YONCE WEARS TOP UPPERUPPER.

YONCEの音楽愛がつなげる過去と未来

新世代バンドとして、頭ひとつ抜けた目覚ましい活躍を見せる6人組バンド、Suchmos(サチモス)。しなやかなソウルグルーヴや洗練されたメロディを特別なものにするバンドの強い意志についてフロントマンのYONCEが語る。

by Yu Onoda
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09 December 2016, 2:15am

YONCE WEARS TOP UPPERUPPER.

オーセンティックなヒップホップやシティポップのメロディアスでソウルフルなタッチが支持されている昨今の日本において、昨年4月にリリースされたファーストEP『Essence』から一気にブレイクを果たしたSuchmos。口当たりがいいだけでなく、洗練された演奏とスムーズな楽曲に、ロックのレベル・スピリットを持ち込んだ6人組バンドだ。

「そもそも、俺は高校2年生から去年の夏まで、OLD JOE っていうロックンロールバンドをやっていたんですけど、例えば、ローリング・ストーンズの「Satisfaction」をソウルミュージック四天王のひとり、オーティス・レディングがカバーしたように、自分のなかでロックンロールとブラックミュージックは同じものとして捉えていて。だから、高校生の頃から"いつか、ブラックミュージックに歩み寄った音楽をやりたいな"と考えてはいたんですけど、演奏力を要する音楽だから自分にはできないと思っていたんですね。でも、その後出会ったSuchmosのメンバーには自分以上にブラックミュージックの素養があって"これなら、思い描いていたことができる!"と思って、新たにバンドを結成したんです。だから、ずっと、ロックバンドをやってた自分がサチモスを始めたことに違和感はありませんでした」

そう語るのは、ヴォーカルにしてフロントマンのYONCE(ヨンス)。彼の言葉には一切の淀みがなく、バンドが生み出す音楽そのままに、その響きは爽快・痛快だ。

「SNSで饒舌な人は信用ならないというか、自分の言いたいことは、それをキャッチしたい人に届くべきだと思っているんです。良くも悪くも興味のない人の耳にも届いてしまうのが今の時代だと思うんです。亡くなったニルヴァーナのカート・コバーンに関する記事を読むと、自分たちの作品が必要以上に評価され、一気に祭り上げられてしまったことを気に病んでいたと書かれていますよね。今は伝えたいことの一部が切り取られ、曲解され誤解されて、過去とは比較にならないスピードで一気に広がってしまう。だから、必要以上に人の目を気にする時代でもあると思うんです。そこでいつからか媚びるようになっちゃったのが、日本のバンドが微妙になった原因なのかなって。俺たちはそこで開き直っていて、好きに言ってくれればいいと思ってる。自分たちは自分たちでやりたいことをやるし、言いたいことは言うよって。だから、今年25歳になる自分なりにリアリティをもって感じられることを、脚色せず忠実に歌いたいんですよね」

そして、2000年代に10代を過ごした彼らは、90年代の音楽、アシッドジャズやグランジ、ミクスチャーロック、ブリットポップ、ネオソウルからの影響について公言している。

「影響を受けたジャミロクワイ、ニルヴァーナやオアシス、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ディアンジェロにJ・ディラ……彼らは90年代にそれ以前の時代の音楽から得たインスピレーションを、新しくフレッシュに聴かせることに成功した人たちなんですよね。同じように過去の音楽をアップデートすることが僕たちの音楽を現代的に聴かせる方法なのかなって。何せ、僕たちはYouTubeをはじめ、インターネットをツールに、今まで簡単には触れられなかった貴重な音楽やライブ映像にアクセスできるようになった世代なので、その影響は計りしれないものがあるんですよね。モダンが意味する現代性というのは、そういう温故知新のスタンスがあってこそ成立するものだと思うし、今後もそのことを忘れずに自分たちの音楽を追求していきたいんです」

彼らのモダン・ラブ(=現代に溢れさせる音楽愛)を支えている「温故知新のスタンス」は、最新EPに付けられた、中古レコードの盤質、"新品同様"を意味する『MINT CONDITION』というタイトルからもうかがい知ることができる。現代のテクノロジーが生んだ新星バンドは、これからも貪欲に成功を目指し進んでいく。

「音楽をやる以上、頂点を目指さないとダメでしょって、当たり前のように思ってますね。そう公言し続けていたほうが自分たちのモチベーションにもなるかと。俺自身、中2の頃から将来はバンドで飯食うってずっと言ってたんですけど、そこから10年かかって去年から音楽だけで生活できるようになりましたからね。だからSuchmosではいつかアンセムとなる曲を作って、スタジアムを沸かせたいって、そう言い続けているんです。何せ自分のなかではまだまだ俗物根性の占める割合が大きくて"まとまった金が入ったら何買おうかな"とか"筋トレしてマッチョになったらモテるかな"とか、そんなことばかり考えているんですよ(笑)。まあでも、そういう季節もいずれ終わると思うんです。ひと通りモテました、マッチョになりました、欲しいもの買いましたっていう状態になったら、意識も変わるでしょうから、そうなるまでは欲望や本能に忠実でいようと思ってますね」

Credits


PHOTOGRAPHY KO-TA SHOUJI
STYLING EIJI TAKAHASHI
TEXT YU ONODA
Styling assistance Mayu Ogawa