大学寮生活で必須となるアイテムがすべて(なんとネズミ捕りまでもが)取り扱われていた。設楽はこの空間を「アメリカン・ライフ・ショップ BEAMS」と呼び、"ここではない世界のどこか"で作られた製品を日本の消費者に紹介したいという思いを形にした。そしてその過程で、多くの客に笑顔を届けてきた。

"BEAMSは、L.L. BeanのアイコニックなバッグBoat and Toteに深い底をもたせ、パネル・デザインを配したバージョンを作り出した。" © Beams Beyond Tokyo with contributions by Sofia Coppola, Stella Ishii, Toby Bateman, Johnathan Barnbrook, and Nigo, Rizzoli New York, 2017

創業から40年の間に、BEAMSのビジョンはロサンゼルスの大学生活から、アメリカ東海岸のアイビー・リーグ(名門私立大学の連盟)のスタイル、先進的ファッションを作り出すヨーロッパのブランド、そして自国日本のファッション革命家である山本耀司や川久保玲などにも目を向けるようになり、世界的な力を持つに至った。ビジョンこそ変化していったものの、それでもBEAMSは創業当初から一貫して目標を変えたことはなかった——それは、「日本のユース・カルチャーの可能性を広げ、東京の目をより広い世界へと開かせる」ということ。

"Strideによる子ども用ペダルなしバランス自転車は、そのキュートな水色で大人気を博した。" © Beams Beyond Tokyo with contributions by Sofia Coppola, Stella Ishii, Toby Bateman, Johnathan Barnbrook, and Nigo, Rizzoli New York, 2017

「東京は、モダンと美しい伝統の世界がミックスした奇跡のような場所。東京をおいて、ここまでの究極が存在する都市は他にない」と、映画監督のソフィア・コッポラは出版社Rizzoliから発売された回顧本『Beams Beyond Tokyo』の中で語っている。コッポラが東京を形容する言葉は、そのままショップの存在感にも当てはまる。コッポラのこの短いインタビューの他、Nigo®やSacaiの阿部千登勢とのインタビューも収められているこの本は、BEAMSがこれまでに手掛けてきたダイナミックなコラボレーションの数々に焦点を当てながら、ショップの歴史と進化を辿る内容となっている。ブランドやアーティスト、デザイナー、職人、製造者、工場と献身的な相互関係を築くことで、BEAMSは独自の世界観を作り出すことに成功した。BEAMSがこれまでにコラボレーションを手掛けてきたブランドや企業は、Dickies、Disney、Nokia、Rodarte、L.L. Bean、Sacaiなど多種多様で、列挙すればきりがない。そしてゴルフ・バッグから全日空の商品、日本の伝統的な木工人形、Schottのレザー・ジャケット、キューピーの携帯ストラップまで、ありとあらゆる商品開発も手掛けてきた。

"伝説の写真家テリー・リチャードソンがBEAMS 1997年秋冬カタログの撮影を担当した。" © Beams Beyond Tokyo with contributions by Sofia Coppola, Stella Ishii, Toby Bateman, Johnathan Barnbrook, and Nigo, Rizzoli New York, 2017

この本では、それらコラボレーション商品やアーカイブのハイライトが、その遊び心溢れる新しさと不思議なクールさに彩られたBEAMS特有の広告素材を通して紹介されている。切ったばかりの新鮮なアスパラガスに配した指輪や、 "I ♡ NY"バケットハットとOakleyサングラスをまとった風船、ジェシカ・オグデン(Jessica Ogden)によるパッチワーク・キルトを着た犬などの写真作品の他、テリー・リチャードソンによるBEAMS 1997年秋冬カタログ、マーク・ボースウィック(Mark Borthwick)が手掛けた1999年スペシャル・カード・セットなども紹介されている。


"Beams BoyとDisneyがコラボレーション制作したこのバスケット・バッグのシリーズは、根強い人気を受けて2016年に7作目がリリースされた。ミニー・マウスのバージョンと並べると、ミッキーとミニーが向かい合うようデザインされている。" © Beams Beyond Tokyo with contributions by Sofia Coppola, Stella Ishii, Toby Bateman, Johnathan Barnbrook, and Nigo, Rizzoli New York, 2017

テリーやマークとのコラボレーションを果たす数年前、BEAMSは日本で初めてソフィア・コッポラのMilkFedを扱う販売店となった。キム・ゴードンとデイジー・ヴォン・ファース(Daisy Von Furth)によるX-Girlと並び、コッポラとリンダ・メルツァー(Linda Meltzer)によるMilkFedは原宿と渋谷を中心とした日本の90年代ストリート・スタイルのシーンでカルト的人気を博した。これをきっかけとしてコッポラは後に映画『サムウェア(Somewhere)』のリリースに合わせてBEAMSとコラボレーションを手掛けることとなり、またBEAMSのシニア・クリエイティブ・ディレクターのMAGOこと南馬越一義はコッポラの『ロスト・イン・トランスレーション(Lost in Translation)』に出演までしている。「日本のカルチャーに理解してもらい、また受け入れてもらえたと感じた」と、コッポラは90年代日本でMilkFedが大きな人気を博したことについて、本の中で触れている。「あの頃の東京は、ティーンの女の子たちが動かしているとまで見えた。大きなユース・カルチャーがあって、それは世界でも類を見ない規模だった」 それもこれも、「このカルチャーは、サポートし拡大していく価値のあるもの」とBEAMSが信じたからこそ起こったものだったのだ。

『Beams Beyond Tokyo』は、現在発売中

Credits


Text Emily Manning
All images © Beams Beyond Tokyo with contributions by Sofia Coppola, Stella Ishii, Toby Bateman, Johnathan Barnbrook, and Nigo, Rizzoli New York, 2017
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.