i-Con : 山本寛斎

国境を超え常に第一線で活躍するファッションデザイナー山本寛斎。クリエイティブの根元となるもの、そして次世代に伝えるべきことを語ってくれた。

by Kazumi Asamura Hayashi
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28 September 2017, 9:17am

This article originally appeared in i-D Japan's The JOY Issue, no. 4, Fall 2017.

——1971年にロンドンで日本人初となるファッションショーを行った経緯をお聞かせください。

「これはとても簡単で、当時はベトナム戦争の最中であり、イギリスを中心として音楽の世界が燃えていました。ファッションだけの独立した動きがあるわけではなく、音楽家たちがすばらしい格好をしているんですね。それで一番ロンドンが合いそうだな、ということで24歳の頃に初めて行きました。その少し前に、世界の10人のかっこいい男っていうことで『LIFE』誌で取り上げられたのですが、これが私にとっては強烈な体験になるんです。カーリーヘアーをして西洋に憧れているようではトップにはいけないと思い、2年後の25歳には丸坊主にしました。この頃、私はアジア人ということ、日本人ということを猛烈に意識しました。それは今まで続いています」

——V&Aでのデヴィッド・ボウイ展が世界中を巡回しています。1973年にデヴィッド・ボウイの衣装を手がけた際のお話をお聞かせねがえますか?

「私が彼に初めて会ったのは、ニューヨークのRADIO CITY MUSIC HALLでした。夜中にスタイリストの高橋靖子さんから「見なきゃダメよ! すぐにきて!」と何度も電話があり、すぐに飛行機に飛び乗りニューヨークに向かいました。私の衣装を着たデヴィッド・ボウイが"引抜き"と呼ばれる歌舞伎の早着替えの演出を見せたとき、観客が興奮し総立ちになる光景を見て、私がやったことはすごいことなんだなあと実感しました」

——今年5月に京都で行われたLouis Vuittonのクルーズ・コレクションにも足を運ばれていましたが、寛斎さんとニコラ・ジェスキエールとのコラボレーションは高い評価を得ています。どのような経緯ではじまったのですか?

「後になってニコラさんと話したら、パリでのデヴィッド・ボウイ展がきっかけだったようですね。私のような発想をする服の人がいない、つまり"ものすごく強い"ということに皆さん驚かれたようです。そういった意味で、私の一番の特徴っていうのはやっぱり色ですね。自分は暗い色を着ると暗くなるんです。ですから私のワードローブの中はきれいなものばかりです」

——世界各所で繰り広げられる大規模なショーは、あなたのライフワークとなっています。そのほかにも様々な活動を続け、単なる洋服のデザイナーという枠を越えてファッションを表現していますが、それはどのような思いからなのでしょうか?

「自分にはファッションの表現とそれ以外の舞台的な表現があります。私は両方が必要な人なんですよね。それは弟(伊勢谷友介)をみていて気がついたことです。彼は映画俳優が専門だと思っていないんじゃないかな。いろんなプロジェクトをやっていて、その全部をひっくるめたのが彼。私にとってのファッションも同じです。最近では熊本城でお祭りをしたり、再来年に向けて『忠臣蔵』をテーマにしたイベントをやろうと構想を練ったりしていますよ。仕事していて最近思うことは、いろんな価値観の方がいらっしゃるということ。いろんな方と交流していくときに「なにが自分の生きている証明なのかな」というのはよく考えますが、私にしかできないこと、刺激や元気の素をみんなにあげられているなと感じるときには最も充実します。どんなことをするときも、計算式があってなんとなく当たりそうとか面白そうっていうだけではダメです。勝つべき理由が必要です。ここのところ立て続けにデヴィッド・ボウイ展やLouis Vuittonとの交流があり、なんで今頃なのかなとは思ったりしています。おそらくは、世界的に私の持っている"強さ"みたいなものが欲せられているのかなと」

——若者たちに伝えたいことはありますか?

「夢を持ってどんどんやる、行動ひとつかなと思っています。だから答えは本当にシンプルで、皆さんなかなか我慢ができないようですが、やりたいと思えば為るまで実行するしかないんじゃないかなと。私は普段映像を見て何か判断することはしません。というのも映像で映らないものがいっぱいあるんですよね。まず温度は映りませんでしょ、匂いやそれ以外の空気感のようなものも映りませんから、とにかく現地に行ってみる。行かないかぎりは、人間の五感でものを見ないかぎりはしょうがないなと思います」

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Text Kazumi Asamura Hayashi
Photography Takao Iwasawa

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