一瞬を永遠に日常をユートピアに変える写真家、草野庸子

自身の友人や身近な人たち、何気ない日常のシーンなど、自らの生きる世界のリアリティーをありのままに写し出す、フォトグラファー草野庸子。彼女によって切り取られるその“瞬間”に凝縮された、リアルで等身大な作品の魅力を紹介。

by Mitsugu Sudo
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06 February 2017, 9:51am

フォトグラファー草野庸子の切り取る被写体たちは、誰もがカメラを向けられ、シャッターを切られていることをまるで意識していないような、生々しく、パーソナルな表情を浮かべ、写真の中に流れる時間や温度、匂いなどを、リアルで質感あるものとして私たちに投げかけてくる。1993年に福島県で生まれ、高校生の時に震災を経験した彼女は、デザイン学校への進学の為に上京。徐々に写真のもつ魅力にのめり込んでいき、2014年には写真新世紀優秀賞(左内正史選)を受賞。その後は作品集を出版、個展を行うなど精力的に活動し、今ではファッションブランドのルックブックを撮影するなど、次世代の若手フォトグラファーとして注目を集めている。

その作品からは一貫して、気取った嘘臭さや作り込まれたフェイクなムードは排除され、写し出されるのは生っぽく、ピュアな空気感。彼女が切り取る現代を生きる若者の世界には、どの時代も変わらない普遍的なアドレッセンスが流れ、彼女と被写体との限りなく密接した距離感によって、今にも彼らの息づかいが聞こえてくるかのような感覚に陥る。彼女の作品は、フィルムに焼き付けられたただの虚像ではなく、その時その場所に生きていたということの証であり、今を生きる若者としての、彼女の紛れもないリアリティーなのだ。

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草野庸子

1993年生まれ、福島県出身。桑沢デザイン研究所卒。第37回写真新世紀優秀賞(佐内正史選)を受賞し、2015年には写真集「UNTITLED」を自費出版。ファッションをはじめ、様々なジャンルで活動を行っている。2017年の年明けには、自身二度目となる個展と二冊目の写真集リリースを予定している。

Kusanoyoko.tumblr.com

Credits


Text Mitsugu Sudo
Photography Yoko Kusano

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