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simone rocha spring/summer 17 at london fashion week

2016年秋冬コレクション発表後に出産を経験し、自らが持つ母性を受け入れたシモーネ・ロシャ。彼女は今季、官能とドリーミーな現実性をテーマにコレクションを作り上げた。

by Steve Salter
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28 September 2016, 2:40am

「自分らしさを取り戻せた」とSimone Rochaのデザイナー、シモーネ・ロシャは、アイルランドを拠点に活動するMMOTHSの音楽が響きわたるサウスワーク聖堂で微笑んだ。他の景色のなかで見れば原点回帰のように見えたであろう今季のコレクションだが、テムズ川南岸のこの大聖堂で見ると、そこには彼女の新たな宣言を見てとれたように感じられた。

「ジャッキーが描く農婦たちに影響を受けたユニフォームとフォルム、パッチワークとワークの要素」とショーノートは謳っていた。アイルランド国立美術館で開催されていたエキシビションで、ポール・ヘンリー(Paul Henry)の「The Potato Diggers」をはじめとする絵画の名匠たちの油絵作品と並置されていたジャッキー・ニッカーソンの写真作品。ニッカーソンの急進的で慈悲の心に溢れた視点に強い共感をおぼえたロシャは、そこに捉えられたアフリカの農夫・農婦たちにインスピレーションを得たのだと語っている。

農夫を被写体として写真を撮るほとんどの英国系アメリカ人フォトグラファー同様、ロシャもまた農夫たちの服装に実用性の追求から生まれるフォルムと機能を興味深く見つめている。「農場で働く女性のリアルさに目が釘付けになった」とロシャは語る。「身体にバッグを括りつけることで、シルエットを歪めながら実用性・機能性という概念を探りたかったの。そうやって、ワークウェアとしてデザインを構築していきました」。チュールや細糸、レース、そしてスパンコールを用い、ロシャは脱構築のワークウェアを作り上げた。エアリーで軽く、ドリーミーなコレクションではあるものの、その世界観はしっかりと地に足ついた印象を与える。ロシャのリアリティにきちんと根付いたコレクションなのだ。ロシャが得意とするイギリス刺繍や、天然素材と化繊の合わせ使いは健在のまま、素材の選択やシェイプ、そしてアイデアには自然な進化が伺えた。おかえりなさい、シモーネ・ロシャ!

Credits


Text Steve Salter
Photography Mitchell Sams
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.