Images courtesy Prada

競馬ファッションに革命を:Miu Miu 2020クルーズコレクション

ミウッチャ・プラダが、競馬場のファッションの保守的なイメージを打ち破る。

by Osman Ahmed
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04 July 2019, 3:17am

Images courtesy Prada

競馬場のファッションは、なぜこんなにも時代遅れなのか? 英国でもっとも保守的なファッションを見たければ、アスコット競馬場に行けばいい。ハット、花柄、ツイード、実用的なパンプス…。思わずあくびが出そうだ。もちろん、これは会場のドレスコードのせいでもある。女性は帽子必須で、ストラップレスのドレス、ショートパンツ、へそ出しは禁止。映画『マイ・フェア・レディ』の社交界のルールと同じくらい時代遅れだ。

ミウッチャ・プラダMiu Miu 2020年クルーズコレクションのアイデアとして競馬観戦を選んだとき、彼女はその従来のイメージを覆すことを決めた。会場は、1873年に開場したパリのオートゥイユ競馬場。今回のコレクションは、ハイウエストのショートパンツ、襟ぐりが大きく開いた巨大なチェルシーカラーのティードレス、袖をロールアップしたボーイズライクなブレザー、馬の目を眩ませそうなクリスタルが散りばめられたカーディガンなど、ロイヤル・エンクロージャー(アスコット競馬場の特別観戦エリア)への入場を断られそうなアイテムが満載だった。

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「私が今懸念しているのは、保守主義です」とミウッチャはショーの後に説明した。確かに、Pradaを率いる彼女は、以前もヨーロッパに広がりつつある右派勢力への不安を口にしていた。それでも彼女は、特にPradaの生意気な妹的存在であるMiu Miuに関しては、あまりシリアスになりすぎないようにしたい、と語る。

「Miu Miuには私の子どもっぽい部分が表れています。みんなコンセプトとかアイデアとか長ったらしい講釈にはうんざりしてるはず。私はふたつの人生を生きています。ひとつはとてもシリアスな人生で、もうひとつはファッションの世界における、もっとライトな人生。ファッションに関しては、あまりシリアスになりすぎないほうがいい」

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Miu Miuの魅力のひとつは、その純朴さだ。さまざまな要素を混ぜ合わせ、調和させるスタイルには、明らかに英国的なところがある。ボーイッシュで、異なる時代のレイヤー(大胆にアレンジされた1940年代のティードレス、1970年代のスエードやニットなど)を重ね、そして何といってもデコラティブ。それとは対照的に、Pradaはもっと成熟していて、ハードコアで、禁欲的ですらある。

Miu Miuは遊び心に溢れ、少し行儀が悪く、間違いなくユーモアのセンスがある。ミウッチャが手がけたロイヤルアスコット風のハットは、巨大なクローシュ、つば広の日よけ帽、サテンのベイカーボーイハット、ツイードのベースボールキャップなど、多様なスタイルをマッシュアップしていた。

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「帽子に限らず、ファッションは簡単に楽しめるものです」と彼女は主張する。「不可能なことなんて何ひとつありません」

ここ数回のPradaのショーで、ミウッチャはより広範な世界におけるファッションの役割に思いを馳せ、自身のコレクションで現実感と率直さを提示する必要性を訴えた。「ファッション業界側から、政治的な話題について語ってほしいという依頼がありますが、これはとても難しい問題です」と彼女はミラノの2019年秋冬ウィメンズショー後に打ち明けた。

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「ファッションの観点から政治問題にアプローチすると、表面的になりかねない。問題は、ファッションは政治的でシリアスであると同時に、娯楽でもあるという二面性です。正直にいうと、私たちは裕福なひとびとに向けてリッチな服をつくっているという面もある。娯楽の世界における政治問題へのアプローチとして、賢明で政治的になりすぎない方法を探るには、何か別のやりかたがあります。それは、本当の意味での政治ではありません」

それでも、ミウッチャが現代を代表する聡明なデザイナーであることは疑いようがない。彼女は、自分を取り巻く世界に応えずにはいられないのだ。たとえそれが、私たちに束の間の息抜きを提供する美しいアイテムに過ぎないのだとしても。彼女は、世界のために実際に行動を起こし、Miu MiuとPradaが2021年までに毛皮を使った製品を廃止して、プラスチックごみをリサイクルしたナイロンのみを使用すると宣言した。

今回のショーから私たちが学べることがあるとすれば、ミウッチャは政治問題に直接言及することには消極的かもしれないが、より柔軟で、賢く、深遠なアプローチをとっているということだ。このコレクションは、いかに保守主義が馬鹿げていて時代に逆行しているかを、はっきりと明示した。私たちは、この世界にどのように自分の身体を提示するかを自ら選ぶ権利があり、世界が押しつけるルールに従う必要はないのだ。ショートパンツで競馬場に行こう!

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This article originally appeared on i-D UK.

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